不動産開業は
定年後が、ぴったりです
プロフィール
バックナンバー
「店舗物語」連載開始
てんぽたんの
「不動産開業顛末記」
「出会い」連載中
8.人生観変わる―最終章ー
63.各駅電車の旅 new
四月末からの連休に友人と二人で
各駅電車の旅に出た。計画なしの
出たとこ勝負の気楽な旅である。
小さなバック一つで、東京駅の銀
座で有名な羊羹屋が経営している
いるカフェで珈琲を飲みながら食
べた一口羊羹がとてもうまかった。
清水港の刺身も脂がのって舌に絡
んだ。浜松町のウナギも肉が厚く、
凄く元気をもらった。小田原の蒲
鉾とビールもやけに相性が良く、
のどを刺激したし、熱海の芸妓見
番新築落成記念の芸子さんの大勢
の写真(昭和29年4月1日撮影)
が時代を感じて脳に焼き付いて残
っている。西から北陸へと進んで
新潟方面へ。天候にも恵まれて、
素敵な気分転換が出きた。最終日
の電車にのり、帰路の道程に向か
い始めると、急に寂しさが、定時
制高校の修学旅行の帰りの電車に
乗る時と同じよう感情がわいてき
た。何かが終わる様な怖さがあっ
た。気楽な旅行から帰った夜、あ
る決心をした。自分でも、ビック
リするほど、あっけなく、誰にも
相談しないで今月、つまり5月の
末まで、そうゆう立場で過ごすこ
とにした。とても、穏やかな気持
ちになったことを覚えている。
(次回に続く)
62.能力と時代の限界
長年の課題であった、物件確保の
問題は、サブリース以外の方法は
見つかっていないし、コンセプト
から見てもサブリースは、採用で
きないので、物件確保の課題は、
永遠の課題である。それと、事務
所移転に伴い新しい方針も打ち出
せない。今迄、色々チャレンジし
てみたが芽が出ない。先日、当社
専任で仲介更新している家主さん
が物件を売却して当社から手が離
れた。それと、息子さんが、担当
なった物件が他の不動産会社に変
更の連絡があった。良くあること
だが、久しい同業からも、聞くよ
うになった。飲食居抜き売却で経
営を継続して二十数年が経過して
、業界も成熟期に入り当たり前の
仕事になり、賃貸専門と変わりが
なくなってきている。それと、個
人の能力の問題、年齢・体力(健
康)からの限界等、やがて、いつ
かははっきりしてくると思う。い
や、本人が気が付かないだけかも
しれない。宅建業の更新・賃貸契
約の更新・決算・事務所移転と急
いで処理しなしといけない。最近
の体調からすると結構きついのだ
。それと、飲食居抜き売却が当た
り前になり、その役割を担ってい
る時代は終わった。世代交代なの
かもしれない。
( 次回に続く)
61.妨害
秋葉原のメイドカフェ店舗の募集
で、リストに載っている五社に物
件チラシをメールで送った。その
内の一社から三日後の内見希望の
予約が入った。当日、物件前で待
っていたが、こない、連絡するも
捕まらない。あきらめて、事務所
帰ると、物件チラシを送ったもう
一社から、是非契約したいと、嬉
しい連絡が入った。念のため賃貸
人に確認すると、3日後に面接が
入ったので、保留してくださいと
、言われた。翌日、腑に落ちない
ので、賃貸人に確認すると、以前
客付けした同業から、電話があり
思わず物件を話してしまったと、
いう。その同業のお客さんと面接
予定と分かった。面接者の社名を
きくと、なんと、当社の内見予定
社と同じだった。念のため電話し
てみると、つながらない。もう一
方の希望者から早く進めてほしい
と、矢の催促が来た。しばらくし
て賃貸人からお客さんどうですか
と、催促の電話が入った。どうも
先日の面接は、条件が折り合いが
つかないので、断るという。翌日
断られたお客さんから、朝一番で
連絡があった。同業から、手数料
を安くするから、言われて乗り換
えたらしい。すいませんでしたと
、誤ってきたので、それ以上は、
何も言わないで、電話をきった。
そのお客さんとは、後日、居抜き
売却の時、依頼を受けた。そんな
出来事が増える一方であった。
(次回に続く)
60.花粉症
桜の開花が進むほど、今回の花粉
症の反応が強い。特に鼻水を処理
する時に鼻血が伴うことが多く、
商談中にも何回か反応して相手に
不快な思いをさせてしまうケース
