『河』(ジャン・ルノワール監督、1951年)を観た。
舞台は、ベンガル地方のガンジス川流域。
製麻工場のイギリス人支配人の長女ハリエットは、工場主の娘のヴァレリー、アメリカ・インドの混血で隣家のメラニーと大の仲良しであった。
ある日、メラニーの従兄弟で退役軍人の青年、ジョン大尉がこの地にやってきた。
ジョン大尉が来た理由は、第二次大戦で片足を失い英雄扱いだったが、戦後になって、人々からの障害者としての憐れみの目を逃れるためだった。
三人は、生活の中に入ってきたジョン大尉に対して、それぞれの初めての恋に胸をときめかせるのだった・・・
物語は、詩を愛するハリエットのナレーションにより、淡い初恋の話として進んでいく。
と言っても劇的な筋があるわけでもなく、ルノワールが描きたかったのは、雄大なガンジスのほとりでの人々の風景だったのではないか。
そのような中で興味を引くのは、ハリエットが語って聞かせる“クリシュナとラーダ”の逸話である。
若者に恋をした娘は、願いも叶わず父親の決めた相手と結婚する。
婚礼の日に娘が対面した相手は、なんとそれは恋した若者だった。
二人は、“クリシュナとラーダ”に変身し、ラーダになった娘は愛の舞踏を踊る。
その踊りが何とも素晴らしく魅了される。
あらすじが単調としても、それでもハリエットの弟ボギーの死が絡んでくる。
コブラ使いに憧れ、菩提樹の根元にコブラを見つけたボギーは、笛を吹きながらコブラをあやすが毒牙にかかる。
それを自分の不注意と感じたハリエットは、ガンジスに身を投げようする。
漁師に助けられたハリエットに、駆けつけたジョンが生きることを諭す。
ボギーが死に、ジョンが去り、その後で、ハリエットの母は新しい生命を産む。
すべては、大河の流れと共に、また再生して行く。
色彩感覚が豊かと言われるこの作品が、DVDを観た限りではそんな風には感じられず、映像的な印象はそんなに残らない。
画質のせいなのか、それとも評判が大袈裟なのか、いずれにしてもそんな素晴らしいという映像色彩を、是非見てみたいものである。
YouTubeに高画質のものがあったので、字幕はDVDを同時に再製して見てみました.
高画質の映像では、カーリーは悪魔の偶像(戦争の神様)で、手に生首を下げてりのがよく分かります.