たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

油断

2008-01-04 14:50:44 | Weblog
 原油の値段が遂に1バレル100ドルを超えた。米国のサブプライムローン問題でファンドから逃げ出した資金が原油市場に流れ込み、投機筋によって原油先物相場がどんどん押し上げられている。この1年でおよそ2倍に跳ね上がったことになる。現代の社会構造においては石油がなくては1日も動くことが出来ない。
 30年ほど前に堺屋太一氏による小説「油断」が発表されたが、その中で石油が途絶えた場合の恐ろしさが社会生活のあらゆる面で描き出されている。石油依存体質は日常生活の隅々まで浸透しており、生活自体が石油の上に浮かんでいると言われているほどだ。原油価格高騰の影響は既に経済活動に大きなダメージを及ぼし始めている。庶民生活にとって必需品の灯油、ガソリンの値上がりは著しい。
 石油価格の高騰にたまりかね、トウモロコシや砂糖キビなどから石油に代わる燃料としてエタノールが生産され始めているが、これが思わぬ方面に影響が出ている。エタノール生産拡大のため穀物などの耕作地が押しやられ狭められて、穀物などの価格が高騰し始めた。このためスーパーなどで食料品などの値上げが最近特に顕著になってきた。
 調査研究機関の報告によれば新しい油田が発見されない限り石油の枯渇まであと70年しかないという。中国をはじめとする新興国の石油消費量が飛躍的に増大しているためだ。今世紀のうちに石油の枯渇が実際にやってくるのではと考えただけでも恐ろしい。石油に代わる安定的なエネルギーを如何に確保するかが大問題である。石油依存体質からの脱却をなんとか早く成し遂げなければならない。