浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
その第93回目。
障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文書が、取り交わされた。
平成22年1月である。
原告団にとっては、その合意文書にそった新法を期待していた。
ところが、障害者総合支援法はその意にそってないと、原告団は主張している。
以下は、その経緯が述べられている。
*************************************************
【引用始め】
http://www.asai-hiroshi.jp/doukou.html
「障害者自立支援法に関する動向
2011.1.15作成/ 2013.7更新
「障害」をどのようにとらえ、
障害をもつ人の「福祉」をどのように考えるかということが
基本的には大切なわけですが、
人の暮らしという視点でいえば、どのように暮らすか、
どのように暮らせるかということは
障害の有無には関係なく誰にとっても重要なことだと思います。
実情を無視した法律を施行すれば当然無理や混乱が生じます。
障害者自立支援法による新事業体系への移行が
なぜ順調に行かずに現在に至ったか
についての思慮ある政策であってほしいと思います。
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障害者自立支援法違憲訴訟に係る基本合意について
平成22年1月7日に、障害者自立支援法違憲訴訟の原告団・弁護団と
厚生労働省が基本合意文書を取り交わしましたので、お知らせいたします。
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基本合意文書 平成22年1月7日
障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と
国(厚生労働省)との基本合意文書
障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら71名は、
国(厚生労働省)による話し合い解決の呼びかけに応じ、
これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的・意義に照らし、
国(厚生労働省)がその趣旨を理解し、
今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が
社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために
最善を尽くすことを約束したため、
次のとおり、国(厚生労働省)と本基本合意に至ったものである。
一 障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定
国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、
遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し
新たな総合的な福祉法制を実施する。
そこにおいては、障害福祉施策の充実は、
憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。
二 障害者自立支援法制定の総括と反省
1 国(厚生労働省)は、憲法第13条、第14条、第25条、
ノーマライゼーションの理念等に基づき、
違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める。
2 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、
立法過程において十分な実態調査の実施や、
障害者の意見を十分に踏まえることなく、
拙速に制度を施行するとともに、
応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、
障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、
障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、
原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、
この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。
3 今後の新たな障害者制度全般の改革のため、
障害者を中心とした「障がい者制度改革推進本部」を速やかに設置し、
そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定することとしたことを、
原告らは評価するとともに、新たな総合的福祉制度を制定するに当たって、
国(厚生労働省)は、今後推進本部において、
上記の反省に立ち、原告団・弁護団提出の本日付要望書を考慮の上、
障害者の参画の下に十分な議論を行う。
三 新法制定に当たっての論点
原告団・弁護団からは、利用者負担のあり方等に関して、以下の指摘がされた。
① 支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が
講じられた時点の負担額を上回らないこと。
② 少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③ 収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、
障害児者本人だけで認定すること。
④ 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、
障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること。
⑤ 実費負担については、厚生労働省実施の
「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」 (平成21年11月26日公表)の結果を踏まえ、早急に見直すこと。
⑥ どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、
個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、
支給決定の過程に障害者が参画する協議の場を設置するなど、
その意向が十分に反映される制度とすること。
そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた
抜本的な検討を行うこと。
国(厚生労働省)は、「障がい者制度改革推進本部」の下に設置された
「障がい者制度改革推進会議」や「部会」における
新たな福祉制度の構築に当たっては、
現行の介護保険制度との統合を前提とはせず、
上記に示した本訴訟における原告らから指摘された
障害者自立支援法の問題点を踏まえ、
次の事項について、障害者の現在の生活実態やニーズなどに十分配慮した上で、
権利条約の批准に向けた障害者の権利に関する議論や、
「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」 (平成21年11月26日公表)の結果も考慮し、しっかり検討を行い、対応していく。
① 利用者負担のあり方
② 支給決定のあり方
③ 報酬支払い方式
④ 制度の谷間のない「障害」の範囲
⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額
四 利用者負担における当面の措置
国(厚生労働省)は、障害者自立支援法廃止までの間、
応益負担(定率負担)制度の速やかな廃止のため、
平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者及び
障害児の保護者につき、障害者自立支援法及び児童福祉法による
障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする措置を講じる。
なお、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とする。
五 履行確保のための検証
以上の基本合意につき、今後の適正な履行状況等の確認のため、
原告団・弁護団と国(厚生労働省)との定期協議を実施する。
【引用終わり】
*************************************************
原告団が唱える主張にそった国側の努力はどんなことかを明らかにする。
その努力は認める必要がある。
しかし、どうしても果たせなかった内容は何か、「五 履行確保のための検証」の項目があるので、定期的な国との協議の中で、お互いの理解を図っていく。
そうなれば、互いの利害が一致する。
一気に主張どおりに福祉施策が推進できない現実がある。
時間をかけた方がいいものもある。
法の改正と共に、関係者の理解推進、そして社会全体が福祉へもっと関心を持つ施策が必要である。
