ヤマセミ親爺の気まぐれ自然ウォッチング

山野草、昆虫、フライフィッシング、鳥見などが主体のアウトドアフリーク「ヤマセミ親爺」が綴るテキトーな自然観察記録。

遊水池概要紹介(春の麻機遊水池シリーズ8)

2013-04-05 | 自然観察
3月10日に「あざれあ」にて麻機遊水地自然再生シンポジウムが開かれた。
そこで神戸大の角野先生や新潟県にある福島潟の管理者の方々から講演があった。 講演の中で麻機遊水地は
周囲の山から全貌が見渡せることが大きな特徴だという話があった。 福島潟をはじめ多くの湿地や自然公園は
航空写真にて全体感を把握するしか手がないそうである。なるほど、外部から見ると遊水地のメリットはそんな
ところにもあるということか。
そこで早速賤機山から改めて全体を眺めてみることにした。 (写真は3月24日賤機山~桜峠の尾根で撮影)


最初の写真は我がホームグラウンド麻機遊水地のほぼ全体が写っている。 
中央を斜めに通る道路が新東名取り付け道路である。
その左側、濃い茶色の建物が「こども病院」。
「こども病院」の手前に広がる池や草地が「第一工区」と呼ばれる部分。
「こども病院」の向こう側に広がる部分が「第三工区」と呼ばれる部分。
取り付け道路の右手前側に大きな池が二つ見えるが、このあたりが「第四工区」。
麻機遊水地は5つの工区に分かれているが、通常自然観察の対象となるのは上記3つの工区である。


まず「第一工区」から見てみよう。 右側の取り付け道路に近い部分には幾つかの池が点在している。
今年の冬はこれらの池にマガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヨシガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、カルガモ等のカモ類が
見られたが以前より随分と数は減ったらしい。その他バン、オオバン、サギ類も多い。
また池に囲まれた背の低い柳林にはホオジロ、カシラダカ、カワラヒワが普通に見られ、ベニマシコ、イカル
も時折姿を見せる。芦原にはアオジ、オオジュリン等。ノスリがよく止まる柳もある。
池にはオニバスが生育している。1月にはこの池にミサゴが魚捕りに来ていた。
左側の草地は現在草刈されてしまったが、ツグミ、タヒバリ等が見られ、チョウゲンボウも現れる。
またこの草地はタデ類が多く育っており秋には各種の素朴で美しい花が見られる。麻機を代表する植物の一種
であるタコノアシも生育している。


次は一番広い「第三工区」を見てみよう。 ここは池、小さい沼、芦原、草地、疎林が存在し変化に富んでいる。
鳥も多くの種類が見られ、今年の冬はカンムリカイツブリ、アリスイ、アカゲラ、ベニマシコ、アカハラ、セッカ、
コホオアカ、シメ等も見られた。
ほぼ中央部に東屋があるがこの付近は人工的に攪乱が行われ、ミズアオイ、タコノアシをはじめとする麻機の貴重な
植物が多く生息する。 
昆虫類特にトンボは非常に豊富であり、昨年はネアカヨシヤンマのクモ狩りを目撃できた。暗めの藪にはカトリヤンマ
も見られる。またオオアオイトトンボも「第三工区」でよく見られる。 アカネ類、イトトンボ類も種類、数共に
楽しめる場所である。分類的にはトンボではないが、ウスバカゲロウに近縁のツノトンボも真夏になると中央部の草地
に出現する。
また散歩やジョギング、サイクリング等の人達も多く、釣り人もよく見かける。


左手前の池は「第四工区」に当たるが、その向こう側に広く田畑がひろがっている。ここは「第二工区」に分類されており、
畑の中の建物は観山中学である。麻機遊水地の中では訪れる機会は少ないが、たまに出かけてみると蓮田や田畑、休耕田
等に何種類かの鳥達が見られることがある。 春、秋は面白いのではないか。
田畑なので当然ながら農車優先かつ、農家の迷惑にならないような観察マナーは必須。


「第四工区」は自宅から最も近いこともあり、ヤマセミ親爺が一番多く訪れる場所である。
柳道で分断された二つの池の他に野球場やサッカーグランド、常緑樹の多い丘(麻機遊水地は柳等が多く、常緑樹は
少ない)、背の高い柳の疎林が存在し変化に富んでいいる。
水鳥の他、夏のトンボ類は特に楽しめる場所である。
トイレも設置されておりバードウォッチャーや散歩する人が多い場所でもある。


「第四工区」端にある柳の疎林。小さな流れも多く、チョウトンボや各種イトトンボが見られる面白い場所である。
オニバスも多少生息しており、シーズンには美しい花を咲かせる。周囲には蓮田も存在する。

ざっと紹介したが、どの工区も自然観察フィールドとしては価値の高いゾーンだと思う。
猛禽類もオオタカ、ノスリ、ハヤブサの他に運がよければミサゴのダイビングが見られ、今年1月にはトラフズク
にも遭遇できた。 カワセミも全ての工区で観察可能である。
昆虫はどの工区もトンボ類がスターであるが、種類の多さは「第三工区」か。
植物は複数の絶滅危惧種を含む多くの種類が見られるが、外来種の多さにも驚く。
今、土手はセイヨウカラシナで真っ黄色だし、これからアレチハナガサが目立ってくる。秋のオオブタクサの花粉は
凄まじいものがある。 また水面はアゾラ(アイオオアカウキクサ)に覆われ、美しい緑があると思えばオオフサモ
の群落だったりする。
ヤマセミ親爺は水中生物には疎いが、ミシシッピーアカミミガメはそれこそウジャウジャいるし、ウシガエルも多い。
芦の根元には毒々しい色のジャンボタニシの卵塊があったりする。
魚はブラックバス、ブルーギル、雷魚が増殖しておりカダヤシも多い。トップウォータープラグを使用したルアー釣り
には面白いが、在来種は肩身が狭い。
できる限り外来種を排除し、在来種にとって持続可能な生体系を維持していくことが市民の努めであると実感。

今、書いていて気がついたが、自分は今まで麻機遊水池に「池」の字を当てていたが、シンポジウムでは麻機遊水地
と書かれており「地」の字が当てられていた。どうやら「地」が正しそうだが今更直すのも面倒なので本ブログでは
このまま「池」で通すことにします。

今回は字がやたら多くなってしまった。(反省)











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