現在はFRもFFも、国産も輸入車もATしか選択の余地がないクルマが多い。そもそも、ヨーロッパなんか、MT比率が6割と聞くから、大型高級車でない限りMTの設定があるはずだ。それをインポーターの政策でAT(DSGなどの2ペダル含む)のみ正規輸入車としてしていることは不思議にも感じる。そんな中でも、BMWミニは、比較的MTが見つけやすいクルマだ。
しかし、FFでLSD付きとなると、なかなかお目に掛かる機会は少ない。今回、車検を取り試走しているR53(50系のクーパーS・6MT仕様)だが、嬉しいことにLSD付きであった。クーパーSの6MTはゲトラグ製だが、これにGKNドライブライン社(元の栃木富士産業)製のスーパーLSDという機械式LSDが組み込まれている。この確認は、フロントリフト状態で、片輪を廻すとノーマルデフ(オープンデフと呼ぶらしい)だと、デフ作用で反対車輪が逆方向に回るが、LSD付きは廻らない。(イニシャルトルクの大きなLSDでは、反対車輪も同方向に回る。なお、TMケースの品番ラベルにてパーツリストから、LSD付きだと確認している。品番:2300 7541 1423)
このGKNのスパーLSDだが、従来の機械式LSDがサイドギヤの外側に多板クラッチを用い、駆動力の左右分配比をカムで検出すると、左右サイドギヤの多板クラッチを押し出し、デフケースに押し付けることにより、作動制限を行っていた。これを多板クラッチでなく、サイドギヤ背面の傾斜面とデフケースの傾斜面の間にコーン状のリング(MTのシンクロナイザーリング様の大きなもので、多板クラッチと同様の効果を持たせる仕組みの様だ。なお、プリセットトルクは、セットされたコイルスプリングで、一定の余圧を行ってる。作動制限のバイアス比は、2~2.5と、FRスポーツのような5に近い高いものではない。これは、FF車の場合、ステアリングへのキックバックと保舵力の大きな変化を抑えるためだと想像する。
このゲトラグ6MTとLSDであるが、オイルにシビアでないところは良い点だ。旧来、FRのハイパワーマシンでは、トルク容量からゲトラグを使う例があったが、ギヤオイルでなくATFが指定されていたりしたものだ。また、FR様のLSDでは、多板クラッチのチャター音(引きづり音)などの解消のため。ハイポイドギヤオイルLSDなど、専用オイルの指定がなされる場合が多かった。今回のFFでは、ミッショントとデフは共用オイルとならざるを得なくなるが、通常のギヤオイルでOKの様だ。BMWのパーツリストを見ても、LSDありなしで、ギヤオイルの区分はない。
さて、LSD効果だが、映画「栄光へのル・マン」で、スピンして事故を誘発させたフェラーリが路肩から、左後輪舗装路、右後輪未舗装、つまりスプリット路からの急発進において、右後輪は若干の空転はあるものの、力強く発進加速する姿に端的に表れている。つまり、コーナリングなど、左右の荷重差で空転が起きがちな駆動輪を抑え、強力なトラクションを生み出すというのが目的だ。副次的に、強力なトラクション活かした、パワードリフトには必須のメカニズムとなる。
体験しているもう一つの副次的効果だが、未報走路など路面の凹凸が激しい直線路での加速において、接地性の劣るクルマでも格段に直進安定性が高まることもある。これも、不要なホイルスピンを押さえることよる、姿勢変化の防止上効果があると言うことだろう。この件は、今回のR53においても、湿潤したバンピーな舗装路面での全開加速などで、同様の効果を確認できた。
前にも記したが、FFのLSD付きは初めての体験であるが、1速もしくは2速で旋回するタイトコナーにおいての、離脱時のトラクションとんあんだーステアの抑制には、やはり効果を発揮する。それ以上高段ギヤだと、駆動力の絶対値も小さく、カーブ円周も大きいから、ノーマルデフも空転するなんてケースはないだろう。
