
キム・ギドク監督の『コースト・ガード』(2002年)があったので借りてきた。
場所は、南北軍事境界線に近い海岸。
韓国の海岸には北の侵入に備え、要所に鉄条網が敷かれている。
そして、その軍事地域には「夜7時以降の侵入者はスパイとみなし射殺する」の立て看板がある。
海兵隊のカン上等兵は、人一倍訓練に熱心で、北のスパイを捕まえる情熱に燃えている。
ある夜、村人で恋人同士のヨンギルとミヨンは悪ふざけも手伝い、酔ってそこに入り込み肉体行為を行う。
その最中に、沿岸警備中のカン上等兵が夜間透視望遠鏡で人影を見つける。
すかさず、カンは機関銃乱射し手榴弾を投げる。
ヨンギルは即死し、それを見たミヨンは半狂乱に泣き叫び・・・
カン上等兵は「不審者に対して適切に対処し、忠実に任務を遂行した」として表彰され、特別休暇を与えられる。
その根拠は、スパイを射殺すれば勲章と報奨金が貰えて一階級特進で除隊でき、その代わり、取り逃がせば営倉行きのうえに生涯不名誉となる、という規則。
ただ、カンは民間人を殺してしまったことで、次第に精神を病んでいく。
そして、早期除隊させられた彼は、再び部隊周辺をうろつくようになる。
片や、恋人を殺されたミヨンは、鉄条網の周辺にいる警備隊員を死んだ恋人と錯覚し、精神が完全に破壊されてしまう。
ミヨンは、どの警備隊員なのかわからないままに妊娠してしまう。
それを、指揮官は部下に堕胎させる。
兄チョルグは妹のことに気づき、包丁を手にして警備隊員を襲撃する。
カン上等兵は自分を、いまだ現役だと信じている。
部隊に侵入するカン。
警備隊の方こそが侵入者、北朝鮮のスパイだと妄想するカン。
そしてついに、カンと部隊との銃撃戦。
朝鮮半島が分断され、それの解決が見いだされないままの現状において、キム・ギドクは独自の方法で問題提起する。
その方法として、扱う内容を重くせず何気なく見せながら、的確に思いをテーマに据える。
軍隊はどのような形であれ、そもそも狂気の萌芽ではないのか。
このあいだ上映された『The NET 網に囚われた男』(2016年)も連想しキム・ギドクの作品全体を考えた時、
初期にまさか、これ程の傑作が発表されているとは想像できなかった。
場所は、南北軍事境界線に近い海岸。
韓国の海岸には北の侵入に備え、要所に鉄条網が敷かれている。
そして、その軍事地域には「夜7時以降の侵入者はスパイとみなし射殺する」の立て看板がある。
海兵隊のカン上等兵は、人一倍訓練に熱心で、北のスパイを捕まえる情熱に燃えている。
ある夜、村人で恋人同士のヨンギルとミヨンは悪ふざけも手伝い、酔ってそこに入り込み肉体行為を行う。
その最中に、沿岸警備中のカン上等兵が夜間透視望遠鏡で人影を見つける。
すかさず、カンは機関銃乱射し手榴弾を投げる。
ヨンギルは即死し、それを見たミヨンは半狂乱に泣き叫び・・・
カン上等兵は「不審者に対して適切に対処し、忠実に任務を遂行した」として表彰され、特別休暇を与えられる。
その根拠は、スパイを射殺すれば勲章と報奨金が貰えて一階級特進で除隊でき、その代わり、取り逃がせば営倉行きのうえに生涯不名誉となる、という規則。
ただ、カンは民間人を殺してしまったことで、次第に精神を病んでいく。
そして、早期除隊させられた彼は、再び部隊周辺をうろつくようになる。
片や、恋人を殺されたミヨンは、鉄条網の周辺にいる警備隊員を死んだ恋人と錯覚し、精神が完全に破壊されてしまう。
ミヨンは、どの警備隊員なのかわからないままに妊娠してしまう。
それを、指揮官は部下に堕胎させる。
兄チョルグは妹のことに気づき、包丁を手にして警備隊員を襲撃する。
カン上等兵は自分を、いまだ現役だと信じている。
部隊に侵入するカン。
警備隊の方こそが侵入者、北朝鮮のスパイだと妄想するカン。
そしてついに、カンと部隊との銃撃戦。
朝鮮半島が分断され、それの解決が見いだされないままの現状において、キム・ギドクは独自の方法で問題提起する。
その方法として、扱う内容を重くせず何気なく見せながら、的確に思いをテーマに据える。
軍隊はどのような形であれ、そもそも狂気の萌芽ではないのか。
このあいだ上映された『The NET 網に囚われた男』(2016年)も連想しキム・ギドクの作品全体を考えた時、
初期にまさか、これ程の傑作が発表されているとは想像できなかった。
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