谷沢健一のニューアマチュアリズム

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2008年の12の? タイガース(その2)

2008-03-05 | プロ野球への独白
 ブルペンに行ったら、ドラゴンズ臨時コーチの杉下茂さんが藤川君にフォークを指導していた。タイガースのあるスタッフは「あれでいいんですか? うちにはありがたいけど……」と言うので、私は「セリーグの覇権争いなんて念頭にないんじゃないか。北京五輪のために今のうちにきっちり教えておこう、というのかもしれないね」と応えておいたが、真意はよくわからない。「じゃあ、谷沢さんもうちの打者に少し教えてくださいよ」と急にこちらへ話が向かってきたが、「なに言ってるんだい。広澤君(打撃コーチ)たちがいるじゃないか」と降りかかりそうな火の粉を振り払った。
 杉下氏の一件でもわかるように、岡田監督は基本的に大様なリーダーである。実戦でもある程度以上に選手の判断に任せているようだ。ここぞと言う時に大きく動くタイプである。タイガースの今年のカギは、この点にあるだろう。つまり、選手がどこまで大人の野球をできるかである。
 監督の顔色をいちいち窺わなくても、監督の言葉の裏を勘ぐらなくても、かなりの部分で自分の野球ができるのである。多くの打者が最も配球を読みにくいという2人のうちの1人である矢野捕手をはじめ、安心して任せられる選手が何人もいる。だが、くだらない些細なことをあれこれ言うタニマチ気取りの雑音が邪魔なチームである。この子供じみた外部のノイズを右の耳から左の耳へスルーさせられるかどうか、大人度の高低が優勝か3位かの分かれ道である。
 私たちに何かと配慮をしてくれる岡田監督が振る舞ってくれた昼食を口に運びながら、この監督にもっともっと横綱相撲ならぬ横綱野球をやらせてやりたいものだ、そういう環境ができればなと、内心で思っていた。