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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

プリウス事故から思うこと

2019-05-31 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 テレビなんぞは昨今見ないが、Net報道や関連した論評を見ると、高齢者はクルマに乗るなから始まり、そもそも暴走するのはプリウスが大過ぎるなどというのまであります。これら記事を、じっくり読む訳でもないが、到底論理矛盾した記事と断定しています。(あくまで私見です。)

 ただ、間違いなく云えるのは、プリウスの保有台数(販売台数)が相当に多く、母集団が大きければ例え同じ事故率でも、事故発生件数が増えるのは当然です。このことは、街の板金工場を何十件か廻って、その中でプリウスの比率をカウントしてみれば実感できることでしょう。

 もう一つ、プリウス乗ってる年齢層が、中には2、30代の方が乗って、ローダウンしたり、超扁平タイヤに大径ホイール、あげくは4本出しマフラー風にしてるのも見ますが、あくまで大勢はシニア層である40代以上が中心と見えます。そんな中、今回の池袋暴走の元官僚で叙勲者という立派な経歴でなくとも、60代以降の年齢層が占める率も多いこともあると想像しています。

 と、前口上を記しましたが、そもそも車種別の事故率とか、事故当りの損害額などは、保険会社が一番承知しているのです。そもそも、保険会社たるバクチ屋は絶対損しない様に、昔から各種数値情報を統計分析して保険料を決めて来たからです。具体的には、保険会社が共同出資して構成された損害保険料率算定機構(旧名は保険料率算定会で以下算定機構と略す)なる組織を保持し、各保系会社から提供を受けた各種データを分析し、現在では車種・型式別料率クラスというのを設定しています。その昔は、この様な仕組みは持たず、年齢条件と、車種にあっては小型、中型、大型程度の区分程度で保険金(事故の際支払われる金額)の上限との関係だけで保険料(契約時に支払う掛け金)を決めていたのです。それが、欧米などの保険会社の動向を真似、遅ればせながらですが、車名・型式別料率クラス(1~9)を決めるに至ったのですが、当初は車両保険だけだったはずですが、現在では総ての保険種目について料率クラスを定めているのです。なお、今回この記事を記すに当り、算定機構のWebを見て、昔と考え方が随分変わったなぁと改めて思うところです。それは、算定機構は、そもそも昔は妥当な保険料の算定を行い、各保険会社横並び(つまり同額の保険料)の時代が続いたのです。それが、金融の自由化などの一貫として、算定機構は、あくまで純率と呼ばれる基本の保険料を決め、付加率と呼ばれる各保険会社が独自に決める保険料を加算することで、ある程度保険料の上下を認めたということまでは知っていました。しかし、Webの記載を眺めると、保険料率(純率)の3つの原則というのが記してあって、「①合理的、②妥当、③不当に差別的でない」とあります。これは、その昔は、3つは「①適正、②妥当、③公平」という概念だったと思い出します。さもない違いですが、含むところは大きいのかもしれません。

 さて、小難しい話しを終え、実際の算定機構で決めた料率クラスを具体的な4車種「プリウス10、20、30、そしてGT-R(R35)」の4車種を図で示して見ましょう。見ている方それぞれに受け止めの違いはあるかと思うが、プリウス10(もうあまり走っていないでしょう)と20、30(これが現在一番多いでしょう)との違いは、どうしてかなと考えてしまいます。そして、比較のために掲載したR35GTRを見て下さい。車両以外の項目はプリウスより低いのです。ちなみに、ここでは乗せてませんが、フェラーリとか見ると、車両が最上限の9になっています。

 この料率クラスですが、単に事故率だけで決めているのではなく、事故の損害額単価を重視しているのではないかというのは想像です。つまり、車両保険において大小様々な事故はあるでしょうが、平均修理費が高い(つまり部品および工賃が高いと云うことでしょう)クルマほど、料率クラスは上がるということでしょう。

 最後に、これだけの分析ができる算定会では、車種、車型、年齢別の事故率や事故形態とか平均損害額の計算もできるでしょうが、それが公表されることは日本ではないのです。それは何故でしょうか? その回答は宿題として保留しておきます。



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