私の思いと技術的覚え書き

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コンポジットマテリアル

2020-08-16 | 車両修理関連
 コンポジットマテリアルとは直訳すれば複合材料のことだ。旧来からある、コンポジットマテリアルの代表的なものとして、鉄筋コンクリートがある。圧縮に強いが、引張に比較的脆弱なコンクリートに、リインフォース(補強材)として、適宜の鉄筋(スチールの骨組み)を内在させて包み成型させることで、重量、コストを抑えて強靱な構造体を作るものだ。

 しかし、近年というより1995年に生じた阪神大震災では、多くのビルや鉄道、高速道路の高架部分の柱において、揺れによる応力の集中する部分に、コンクリートの粉砕が生じ、内部の鉄筋との分離から強度が失われて倒壊する現象が多発した。それからの10年、国、高速道路会社、鉄道会社は、驚き慌てて、耐震補強工事を行って来た。

 その耐震補強工事の具体例として、ビルなどでは、内部もしくは外部に鉄骨造りの大型の振れを抑制する補強だとか、建物基礎部分に、地面の揺れをインシュレーションする免震装置を取り付けるものだ。道路や鉄道の高架橋の縦柱では、コンクリートが粉砕しないよう厚板鋼板を巻き付けたり、柱外部をさらに鉄筋コンクリートで多い、一回り太い柱としたことだろう。

 さて、近代のコンポジットマテリアルの代表は、カーボン繊維+樹脂でのものだろう。1本辺りのカーボン繊維の断面は髪の毛より細いが、同断面のスチールより100倍ほども引張強度を持つという。これを高性能樹脂で包むことで、CFRPと呼ばれる製品だ。

 市販車用として、CFRPは初めて採用されたのは何処か判るだろうか。それは、概観ではなくプロペラシャフトと云うことは、あまり一般に知られていない様にも思う。このプロペラシャフトは、最大回転数はオーバードライブシフトもしくはレンジにおいては、エンジン回転を増速して回転する。そこで、振動防止にバランシング調整が行われるが、軸のスパンが長いと、それ自体の自重で垂れ下がることにより、高速回転でその垂れ下がりが共振すると、振れが極端に大きくなり、継ぎ手(スリーブヨーク)が抜け落ちるなど極めて危険な状態になる。この危険を避けるべく、分割プロペラシャフトが使用されるが、CFRPとして樹脂に炭素繊維を含浸させたものを多重に巻き付けて、単一のプロペラシャフトとし、軽量で高い剛性かつ危険回転速度を引き上げることができるものだ。なお、危険回転速度のことは、従前記しているので、参照されたい。


危険回転速度のこと 2017-06-09
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/852da2c885cd425ab589240bba0e8cf3

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