私の思いと技術的覚え書き

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CANインベーダーなど一部車両の盗難を思う

2023-02-06 | 問題提起
CANインベーダーなど一部車両の盗難を思う
 自動車盗難は、過去の盗難全盛期に比べれば、その盗難総数は減じたというものの、一部の中古車市場での高額車種、つまり市場での人気車種については正に狙い撃ちされるかの様な車両盗難事件が続いている。

 近年の盗難で特徴としては、車両の使用者がキートランスミッターを所持し、該当車両に近づいただけで、ドアロックが解除可能になるといういわゆる微弱電波による暗号通信で行うことを利用したものが増えている。これはリレーアタックという盗難手法となるのだろう。

 そして、昨今は今や現代車両は車両内の電装部品間の通信に、CAN(キャン)バス通信という、シリアルバス通信による統合、協調、連携などの機能を持たせつつ、高度な車両制御やワイヤリング本数の抑制とか保守サービス性の向上などを図っている。そういう中で、正常なキートランスミッター所持者がドアロック解除とかエンジン始動する際の信号が、車両の共通バス回線となるCANバスに統合がなされているため、ヘッドライトへ配線なされたCANバスワイヤリングへ外部からフェンダー内側のライナーをめくるなどしてアタッチ結線しつつ、予め正常車での同様操作において処理なされる何段階かの通信アルゴリズムを電子メディアに記録しておき、同バスに再生することで、車両の方は、正規のトランスミッター保持者と判断して、ドアロックの解除も行えるし、エンジン始動もできてしまうというのだ。これはCANインベーダーという手法だ。

 こういうことを知ると、そもそも論なのだが、車両の設計者なり開発車は、こういうセキュリティーについて、ある程度予想できたはずとも思えてしまうところがある。それを、競合他社メーカーが採用したからと云って、十分にこういうアタックをされた場合の防御はどうなのかという思考がまるでなかったという見方もできるのではないだろか。

 これについて云えば、311の福島原発大崩壊において、全電源喪失という事態はあり得ないという前提をまず設定し、それに対する非常訓練や対処を一切思考していなかったのと似た部分がありはせぬかと思ってる。しかも、車両盗難のれれーアタックにせよCANインベーダーにせよ、車両は絶えず電波とかCANバスへの通信回路への信号で、ウェイクアップ(起動)しつつ、その機能を発揮するという脆弱性を、まるで思考の範囲外において設計開発が行われた結果で、よくよく思考しうる者なら予見できた事例ではないだろうか。つまり、これら新機能を利用した車両盗難は、あまりのメーカーのセキュリティ意識の欠如が生み出したものであり、メーカー責任もあるのではないかというのが私の思いだ。


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