ポケットの中で映画を温めて

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『ほえる犬は噛まない』を観て

2020年01月08日 | 2000年代映画(外国)
『ほえる犬は噛まない』(ポン・ジュノ監督、2000年)を観た。

ユンジュは、出産間近の年上の妻ウンシルに養われている、ヒモ同然の大学院出の浪人。
最近、マンション内に響き渡る犬の鳴き声に神経過敏になっていた。
ある日、となりのドアの前にチョコンと座る犬を見つけて、ついふらふらと地下室へ閉じ込めてしまう。

ヒョンナムは、マンションの管理事務所で経理の仕事をしている女の子。
毎日ボーと仕事をしていたが、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなり、迷い犬の貼り紙を貼っている少女に代わって、町じゅうに紙を貼るのだった・・・
(映画.comより一部抜粋)

お腹が大きい妻が働きに出ていて、自分はブラブラしているために頭が上がらない夫のユンジュ。
そんな彼に先輩から、教授になれる話が舞い込む。それにはワイロとしての1500万ウォンが必要。

マンションの屋上で、友人チャンミの双眼鏡をヒョンナムが覗いていると、向こうの屋上から子犬を投げる男を目撃する。
子犬が失踪する犯人は“こいつだ”と追いかけ出すヒョンナム。
こうしてユンジュとヒョンナムの接点が生まれる。

物語のテンポはコミカル。
かと思えば、地下室で警備員が鍋物を作るために犬を料理しようとする場面を、ユンジュが覗き見てしまうところになると、正しくサスペンス調。
そこに、なぞの浮浪者まで絡んできて、観ているこちらをグイグイと引っ張っていく。
そればかりか、ラストに至る皮肉さ。
それも良しか、と肯定させ納得させてしまう演出がうまい。
そして、これが長編デビュー作だと言うから、後の『殺人の追憶』(2003年)、『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)、『母なる証明』(2009年)からすると、
やはり監督としての力量はただ者ではないと感じる。

だから未見の作品をもう少し続けてみたいと思う。
それにしても、韓国では食犬文化があるようだとこの作品から知り、そのことにビックリもした。

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