最期に、駐車場内など、大舵角でゆっくり走行すると「クー、クー」とブレーキの引きずる様な音が出るが、プリセット力がある故のチャター音というもので、特別大きな音でない限りあまり気にする必用はないだろう。

しかし、FFでLSD付きとなると、なかなかお目に掛かる機会は少ない。今回、車検を取り試走しているR53(50系のクーパーS・6MT仕様)だが、嬉しいことにLSD付きであった。クーパーSの6MTはゲトラグ製だが、これにGKNドライブライン社(元の栃木富士産業)製のスーパーLSDという機械式LSDが組み込まれている。この確認は、フロントリフト状態で、片輪を廻すとノーマルデフ(オープンデフと呼ぶらしい)だと、デフ作用で反対車輪が逆方向に回るが、LSD付きは廻らない。(イニシャルトルクの大きなLSDでは、反対車輪も同方向に回る。なお、TMケースの品番ラベルにてパーツリストから、LSD付きだと確認している。品番:2300 7541 1423)
このGKNのスパーLSDだが、従来の機械式LSDがサイドギヤの外側に多板クラッチを用い、駆動力の左右分配比をカムで検出すると、左右サイドギヤの多板クラッチを押し出し、デフケースに押し付けることにより、作動制限を行っていた。これを多板クラッチでなく、サイドギヤ背面の傾斜面とデフケースの傾斜面の間にコーン状のリング(MTのシンクロナイザーリング様の大きなもので、多板クラッチと同様の効果を持たせる仕組みの様だ。なお、プリセットトルクは、セットされたコイルスプリングで、一定の余圧を行ってる。作動制限のバイアス比は、2~2.5と、FRスポーツのような5に近い高いものではない。これは、FF車の場合、ステアリングへのキックバックと保舵力の大きな変化を抑えるためだと想像する。
このゲトラグ6MTとLSDであるが、オイルにシビアでないところは良い点だ。旧来、FRのハイパワーマシンでは、トルク容量からゲトラグを使う例があったが、ギヤオイルでなくATFが指定されていたりしたものだ。また、FR様のLSDでは、多板クラッチのチャター音(引きづり音)などの解消のため。ハイポイドギヤオイルLSDなど、専用オイルの指定がなされる場合が多かった。今回のFFでは、ミッショントとデフは共用オイルとならざるを得なくなるが、通常のギヤオイルでOKの様だ。BMWのパーツリストを見ても、LSDありなしで、ギヤオイルの区分はない。
さて、LSD効果だが、映画「栄光へのル・マン」で、スピンして事故を誘発させたフェラーリが路肩から、左後輪舗装路、右後輪未舗装、つまりスプリット路からの急発進において、右後輪は若干の空転はあるものの、力強く発進加速する姿に端的に表れている。つまり、コーナリングなど、左右の荷重差で空転が起きがちな駆動輪を抑え、強力なトラクションを生み出すというのが目的だ。副次的に、強力なトラクション活かした、パワードリフトには必須のメカニズムとなる。
体験しているもう一つの副次的効果だが、未報走路など路面の凹凸が激しい直線路での加速において、接地性の劣るクルマでも格段に直進安定性が高まることもある。これも、不要なホイルスピンを押さえることよる、姿勢変化の防止上効果があると言うことだろう。この件は、今回のR53においても、湿潤したバンピーな舗装路面での全開加速などで、同様の効果を確認できた。
前にも記したが、FFのLSD付きは初めての体験であるが、1速もしくは2速で旋回するタイトコナーにおいての、離脱時のトラクションとんあんだーステアの抑制には、やはり効果を発揮する。それ以上高段ギヤだと、駆動力の絶対値も小さく、カーブ円周も大きいから、ノーマルデフも空転するなんてケースはないだろう。
最期に、駐車場内など、大舵角でゆっくり走行すると「クー、クー」とブレーキの引きずる様な音が出るが、プリセット力がある故のチャター音というもので、特別大きな音でない限りあまり気にする必用はないだろう。

