燃料温度変化による空燃比の変化
現在のガソリンエンジンでは電子制御燃料噴射でしか排出ガス規制をクリアできなくなったので、キャブレターは絶滅した。また、ディーゼルエンジンでは、元々圧縮着火という基本原理上から燃料噴射は必須だったのだが、これも従来のメカニカルポンプによる噴射から電子制御燃料噴射に変わった。(俗に云うコモンレール式)
ここで、キャブレター時代とか、電子制御燃料噴射でも、燃料温度の高温化による、パーコレーションという燃料が沸騰気化することよるいトラブルがあるのだが、一般に電子制御エンジンにしても電子制御ディーゼルエンジンにしても、燃料はタンクからフィードポンプでフューエルデリバリパイプまで導かれるが、プレッシャーレギュレターによりガソリンエンジンの場合は吸気管圧力差として200kPa程度で一定に加圧されており、余分な燃料はフュエールリターンパイプでタンクに戻されており、燃料ラインが加圧されていることで、パーコレーションは生じ難い。ただし、エンジン停止時にプレッシャーレギュレターの調圧弁密着不良などを起こしていると、エンジン停止後の高温化したエンジンルーム温度でデリバリパイプ内でパーコレーションを生じ、暖機後の再始動に際してクランキング時間が長いという現象が生じることがある。これことは、以前、以下の過去記事にも記した通りだ。
燃料噴射とパーコレーション
2011-06-30 | 技術系情報
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/33cb5c8ace29cf8a6d9fe5a6ab360689
さて、今回は、燃料温度の変動により燃料の密度が変化するが、それにより実空燃比が変動するということを記して見たい。実のところ、最近知るのだが、最近のエンジンで、燃料温度をセンシングしているエンジンがあることを知り、なるほどここまで空燃比パラメーターとして管理しているのだと意識しつつこの記事を記すのだ。
一般に液体は温度上昇と共に体積を増やす。つまり密度としては低下する。
あるネット記述によるとガソリンの体積膨張率は0.00135と記されていて、ガソリン温度が1度上がるとこの値で体積は膨張するという訳だ。電子制御ガソリン噴射エンジンでは、噴射弁の開弁時間により噴射量を吸入空気量に対して、理論空燃比1:14.7を前提に制御しているのだが、高負荷時などは出力空燃比として、もっと濃い空燃比としてエンジン内部パーツの保護を行っている。
ここで、やはりネット記述からだが、仮に燃料温度が70度となったら、先の比重低下により同体積の燃料は薄いことになるのだが、仮に理論空燃比1:14.7は20%程度密度低下することで1:17.6程度までリーン状態になってしまうことが記されている。
実際のところ、排ガス制御されているエンジンは、過渡的な空燃比の変動に際し、排気管の残存酸素量とか、空燃比センサーで燃焼をリッチorリーンか、実空燃比を捉え補正動作をするのだが、後から補正するより実空燃比としての合わせ込みを最初からしておいた方がレスポンス的には良い。また、先に述べたが出力空燃比の様な高負荷では、空燃比補正はしない前提なので、燃料温度上昇による空燃比のリーン化はエンジン損壊の原因ともなりかねない。
このガソリン燃料温度上昇による、空燃比のリーン化はポート噴射式よりシリンダー内直接噴射式エンジンにおいて、影響が出やすい様だ。と云うのは、直接噴射式エンジンでは、燃料総量としてはリーンだが、噴射をスパークプラグ付近を狙って噴射することで、燃焼室内の混合気濃度をいわゆる層状として、スパークプラグ付近をリッチとして着火させ、その他の周辺はリーンだが火炎伝播により完全燃焼させ得るなどの利点がある。
現在のエンジンでは、ターボ加給ガソリンエンジンですら、圧縮比は11という高圧縮エンジンが各車両メーカーから登場しているが、この高圧縮加給エンジンでの過早着火など異常燃焼を起こさないエンジンは直接噴射故にできたものだろう。ただし、これが燃料温度上昇でリーン化すると、異常燃焼を生じる可能性も高まることから、先に述べた燃料温度センサー付きエンジンが出て来たものと想像できる。
