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トヨタ改めてのEV専用プラットフォームの開発をどう見るか

2023-01-25 | コラム
トヨタ改めてのEV専用プラットフォームの開発をどう見るか
 極至近(23年1月)の報道というかメーカー広報で、何かとEVについては出遅れ感を指摘されているトヨタが、改めてEVプラットフォーム(車台)を開発していくことが報知されている。この情報をどうみるかの視点で記してみたい。

 まず、既にトヨタはEV専用プラットフォームを採用した"bZ4X"および協業メーカーのスバルから"ソルテラ"という名称で、EV専用新型車を発売済みだ。ところが、最近の報道などで、タイヤのハブボルトが緩みタイヤが脱落する問題で、販売を中断としその使用までを中止依頼するという滅多にない様なリコールを生み出した。このハブボルトの問題は約2カ月を経て、リコールなされ改善されたのだが、今度は、航続距離(電費)がメーカー公表値と乖離が多過ぎる(つまり、表示値より大幅に少ない)という問題が、欧州カー情報誌から指摘され、トヨタ側では改めて調査し、報告するという広報をしているが未だ果たされていない。

 さて、この最新のトヨタEV専用車(BEV)のbZ4Xだが、発表時点(2021年)でEV専用プラットフォームを採用したとしており、従来車種と主な違いとしては、BEV車では特に航続距離重視を求めると比較的大きなスペースを取るバッテリーの搭載スペースを、車体中央となるキャビン床下の広大なスペースに搭載する手法をとっているのだが、これは既にテスラなどで実績されて来たもので、トヨタの新しい発想なんかいささかもない。

 ここで、既にbZ4XでBEV専用プラットフォームということを主張して来たトヨタが、極至近改めてEV専用プラットフォームを開発する方向を再度広報したといういうのだが、普通ならそれは「既にbZ4Xで開発済みだろうに?」という素朴な疑問が出る訳だ。

 ここで、公式にはトヨタは、欧米(米はカルフォルニアのみ)諸国がBEVへの変更を2035年とか年限を限って打ち上げたのに対し、一見のところあまり積極的同意を示していなかったのだが、世界のBEV車への開発状況かと、世間のトヨタBEV出遅れ意見に対し、経営方針を変更しようという動きが出て来たと見なせるのだろう。つまり、既存開発済みのbZ4X程度の少量生産車では、今後の世界的なBEVへの動きに取り残される危機感をやっと今頃、表明せざるを得なくなったというのが私の理解だ。

 ここで、喫緊のBEVアゲインスト問題として、リチウムの素材原価の大幅値上げにより、既存BEVの販売価格が大幅に引き上げられているという問題がある。ただし、この問題は現時点でリチウムイオンが量産バッテリーとして最上の性能を持つに過ぎないということに過ぎず、今後も充電可能な二次電池の主流がリチウムイオンのまま推移すると思うのは短絡思想だ。既に、様々な企業が、リチウムイオンに変わる、全固体電池とかフッ化水素とかカリウムイオンという素材での電池などで量産化に漕ぎ着けようと熾烈な技術開発競争が行われていることが各種情報から読み取れる。

 しかし、BEV化(と実際には同時進行でより高度なASV化(自動運転化))が進行する方向は間違いないところだろう。特にASVの発展には、その制御性の問題として、従来の内燃機関より親和性が高いということも無視できないところだろう。

 となると、従来の内燃機関では一番コストの要であったエンジンが、BEVではバッテリーであることは明らかであり、自動車コンプリートとしてコストを圧縮するには、その他でコストを圧縮して行く方向しかないということが理解できる。そして、そうなると、既にテスラが始めている、ボデー本体のダイキャスト化という方向をトヨタも取るしかないんじゃなかろうかというのが私の予見だ。

 このダイキャストとは、要するにアルミの鋳造技術の一種なのだが、金型製作にはある程度のコストは要するが、マスプロダクションする場合には、その1品当りの製造時間が極めて短時間化できるとか、寸法精度が高いとか、応力に応じた板厚を自由に設計できるとか、そもそも製品部品点数を大幅に削減でき組み立て合理性も追求できで、車両重量低減化を図り、総合コストを大幅に低減できる技術であることは知られたところだ。だから、従来の内燃機関でも、各種制限はあるものの、量販エンジンのシリンダーブロックなどは、多くがダイキャスト化されて来ていたのだ。

 ただし、将来的にこのボデーダイキャスト化と云うのは、ASV化と合わせてぶつからないクルマを前提にするのだが、もしぶつかって修理するという視点では、著しく修理実現性を経済的に困難とする事態になると思える。つまり、端的に記せば、自動車板金塗装業の仕事を大幅に減らす方向へ導くのは間違いないことだろう。


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