障がい者だけに任せておく風潮を少しでもふりはらうことである。
(ケー)
その第93回目。
障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文書が、取り交わされた。
平成22年1月である。
原告団にとっては、その合意文書にそった新法を期待していた。
ところが、障害者総合支援法はその意にそってないと、原告団は主張している。
以下は、その経緯が述べられている。
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【引用始め】
http://www.asai-hiroshi.jp/doukou.html
「障害者自立支援法に関する動向
2011.1.15作成/ 2013.7更新
「障害」をどのようにとらえ、
障害をもつ人の「福祉」をどのように考えるかということが
基本的には大切なわけですが、
人の暮らしという視点でいえば、どのように暮らすか、
どのように暮らせるかということは
障害の有無には関係なく誰にとっても重要なことだと思います。
実情を無視した法律を施行すれば当然無理や混乱が生じます。
障害者自立支援法による新事業体系への移行が
なぜ順調に行かずに現在に至ったか
についての思慮ある政策であってほしいと思います。
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障害者自立支援法違憲訴訟に係る基本合意について
平成22年1月7日に、障害者自立支援法違憲訴訟の原告団・弁護団と
厚生労働省が基本合意文書を取り交わしましたので、お知らせいたします。
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基本合意文書 平成22年1月7日
障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と
国(厚生労働省)との基本合意文書
障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら71名は、
国(厚生労働省)による話し合い解決の呼びかけに応じ、
これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的・意義に照らし、
国(厚生労働省)がその趣旨を理解し、
今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が
社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために
最善を尽くすことを約束したため、
次のとおり、国(厚生労働省)と本基本合意に至ったものである。
一 障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定
国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、
遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し
新たな総合的な福祉法制を実施する。
そこにおいては、障害福祉施策の充実は、
憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。
二 障害者自立支援法制定の総括と反省
1 国(厚生労働省)は、憲法第13条、第14条、第25条、
ノーマライゼーションの理念等に基づき、
違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める。
2 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、
立法過程において十分な実態調査の実施や、
障害者の意見を十分に踏まえることなく、
拙速に制度を施行するとともに、
応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、
障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、
障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、
原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、
この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。
3 今後の新たな障害者制度全般の改革のため、
障害者を中心とした「障がい者制度改革推進本部」を速やかに設置し、
そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定することとしたことを、
原告らは評価するとともに、新たな総合的福祉制度を制定するに当たって、
国(厚生労働省)は、今後推進本部において、
上記の反省に立ち、原告団・弁護団提出の本日付要望書を考慮の上、
障害者の参画の下に十分な議論を行う。
三 新法制定に当たっての論点
原告団・弁護団からは、利用者負担のあり方等に関して、以下の指摘がされた。
① 支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が
講じられた時点の負担額を上回らないこと。
② 少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③ 収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、
障害児者本人だけで認定すること。
④ 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、
障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること。
⑤ 実費負担については、厚生労働省実施の
「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」 (平成21年11月26日公表)の結果を踏まえ、早急に見直すこと。
⑥ どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、
個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、
支給決定の過程に障害者が参画する協議の場を設置するなど、
その意向が十分に反映される制度とすること。
そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた
抜本的な検討を行うこと。
国(厚生労働省)は、「障がい者制度改革推進本部」の下に設置された
「障がい者制度改革推進会議」や「部会」における
新たな福祉制度の構築に当たっては、
現行の介護保険制度との統合を前提とはせず、
上記に示した本訴訟における原告らから指摘された
障害者自立支援法の問題点を踏まえ、
次の事項について、障害者の現在の生活実態やニーズなどに十分配慮した上で、
権利条約の批准に向けた障害者の権利に関する議論や、
「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」 (平成21年11月26日公表)の結果も考慮し、しっかり検討を行い、対応していく。
① 利用者負担のあり方
② 支給決定のあり方
③ 報酬支払い方式
④ 制度の谷間のない「障害」の範囲
⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額
四 利用者負担における当面の措置
国(厚生労働省)は、障害者自立支援法廃止までの間、
応益負担(定率負担)制度の速やかな廃止のため、
平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者及び
障害児の保護者につき、障害者自立支援法及び児童福祉法による
障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする措置を講じる。
なお、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とする。
五 履行確保のための検証
以上の基本合意につき、今後の適正な履行状況等の確認のため、
原告団・弁護団と国(厚生労働省)との定期協議を実施する。
【引用終わり】
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原告団が唱える主張にそった国側の努力はどんなことかを明らかにする。
その努力は認める必要がある。
しかし、どうしても果たせなかった内容は何か、「五 履行確保のための検証」の項目があるので、定期的な国との協議の中で、お互いの理解を図っていく。
そうなれば、互いの利害が一致する。
一気に主張どおりに福祉施策が推進できない現実がある。
時間をかけた方がいいものもある。
法の改正と共に、関係者の理解推進、そして社会全体が福祉へもっと関心を持つ施策が必要である。
障がい者だけに任せておく風潮を少しでもふりはらうことである。
(ケー)