現在のガソリンエンジンでは電子制御燃料噴射でしか排出ガス規制をクリアできなくなったので、キャブレターは絶滅した。また、ディーゼルエンジンでは、元々圧縮着火という基本原理上から燃料噴射は必須だったのだが、これも従来のメカニカルポンプによる噴射から電子制御燃料噴射に変わった。(俗に云うコモンレール式)
ここで、キャブレター時代とか、電子制御燃料噴射でも、燃料温度の高温化による、パーコレーションという燃料が沸騰気化することよるいトラブルがあるのだが、一般に電子制御エンジンにしても電子制御ディーゼルエンジンにしても、燃料はタンクからフィードポンプでフューエルデリバリパイプまで導かれるが、プレッシャーレギュレターによりガソリンエンジンの場合は吸気管圧力差として200kPa程度で一定に加圧されており、余分な燃料はフュエールリターンパイプでタンクに戻されており、燃料ラインが加圧されていることで、パーコレーションは生じ難い。ただし、エンジン停止時にプレッシャーレギュレターの調圧弁密着不良などを起こしていると、エンジン停止後の高温化したエンジンルーム温度でデリバリパイプ内でパーコレーションを生じ、暖機後の再始動に際してクランキング時間が長いという現象が生じることがある。これことは、以前、以下の過去記事にも記した通りだ。
燃料噴射とパーコレーション
2011-06-30 | 技術系情報
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/33cb5c8ace29cf8a6d9fe5a6ab360689
さて、今回は、燃料温度の変動により燃料の密度が変化するが、それにより実空燃比が変動するということを記して見たい。実のところ、最近知るのだが、最近のエンジンで、燃料温度をセンシングしているエンジンがあることを知り、なるほどここまで空燃比パラメーターとして管理しているのだと意識しつつこの記事を記すのだ。
一般に液体は温度上昇と共に体積を増やす。つまり密度としては低下する。
あるネット記述によるとガソリンの体積膨張率は0.00135と記されていて、ガソリン温度が1度上がるとこの値で体積は膨張するという訳だ。電子制御ガソリン噴射エンジンでは、噴射弁の開弁時間により噴射量を吸入空気量に対して、理論空燃比1:14.7を前提に制御しているのだが、高負荷時などは出力空燃比として、もっと濃い空燃比としてエンジン内部パーツの保護を行っている。
ここで、やはりネット記述からだが、仮に燃料温度が70度となったら、先の比重低下により同体積の燃料は薄いことになるのだが、仮に理論空燃比1:14.7は20%程度密度低下することで1:17.6程度までリーン状態になってしまうことが記されている。
実際のところ、排ガス制御されているエンジンは、過渡的な空燃比の変動に際し、排気管の残存酸素量とか、空燃比センサーで燃焼をリッチorリーンか、実空燃比を捉え補正動作をするのだが、後から補正するより実空燃比としての合わせ込みを最初からしておいた方がレスポンス的には良い。また、先に述べたが出力空燃比の様な高負荷では、空燃比補正はしない前提なので、燃料温度上昇による空燃比のリーン化はエンジン損壊の原因ともなりかねない。
このガソリン燃料温度上昇による、空燃比のリーン化はポート噴射式よりシリンダー内直接噴射式エンジンにおいて、影響が出やすい様だ。と云うのは、直接噴射式エンジンでは、燃料総量としてはリーンだが、噴射をスパークプラグ付近を狙って噴射することで、燃焼室内の混合気濃度をいわゆる層状として、スパークプラグ付近をリッチとして着火させ、その他の周辺はリーンだが火炎伝播により完全燃焼させ得るなどの利点がある。
現在のエンジンでは、ターボ加給ガソリンエンジンですら、圧縮比は11という高圧縮エンジンが各車両メーカーから登場しているが、この高圧縮加給エンジンでの過早着火など異常燃焼を起こさないエンジンは直接噴射故にできたものだろう。ただし、これが燃料温度上昇でリーン化すると、異常燃焼を生じる可能性も高まることから、先に述べた燃料温度センサー付きエンジンが出て来たものと想像できる。