あった。耳鼻科で診察してもらい
特に異常はありませんと、止血剤
を出すだけで、その効果もない時
もある。それと温かくなり、タバ
コの煙に咽る反応が、いつもの年
より早めに反応が始まって辛い。
朝から体が怠く、契約書等を読み
合わせる時、目がきつくなり中止
したいぐらいな状態が続いている
。特に集中力がなくなりミスが増
え作業に時間かかるようになった
。仕事は、予定通り受注でき、間
もなく契約のほうに進むので、あ
りがたいと思う。ただ、ここ数年
同じような変化もない仕事の流れ
になって、安定しているように思
えるが、どこか緊張感がなくな
っている。世の中、どんどん技術
が発展しているのに、いつも先頭
入っているつもりが、独りよがり
になっている、井の中の蛙、かも
しれない。体調が悪いと、やはり
前向きになれないものである。そ
の時、3件連続で居抜き店舗の売
却相談が入り、明日の予定は、そ
の訪問で埋まった。おかしなもの
で、その瞬間は、少し気分が高ま
り、元気が出てきた。
(次回に続く)
59.同業訪問 new
毎年やっている、お世話になった
、契約で縁があった同業周りを始
めた。先代が、対応能力が衰えた
ので、従業員が代表を引き継いだ
社長がその場にいたので対応して
くれた。血縁もない珍しい例であ
る。JRの駅前の2階の老舗の会
社で、先代とは何回か縁があり、
今回引き継いだ社長とは、その時
お会いしている。精悍な立派な紳
士である。先代が守ってきた物件
如何に管理して守るかが仕事の中
心と言っている。近くには、チェ
ーン店の同業もあり、結構大変と
みたが、本人は、色々な考えの家
主さんがいるので、厳しいが、信
頼されていれば、どうにかなると
、はっきり言っていた。女子事務
員と2名体制で、飛び込み客と、
レインズで仲介をしている。HP
は、最低限のもので、あまり反響
ないという。親戚らしい事務員が
お替りしてくれたお茶を飲み干し
事務所を後にした。近くの牛丼店
でランチを食べ次に向かった。宅
建協会に入会するときにお世話に
なった会社に行くと、社長が留守
でいつもの担当者が会社を辞めて
独立したことが分かった。厳しい
時の船出だと思う。
(次回に続く)
58.連続の都庁訪問
知り合いの同業二社が、同じよう
な理由で都庁から呼び坐され、二
社とも、当社が客付けをしている
。連続で同じ都庁の担当者だった
ので、ご苦労さんと、笑いながら
挨拶された。当社は、参考人とし
て意見を聞かれたので、正直に事
実を述べて都庁を後にした。午後
3 時過ぎだったので新宿公園まで
足を延ばし早めの桜を見学した。
つまらないことで意地を張って、
素直に家主に頭を下げれば済んだ
ものをと、思いながら同業の担当
の心の内を考えた。やはり、普段
から家主に対する周りからは、判
らないいやな思いがあったのかも
しれない。中々、素直になれ合い
時がある。一人は、会社を辞めた
と知らされ、もう一人は、会社と
家主に頭を下げて、ことをすまし
たらしいと、聞いた。都庁の担当
者が、賃貸人は、気分を害すると
親しく付き合っている業者に対し
ても原則論で都庁に訴え、容赦な
いし、寄って来る業者が沢山いる
からと、言っていた。3分咲きの
桜が寂しそうに風に揺れた。侘し
い出来事だったが、都庁の担当者
が、凄く身近に感じた出来事だっ
た。
(次回に続く)
57.体力と気力
体力がなくなったと感じたのは、
東日本大震災の翌日、会社から
自宅に向かって歩いて帰った後
、翌週からの仕事が、きつかっ
た。最初は、精神的なものと、
思っていたが、目が充血したり、
酷くかすんだり、痛かったりし
た。暫くすると、歯まで傷んだ
りして驚いた。それと、前から
のタバコ煙で肺が咽る反応も、
出やすくなった。朝起きるとだ
るい日が続き、当然気力も落ち
てくる。医療関係の検査では、
肺の炎症後以外は特に発見はな
かった。福島の原発事故の事の
当事者の事を考えると、胸が痛
い。たまたま、近くにいただけ
で被害を受け、広島・長崎の原
爆も含めて、人は、避けようが
ないことが、自分の意志と関係
なく起こりうる、こんなことを
考えると、胸が熱くなる。避け
ようがないなどと、思ったが、
