トライランダーの蔵出し写真館 第2号

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西鉄貝塚線・地下鉄箱崎線相互乗り入れ

2010-01-17 19:51:00 | 私鉄
16日の読売新聞に、福岡市が地下鉄と西鉄貝塚線の相互乗り入れについて2案を検討しているとの記事が掲載された。
地下鉄箱崎線と、西鉄貝塚線の直通は、1971年から構想があり、86年の地下鉄貝塚延長の後2003年に直通運転を合意するとか何とか(西鉄からの正式発表ではないようだが)、二転三転してきた経緯がある。

貝塚線は人口集積地帯を走る都市鉄道ではあるが、①並行路線の存在②ターミナルの立地の劣悪さにより開業以来苦杯を味わい続けていた。同じような条件を持つ地方路線としては、①静岡鉄道②定山渓鉄道、JR札沼線、名鉄瀬戸線、小牧線、国鉄勝田線等が存在した。

しかし静岡鉄道は都心部に直接乗り入れ、さらに運行頻度の高さ、駅間隔の短さで国鉄時代の東海道線に対し有利な立場に立ち、定山渓鉄道は地下鉄への転用という形で発展的解消、札沼線は札幌乗り入れと駅新設、複線化で驚くべき変身を遂げ、名鉄瀬戸線は自力での栄乗り入れ、小牧線は上飯田連絡線の建設といった手術を受けた。

それに対し何の戦略も打ち出すことのできなかった勝田線はあえなく廃止、貝塚線も乗客減により新宮以遠の廃止と凋落の一途をたどることになった。

貝塚線と地下鉄が直通運転したところで、運賃体系の問題や貝塚線の商圏(?)の狭さといった所の問題が大きすぎて、双方に(特に民間企業である西鉄)費用対効果を実現できるだけのメリットがあるとは到底思えない。

特に西鉄においては、自社のバス事業に打撃を与えることになるであろうし、貝塚以遠の運賃収入が入る訳でもなく、全く乗り気ではないことは市側も百も承知の筈である。

それよりも川島某氏のような絵空事の域を出ることはないと思われるが、JRと地下鉄の短絡線を作り、交直流ではあるが直通運転した方がよほどメリットがあると思われる。

私は都市工学の専門家ではないため、費用がいくらかかるかはわからないが、韓国では交直流直通の地下鉄が存在するし、日本においてもつくばエクスプレスは事実上の交直流地下鉄といっても過言ではないであろう。

これにより貝塚線との直通運転では恩恵の生まれない北九州・宗像・古賀という人口の集積地から天神へ直通することが出来、対費用効果も少なくとも貝塚線と直通運転を行った場合よりは好成績を収めることが出来るであろう。

鹿児島本線は完全な幹線鉄道、箱崎線は今でさえ過剰設備気味であり、双方のスケール・メリットが生きることとなる。

所要時間は快速で小倉-天神間75分程度であり、現行より10分程度の短縮、運賃はJR1250円、地下鉄250円の1500円であるが、割引切符を設定し1200円程度とすれば良いであろう。

しかし来年の九州新幹線・博多駅新駅ビル開業を控え、社運をかけて博多駅の拠点性強化を意気込んでいるJR九州が、天神に塩を送るような真似をするとは思えないので、実現は極めて困難であろうことは百も承知であるが。


宮地岳線時代の300形。冷房改造され最低限のアコモデーションは満たしていたものの、大手事業者が60年も前の車両を現役で使わざるを得ない状況は異常事態であった。90年代より野上電鉄、蒲原鉄道、新潟交通、西鉄北九州線といったあまりに時代遅れの車両を置き換える事のできなかった路線は悉く廃止に追い込まれている。その点、宮地岳線の部分廃止も必然的なものであったのかもしれない。