私の思いと技術的覚え書き

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ターボ(Turbo)のこと

2010-12-01 | 技術系情報
 ガソリンおよびディーゼルエンジンに装着されるターボチャージャー(turbo charger)ですが、そもそもは空気の薄い高空を飛行する航空機用として開発されたものでした。その後、自動車用のエンジンにも採用される様になったのですが、一時は注目されていたのですが、いったん姿を消した後、近年増加の傾向にある様に感じます。
 自動車用ターボが登場し、いったん姿を消したのは、ターボラグと呼ばれる再加速時のレスポンスの悪化や、低回転域でのトルク不足、燃費の悪化等々のウィーク雨ポイントあったからだと思われます。しかし、先にも記した通り近年は増加しつつあり、特に排出ガス対策済みのトラック用ディーゼルエンジンでは、ほぼ間違いなくターボ付きエンジンがすべてと云ってよいでしょう。
 これは、ディーゼルエンジンとターボとのマッチングが良いことがありますが、もう一つ押さえておかなければならないこととして、VGターボ(Variable Geometry Turbo)の採用があります。VGターボでは、排気タービン・ブレードに当たる排気ガスの開口面積をベーン(羽)により変化させることで、加給効果が高められるというものです。この採用で、ターボラグが少なく、従ってターボラグ中に生じやすい粒子状物質(PM)も少なくなる等の利点がある様です。なお、VGターボ以前のターボで最大過給圧の制限に必用であったウェストゲートバルブも不要となります。
 ところで、そもそもの目的としての自動車用エンジンへのターボの採用は、出力アップということが主だった訳です。しかし、トラック用エンジンでは顕著ですが、大幅にエンジン排気量を低減させ、その上でターボ装着により従来と同等以上の出力とトルクを出している、いわゆるダウンサイジングにあり、この結果大幅な省燃費化を図っていることでしょう。
 ガソリンエンジンでは一部の高性能スポーツカーは今も出力優先ですが、特別スポーツ性を追求していなくても、ダウンサイジング(排気量縮小)としてのターボ装着したクルマが増えつつある様に感じます。なお、ガソリンエンジンでは、排気ガス温度がディーゼルより高温であり、高温に耐えるVGターボ用可変ベーンはコストアップの要因となりがちですが、装着車は増えつつある様です。
 また、、ガソリンエンジンでは加給時のノッキングの問題から、圧縮比を低下させる必用があり、低回転時のトルクが低下しがちという弱点がありました。しかし、直噴(ダイレクト・インジェクション)の採用により、圧縮比の低下を従来より僅かなものとできる様です。
 以上の様な状況が、再びのターボ付きエンジンの増加の要因となっている様です。


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