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-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

大恐慌!?その289 米住宅市場の底入れは見えず・・着工件数は条例変更の影響

2008-07-22 12:52:32 | 世界経済

soumaさんからコメント頂いた「米住宅市場の下げ止まりの兆候」についてであるが、結論からすると、HMIが示唆するように、下げ止まりと見るのはまだ時期早尚の様に思われる(むしろ、悪化している可能性も十分にある)。

6月の米住宅着工件数は+9.1%となったが、ニューヨーク市建設条例の変更の影響が大きく、その影響を除くと許可件数は0.7%増、着工件数は4.0%減であり、下げ止まったとは全くいえない状況(※1)。今後反動で急落するだろう。

また、米住宅価格について、大幅に下がったという報道が続き、もうそろそろ底入れを期待する向きもあろうが、住宅価格の水準を図る有力な指標であるPrice-to-Rent Ratio(住宅価格と賃料の比率)でみると、下がったとはいえまだまだ歴史的には極めて高水準にある(※2)。住宅バブル崩壊を考えると、Price-to-Rent Ratioは歴史的水準よりも下回ってもおかしくないことを考えると、残念ながら下落余地はまだまだ大きい。

着工件数や販売件数は、すでにピークの半分以下となっており、遠からぬうちに底を打つ可能性はあるが、価格下落は今後数年続く可能性が高い。ホームエクイティローンや、ローン債権の悪化など、経済全体へのダメージが大きいのは、住宅価格の下落であるため、当面厳しい下落プレッシャーが続く中で、もうすぐ税還付の効果が尽きる。

おそらく、次の景気下支え策を打ち出さざるをえないだろうが、今後の米景気状況について、まったく楽観を許す状況ではないだろう。

 

※1 6月の米住宅着工件数は+9.1%、建設条例変更で予想外の増加

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080718-00000036-reu-bus_all

米商務省が17日発表した6月の住宅着工・許可統計は、ニューヨーク市建設条例の変更の影響で、着工件数が予想外の9.1%増となった。変更の影響を除くと着工件数は4.0%減だった。
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 北東部の集合住宅件数を除くと、許可件数は0.7%増、着工件数は4.0%減となる。

※2 Price-to-Rent Ratio Update

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/07/price-to-rent-ratio-update.html


Price-to-Rent Ratio Click on image for larger graph in new window.

This graph shows the price to rent ratio (Dec 1982 = 1.0) for both the OFHEO House Price Index and the Case-Shiller National Home Price Index. For rents, the national Owners' Equivalent Rent from the BLS is used.

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Looking at the price-to-rent ratio based on the Case-Shiller index, the adjustment in the price-to-rent ratio is probably more than half way complete as of Q1 2008 on a national basis. This ratio will probably continue to decline with some combination of falling prices, and perhaps, rising rents. And the ratio may overshoot too.