今後、もしイラクのテロが沈静化してきた場合に、ブッシュ政権はイラクから撤退する意図はあるのであろうか。「アメリカの世界戦略について その1」で紹介したプロ・ブッシュの主張の塊ともいえる日高レポートでは、米国はイラクに第二のペンタゴンを建設中で、そこを中東の軍事戦略の要にするという。この話が本当であれば、米国(少なくともブッシュ政権)には、イラク撤退の意思は無く、テロ対策を口実としてイラクに大軍を駐留させつつ、国内で撤退論が強くなりすぎる前に、次なる標的イラン憎し、という世論を米国内で(国際世論は全く気にしてないと思われるので)、高めたいというのが、ブッシュ政権の方向性なのだろうか。ニュースの中では、
1.イラク駐留米軍1万5千人削減へ、選挙警備のヤマ越す
2.イラク駐留米軍高官「戦闘終結遠い」・イラク部隊訓練急務
米国は当面撤退する意思の無い事を表明。
3.イラク宗教勢力、多国籍軍の早期撤退要求
イラクの宗教勢力は、早期撤退を求めている。この辺りのせめぎあいが続くのだろう。
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1.イラク駐留米軍1万5千人削減へ、選挙警備のヤマ越す
ウォルフォウィッツ米国防副長官は3日、上院軍事委員会で証言し、イラク駐留米軍の数を現行の15万人規模から3月に約1万5000人削減し、13万5000人体制にすることを明らかにした。
米軍は、イラク暫定国民議会選挙(1月30日)警備のため、陸軍と海兵隊の一部を駐留延長するなどして一時的に増強しており、今回の1万5000人削減は、選挙終了でイラク警備のヤマ場を越えたと判断して、選挙前の体制に戻すことを意味している。
その一方で副長官は、イラクの反米武装勢力鎮圧について、「道のりは険しい」とも述べ、年内に駐留米軍の規模をこれ以上縮小する計画はないとの見方を示した。
ブッシュ米政権は、イラク駐留米軍について、「人為的な撤退期限を設けない」(ブッシュ大統領)とする一方で、イラク軍・警察の訓練を積み上げて、なるべく早い時期に自ら治安維持を担えるようにし、米軍の漸次撤退を考えている。
しかし、米軍のマイヤーズ統合参謀本部議長は、同日行った記者会見の中で、米軍が訓練したイラク軍兵士約13万6000人のうち、危機対応が可能なのは約4万人にとどまり、全体の3分の1にも満たないことを認めた。
ウォルフォウィッツ副長官によると、イラク軍部隊の脱走兵は約4割に上るという。
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2.イラク駐留米軍高官「戦闘終結遠い」・イラク部隊訓練急務
イラクの首都バグダッドの治安維持に当たるイラク駐留米軍部隊のハモンド准将は4日、AP通信に、国民議会選挙は成功したが、反政府武装勢力との戦闘は終結からはほど遠い、と述べた。
ハモンド准将は、米軍は今後、掃討作戦を遂行できるイラク精鋭部隊約4万人をはじめイラク部隊の訓練が重要だとの認識を示した。
第1騎兵師団の副司令官を務める同准将は「このまま米軍がどんなに掃討作戦を続けても撤退できない。永遠にイラクで戦い続けることになる」と述べ、米軍撤退には任務遂行が可能なイラク人部隊をつくり上げることが急務との考えを示した。
イラク治安部隊については3日、マイヤーズ統合参謀本部議長が「約4万人がいかなる場所でいかなる脅威にも対処できる」とし、さらに約10万人が警察力などとして治安維持に貢献できるとの認識を示していた。
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3.イラク宗教勢力、多国籍軍の早期撤退要求
イラクでイスラム宗教勢力が相次ぎ、米軍主体の駐留多国籍軍の早期撤退を求め始めた。国民議会選挙の投票が終わり、民主化計画が動き出したことで、イスラム教を基盤とする国造りを進めるため英米の影響力を排除する狙いだ。有権者に棄権を呼びかけたスンニ派の有力組織イスラム聖職者協会のダーリ事務局長は5日、バグダッドでカジ国連事務総長特使と会談。特使は新憲法の草案作りに参加するよう要請した。
協会の報道担当は会談後、草案作りに加わる条件として多国籍軍の明確な撤退計画の提示をあげた。「(条件の内容を)選挙不参加の政党と擦り合わせる」とも述べ、協会を支持基盤とするイラク・イスラム党などと共闘する姿勢をみせた。