冷静に見ると、原発も原爆も人
間の意思で決めたことなので、
避けられる可能性はあるのだ。
資本主義の利益差第一主義は、
効率性から見ると、一見優れて
いるが、それを基盤とし大きな
勢力になると、修正が難しくな
る、世界の歴史の発展方向と違
ってくる。そんなことを思うの
は、やはり、体力が落てきて、
気力までが失われたからだろう
か。仕事は、まあまあで、今で
も推移しているが、発展のない
繰り返しの連続と、人間の強欲
な部分を知ったからだろうか。
(次回に続く)
56.賃貸人の提示
賃貸人の代理人の社長は、予定
時間の 10時にゆっくりと階段
上がってきた。珈琲を一口飲む
と前回と同じように世間話を一
方的にしゃべりだし、結構時間
が過ぎてから、カバンから書類
を取り出し、一部を手渡し説明
しだした。これが賃貸人の意向
ですと、目がぎょろりと、こち
らを凝視した。賃貸人の意向は
、契約当時の総額だったので、
世間話を持ち出して、無視した
。すると、理解したらしく、要
望があったらご連絡くださいと
、頭を下げて帰った。最初は、
こんなものだろうと思い、暫く
放って置くことにした。そんな
時、昨年、飲食ビルを購入した
社長から、電話が入りランチの
誘いがあったので、気分転換に
なると思い、喜んで出かけた。
方言交じりの社長が、約束のお
店の前で笑顔で待っていた。
お世話になりましたと、握手を
交わした。上階のステーキの店
入り、楽しく歓談した。購入し
たビルは、予定通りに進み、い
い買い物だったと、感謝された
。貸店舗の場合は、いい物件で
経営は、別問題なので感謝され
ないケースが多い。投資用物件
は、毎月はっきりと、結果が出
ので分かりやすい。昼間のビー
は、のどを潤し気持ちいい分、
酔いも強く回って、爽快な気分
だった。
(次回に続く)
55.湯島の料理店
家主さんの相談は、5階建一階を
自己使用から賃貸に回した場合と
2~4 階を先代が一括賃貸して更
新料がない契約になっているので
2 年ごとに更新料を請求したいと
の2点だった。もう既に、賃貸し
35年になるという。17 回の更新
料が台無しになっているので家主
さんはアルコールで赤くなってい
る顔がさらに強い色になっている
ように感じた。奥さんは、優しそ
うな笑顔で黙って聞いていた。料
理が次から次へと運ばれ、美味し
さに舌を打った。アルコールも大
分回ってきたので、店を後にして
、間もなく家主さんと別れた。顔
が、夜風にあたると、ふと、以前
湯島のスナックを紹介したママの
顔が浮かんで1年ぶりに顔を出し
た。綺麗な和服に面長の笑顔で迎
えてくれた。60歳前後のお客さん
で賑わっていた。新しくボトルを
入れると若いホステスさんが隣に
座って薄めの水割りを作って、私
も頂きますと、綺麗な笑顔を横に
まげてチラリとこちらを見た目が
素敵だった。2時間程、歌ったり、
冗談を言い合って、とても気持ち
の良い時を過ごし、ママに挨拶し
て帰った。誕生会の案内の封書に
押し花がきれいに貼ってあった。
(次回に続く)
54.初めての相談
決算の準備をしていると、改めて
規模を拡大しないで、今日までよ
くやってこれた、と思う。最近は、
ネットのお陰で物件が入れば、掲
載すれば、希望者を獲得できるの
で営業そのものはしない。ありが
たいことなのだ。当社レベルの会
社を維持するのであれば、現状で
事足りるのだ。今度の決算も前年
少し超えているので、心配がない、
何故なら、年間経費がここ数年殆
ど一緒なのである。だから売り上
げが確定できれば、ほぼ予測でき
る。家計簿に近い内容なのだ。そ
んな時、賃貸人の代理人の社長か
ら電話があり、明日来社するとい
う。そろそろ、賃貸人側の数字が
出るのかもしれないと思った。本
日は、近くの一階で飲食店をして
いる家主さんから招待を受けてい
るので、早めに会社を出で、カフ
ェで一息してから待ち合わせ場所
に向かった。上野広小路の一角の
割烹店に入ると、既に夫婦で先に
席について待っていた。ビールで
あいさつ代わりにのどを潤し、し
ばらく世間話をした。もう二十数
年間立っていたが、改めて席をも
のは初めてだった。
(次回に続く)
プロフィール
バックナンバー