黒いキタキツネ、参上！

 

つい先日、北海道の更別村で全身真っ黒のキタキツネが発見された。インターネットに紹介された写真を見た。一見では、犬にも見える。色は真っ黒。しかし、尻尾の形をみると確かにキツネ。なるほどこれは珍しい。キタキツネは何度も写真を撮ったが、こんな色のキツネははじめて。出合った人がちょっぴり羨ましい。帯広市にほど近い場所にある更別村は人口が３千人ほど。どんぐり公園がある静かな場所。ところがこの黒いキツネ、あまり人を怖がらず、人家の近くを悠々と歩いていたというから、驚きである。

 

なんでもこの周辺では、２０１１年にも黒いキツネが目撃されている。今年のものと同じなのかは残念ながら不明。いずれにしても人に慣れた様子をみると、今年に突然現れたたものではない可能性がある。自然界も複雑に変化しながら、逞しく生きているということか。

動物学者の話では、アカギツネの変種か動物園のギンギツネが野生化して変化したものではないかというコメントが載っていたが、キタキツネもギンギツネもアカギツネの一種。基本は一緒だ。

 

たしか２０１１年に道東では、「白いエゾシカ」が発見され、神の使いではと話題となった。その後このエゾシカの話題はなくなったが、どうしたのだろうか？まだ元気に野山を走り回っているのだろうか。いつかはその姿をみたいと、願っている。

 

そんなことを妄想していたら、２７日には沖縄で「青いカエル」が見つかったと報道されていた。オキナワガエルは基本は黄緑系。真青のカエルは珍しい。これもやはり突然変異とか。

２０１０年７月にはインドネシアで白いカラスが見つかっている。地元の報道ではそれほど珍しい話ではないと言うが、そうある話とは思えない。かつて白い色のヒグマが北海道にはいたという話を聞いた。白いトラ、白いライオンなどなど、あげていけばけっこう色違いの動物がいる。植物でも同じことが起こるらしい。自然界の中ではそういうことがあたり前に起こるということなのだろう。

（２０１３年６月撮影。今年生まれた子ギツネ）

 

２０１１年に撮られたという黒いキタキツネの写真をみてふと思った（巻頭写真の顔のアップが２０１１年のもの）。７月頃の写真だと言うが、表情が妙に幼い。今年の６月頃に撮った小ギツネの顔と見比べるとよく分かる。キタキツネは８月頃に子別れして、独立する。７月の写真と言えばちょうど独立した頃か。だが、普通、小ギツネは子別れした後しばらく兄弟たちと暮らすもの。黒ギツネはたった一匹であった（普通、キタキツネは３～８匹の子どもを生む）。そして今年の写真も一匹だけ。その姿は成人そのものだが、どこか寂しげに見える。仲間はいるのだろうか、奥さんはいるのだろうか、少し気になる。毛並みの色が違うだけで、仲間外れにされているのでは、と勝手な想像がめぐる。

 

そういえば、昨日のニュースで、６０年前に病院の間違いで親を取り違えられてしまった人のことが話題になっていた。この取り違いに気づいたのは兄弟たちだった。両親の死後になるが、四人兄弟のうち一人だけ違うと感じさせたのは、やはりその容姿であったという。どんなやり取りがあったのか想像できないが、兄弟でＤＮＡ鑑定までしている。結果、赤の他人ということが分かったらしい。取り違えられた人には全く責任がないのだが、その時の気持ちは当人にとってどんなものであったか、想像するだけで怖い。

 

黒いキツネをみながら、姿形の違う兄妹たちの思いがダブってきた。野生動物と人間を一緒にするのはどうかとは思うが、黒いキツネの孤独感が偲ばれ、切なく感じる。わが町も昨日の夜から雪（初雪）。本格的な冬がいよいよ始まった。取り違い被害の家族の方同様、黒いキタキツネの明日に幸あれと願う。

 

＊黒いキツネの写真はインターネットに掲載されたものから借用しました。