Rolling Stone誌が
真に共感力のあるアーティストによる芸術作品であり、
過去10年間のどの国の映画よりも感動的で心温まる、胸を打つ作品
とコメントしているとおり、ジーンとくるいい映画です。短期間で上映を終えてしまうのは勿体無い。
1981年夏、アイルランドの田舎町が舞台です。
コット(9歳)は英題「The Quiet girl」のとおり、物静かな少女(ちなみに原題はアイルランド語「An Cailin Ciuin」(静かな少女))。
内面を表に出すことができず、家族とも学校の同級生とも馴染めず、変な子扱いを受けています。
父はギャンブル、酒飲み、浮気と3拍子揃った、まるでBK朝ドラのダメ親父のようなどうしようもないやつで、母はそんな父に愛想を尽かし、日々をボーっとなんとなく過ごしているようです。
姉二人、弟一人の6人家族と思われますが、母は妊娠中。出産までのひと夏を、コットは遠い親戚のもとで暮らすことになりました。
親戚の夫妻には子どもがなく、コットを我が子のように優しく扱います。
コットは二人の愛情をたっぷりと受け、少しずつ自分を解放し、充実した生活を送りますが、やがては家に戻らなければなりません。
帰宅の日、家に戻ったコットは帰ろうとする親戚夫妻の乗る車を走って追いかけて行きます。そして・・・・
監督の談話にあるように、これは希望の物語。
「一人の人間」として初めて認められ、コットは新しい生き方を信じることができました。
ほとんどがアイルランド語で語られています。
主役のキャサリン・クリンチはとてもキュート。
緑豊かなアイルランドの風景、優しい木漏れ日、ゆっくり流れる時間。それらを味わうだけでも幸せな気持ちになれる、素晴らしい映画でした。