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整備白書R4年より その5

2023-06-19 | コラム
整備白書R4年より その5
 整備工場の売り上げとしては、工場数約92千工場、1事業所(工場)あたり整備要員数4.4名、1名当り平均整備売上は大雑把だが年間約1千万と計算できる。これは、整備売上(約5兆7千億円)/整備従業員数(間接員含むで約55万名)から概算値として導ける数値だ。

 これで、年間給与はディーラー以外で370万円(平均年齢51才)、ディーラーで480万円(平均年齢37才)と集計されているのだが、年収/年間売上として、概略の労働分配率を計算するとディーラー以外で約37%となる。これには、社会保険など企業側の負担金も含まれず、正味の分配率はもう少し上がるが、何れにして企業活動を運営継続するためには各種固定経費を要するので、限界近いものであろう。ディーラーで集計すると労働分配率はも少し下がるが、これも大規模な設備投資とかそれなりの教育など、固定比率は上昇するので、やむを得ない様にも感じる。それと。ディーラーの平均年齢がそれ以外と比べ若いが、これは新卒採用が出来ていることもあるが、他部門への移動も含め、長期勤続者の数が少ない傾向がある様に想像できる。

 さて、ここで整備工場の部門別売り上げ比率を集計した表が白書で掲示されているが、ディーラーとそれ以外という2形態の対比で見比べて見ることは意味あることだと思う。

 そもそもディーラーで新車販売比率が約60%だが、これでも全盛期からは低下しており、特に大型4社系列など商用車ディーラーでの集計はなされていないが、もっと新車販売の依存率は低いと想像できる。

 ところで、筆者は50年ほど、この整備業界と触れ合って来て、倒産したり廃業したりする整備工場を見てきたが、専業整備工場で、新車販売および中古車販売をやっていない工場ほど、入庫の頭打ちから限界が訪れる傾向があったと見受けている。特にディーラー以外の整備工場が新車販売において得られる利益は微々たるものだが、以後の車検や点検、その他整備を含め、購入した販売店工場へ結び付く固定客を獲得するためには、車両販売は欠かせない事項だと思える。

 それと、この集計で、やはりなと思うのは保険代理店としての売上構成比は2%程度と微々たるものだ。これは、ディーラーがセールスマンが存在し、保険販売も熱心に拡販しているしている様でいて、むしろディーラー以外より僅かだが低めの構成比となっていることに今更ながら驚く。しかし、今次ビッグモーター事件が問題化しているが、この僅か2%でも全体のパイが大きいと、必ずしも明確ではないが200億という収保があって、これが保険会社への牽制力を発揮したというところだが、不正を行う代理店にはこれを切るという正義を抑え込む力を発揮するところが凄いところだ。

 実際のところ、小さな整備工場代理店などで、些細な不正が発覚すると、直ちに代理店解除通告を受ける。それと、代理店を運営するには、自己代理店禁止規定というのがあって、該当代理店の収保の50%が自己物件の保険(社有車保険とか経営者親族保険)が50%を超えてはならないという禁止規定がある。ところが整備工場代理店にとっては任意保険を拡販しようという意欲は一般に薄いが、継続検査などで随時自賠責保険を発行したいという動機から代理店契約をしている場合もあるが、これも自己代理店禁止規定から、代理店を自ら辞めたり、扱い損保から別の代理店に移管を促されるという場面がある。

 この集計表で、その他とされる項目だが、特に兼業の場合多いのだが、そもそも兼業の場合は別の業務としてあってのことのだが、昨今目立つ事例としては、レンタカー業を始めたり、未だ地方では少ないのかもしれないがシェアリング業を営む事例も目に付く。整備白書でも集計されているが、レンタカー業とかカーシェアリングの数は増える傾向にあり、整備需要が頭打ち傾向の中、新事業の検討を行う価値はありそうに思える。

 ちなみに、同集計ではその他事業の構成比は2%しかないディーラーだが、下記の最近記した新事業を立ち上げる気運もある。この場合、新事業を別法人として起業すれば、同集計には入らず、同一ディーラー資本で別事業を運営している事例はもっと多い実態にありそうに思える。

【参考記事】
国内ディーラーで新事業の立ち上げ気運か?
2023-05-26 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/7d404aef5fb493cba6dd043c79e1e560


 最後に、昨今は筆者はテーブル商売などと思っているのだが、ネット環境の充実もあり情報過多でもあるが、一方で情報の格差を利用して、情報提供とかあまり役立たない機械器具で整備工場が食い物にされるという事例も見受けられる。昔から、整備工場の設備機器だとか部品や塗料などは部品商だとか塗料販売店があるのだが、現在の整備工場の売り上げの頭打ち感の中では、一般に大型高価格の設備機器は売れない時代になっている。その一方で、情報提供だとかフランチャイズ事業に取り込まれる事例もあり、それら総てが無価値と云うことはもちろんないが、中には詐欺的な商法という場合もあり得るだろう。この様な詐欺的商法の場合、一般人の消費者相手(BtoC)なら消費者生活センター経由で注意もしくは警告を受け抑制できるのだが、BtoB商取引の場合は、消費者生活センターの取り扱い対象外となってしまう。この関係は、その契約を結ぶ場合、相当に警戒心を持ちつつ、広く同業者の意見も聞いて見る必要がありそうだ。


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