goo blog サービス終了のお知らせ 

いわき市のおやじ日記

K流釣り、K馬、そして麺食いおやじのブログ。
山登り、読書、映画、陶芸、書道など、好きなことはいろいろです。

「春に散る」

2023年09月01日 | 映画

一言で言うとボクシングに命をかけた二人の映画です。

心に残るいい映画でした。

ボクシングの映画ってたくさんあるので、どこか既視感が出てしまって作るのが難しいと思いますが、この映画は人間関係が少し複雑で、見応えがある作品になりました。

役者全てが素晴らしい演技でしたが、特にボクサー役の横浜流星と窪田正孝が素晴らしいです。

佐藤浩一演ずる広岡仁一は元ボクサー。

不公平な判定で負けたのを機にアメリカに渡り、ホテルの経営に携わった後、帰国しました。

横浜流星演ずる黒木翔吾も不公平な判定で心が折れていたボクサー。

偶然出会った二人が、「今しかねぇ、今しかねぇんだよ!」と、ボクシングを通して一瞬のために生きる姿が輝いていました。

 

ちょっと残念だったのは、終盤のスローモーション。

手加減する様子がありありとしていて水を刺した感じでした。しかもスローモーションシーンが多すぎです。

 

でもこういう元気が出る映画、いいですね。明日からも頑張れそうです。


「理大囲城」

2023年05月23日 | 映画

ウクライナとロシアの戦争とコロナ禍で忘却の彼方に行ってしまいそうな2019年の香港民主化デモ。

この映画は民主化デモの中で起きた香港理工大包囲事件のドキュメンタリーで、デモ参加者が至近距離で撮影したものです。

よく映画化されたなと思いました。

当然、香港では上映禁止でしたが、世界の映画祭で上映され、大きな反響がありました。

 

20歳そこそこの若者が、おそらく失敗するだろうとわかっていながら、「自由を奪われたくない」と理大に籠城し戦います。

13日間にわたる籠城の後、逃げるか、このまま籠城するか、若者同士が意見を戦わせます。

暴動罪で捕まると懲役10年。

若者にとっては大変な恐怖だったでしょう。

警察とのせめぎ合いは熾烈を極め、1377人が逮捕されました。

隣国であった事件、天安門事件と併せ、忘れてはいけない大きな出来事だったと思います。


「BLUE GIANT」

2023年04月14日 | 映画

ポレポレシネマズ小名浜では上映が終わってしまったけど、まちポレで始まったので息子と観に行きました。

評判が良かったのでバイアスが上がっていましたが、期待を超える作品でした。

音楽が人の心を震わせるというのは何か不思議な気もしますが、この映画を観ると音楽が持つ力というものを強く感じることができます。

音楽だけでなく映像もすばらしい。実際にライブを見ているように演奏の熱量が伝わってきます。

ジャズが好きでなくても存分に楽しめ、ほとんどの人は映画を観た後に上原ひとみさんを聴きたくなると思います。

大きな画面で、大音量で楽しみたい映画でした。


「めぐり逢わせのお弁当」

2023年03月30日 | 映画

すっかりインド映画にはまり、沼の民になってしまったおやじです。

初老の妻を亡くした男性と、夫とうまくいってない女性が、電子メールでもなく、電話でもなく、手紙でやり取りをしながら親愛の情を深めていきます。

発端は女性が作った弁当。

インドには弁当配達業というのがあって、毎朝、配達人が顧客の家庭を回って弁当を集め、昼前に職場に弁当を届けます。そして午後には職場から家庭に戻します。

たくさんの弁当を扱うので間違いが起こりそうですが、誤配達の確率は600万分の1だそうです。

女性が夫との愛情を取り戻そうと、腕によりをかけて弁当を作ります。

しかしこれが届いた先は夫ではなく定年間近の男性。

男性は美味しい弁当をきれいに食べてしまいます。

女性は戻ってきた弁当がきれいに食べられていたので、夫との愛情を取り戻せたかと思いましたが、夫からは良い反応がありません。

不審に思った女性は弁当に手紙を忍ばせます。

そして初老の男性との文通が始まります。最初は弁当の味の話などでしたが、徐々にお互いの悩みなどをやり取りするようになります。

お互いに会ったことがない二人。晩年を迎えた男と夫からの愛情に飢えた妻が、手紙を通して愛情を募らせていきます。

その後はネタバレになるので書きません。

切ない大人のラブストーリーとだけ書いておきます。

2014年の映画なんですね。まちポレいわきで観ましたが、Amazonプライムでも見ることができます。

「インド映画って突然歌って踊るんでしょう」って思っている方、全然違います。

「間違った電車に乗っても正しい場所に着く」というセリフがありました。

間違ったと思っても、着いた場所が正しいと思えば良い、と捉えました。

まちポレの「インド映画まつり2023夏」が楽しみです。


「氷の花火 山口小夜子」

2023年03月28日 | 映画

山口小夜子さん、黒髪のおかっぱに切長の目。

言うまでもなくトップモデルです。最近は綺麗なモデルさんが多いですが、山口さんのような存在感のある方はいないような気がします。

もっとも私は資生堂のテレビCMやポスターと、スティーリー・ダンのアルバムジャケットぐらいしか知りませんが。

その印象は冷たい、暗いイメージでした。

2007年8月14日に急性肺炎で亡くなられました。57歳でした。

 

「氷の花火 山口小夜子」は山口さんの遺品の整理から始まり、彼女と親交があった人の証言を集めたドキュメンタリーです。

関係者によると実は目はまん丸で、ミック・ジャガーさんと宇崎竜童さんが好きという意外な一面も紹介されていました。

パリコレの楽屋では他のモデルがタバコを吸い酒を飲んでいるのに、一人で片隅で本を読んでいたそうです(私の好きな安部公房の本も何冊か読んでいたみたいです)。

そして冷たい印象とは裏腹に、表現欲が旺盛で、モデルにとどまらず舞台、映画、ダンス、DJなど色々なものに挑戦していました。

「氷の花火」と言うタイトルは秀逸だと思います。

最後はモデルの松島花さんが山口小夜子さんのメイクを施し、山口さんがのり移ったような雰囲気の中、撮影会を行います。

松島花さんのファンになってしまいそうです。

ドキュメンタリーって作る側の思想が見え隠れするものが多いですが、この映画は山口さんへの深い愛情だけで成り立っています。

「Kuramoto」の3月のラインナップの中では最も興味がなかった映画でしたが、観て良かった、素晴らしい映画でした。