goo blog サービス終了のお知らせ 

 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

この自動車部品は何か判る?

2017-05-15 | 車両修理関連
 単体でこの自動車部品は何かと問われたら、その車種に精通していない限り、答えられる方は少ないだろう。答えはBMW車に使用されるステアリング・アングルセンサー(以下同センサーと記述)である。同センサーはステアリング・ホイールの切り角度(転舵角)を検出する目的で設置され、DSC(スタビリティコントロール)や電子式ターシグナルスイッチのOFF動作等を行っている。だから、同センサー故障が生じると、DSC異状ランプが点灯したり、ターンシグナルを点灯から転舵し直進走行になっても戻らない(OFFされない)といった症状が表れる訳なのだ。(国産および輸入車を含め同様のセンサーは現在では当然すべてといっていいくらい使用されている。)

 今回、トラブルに遭遇したのはBMW・E91(320iツーリング)だが、先に記したのとまったく同様の症状を呈していた。DCTチェッカーで点検すると、ステアリング・アングルセンサー異状と表示され、異状コードを消去しても、左右に転舵を繰り返すと再度異状コードが検出されるという状態なのだ。そこで、ステアリングアングルセンサーを取り外し分解し、写真の円盤状のセンサー部品を観察すると、同心円状に並んだ透明なスリットに細かいツブツブ状の汚損が確認されたのだった。何とか直らないかと、同部品を極細目なペーパーで磨き、ほぼ汚損は除去されたと判断し、再度車両に装着し左右の転舵を行うと、停止状態の左右転舵では問題は生じなくなった。これで直ったと思いきや、走行テストを行ってみたところ、左転舵から右方向に戻し直進になる際に、再度DCTウォーニングが点灯してしまうのだった。がっかりしながら、こうなれば同センサーの円盤状部品(リペアキットとして販売8千円程)を替えるしかないと、部品を取り寄せ取替作業となった。走行テストを行いましたが、今度は異状はまったく再発せず完全に直った。

 ところで、今回の作業で感じたのは以下の様なことです。同センサーがチリや埃を嫌うが如く、リペアキットには、ビニール手袋やヘアキャップまでが同梱されている。その割りには、同センサーが組み込まれるハウジング合わせ面などには、Oリングなどによる気密構造とはされておらず、これでは今回同様のトラブルも生じる可能性が大きくなるだろう。また、今回のクルマであるが、事故車でドライバー側エアバッグが作動していたのだが、先に記した細かいツブツブ状の汚損は、想像だがエアバッグインフレーターの展開初期における起爆剤の噴出で生じたものでないだろうか。比較的高温の微粒子噴流が同センサーへ微粒子を密着させる結果となった様に想像される。なお、同センサーのハウジング内面もザラザラと微粒子が付着(まるで薄く塗装を行った如く)付着しているのが観察されたのだ。最初の修理時にこのことに気づき、センサー円盤だけでなくハウジング内面の清掃も行っている。同センサーの不良は,そのすべてがエアバッグ作動に起因する訳ではないだろうが、エアバッグ作動車は要注意な部品と思われるのだ。

 それと、電子式ターンシグナルスイッチだが、BMWも含め多くのクルマで採用されているが、何かレバースイッチに節度がないためか、フィーリング的に好きになれない代物だ。従来の機械式スイッチだとフラッシングする側にカツンと倒れ、直進方向に戻すとカム機構でカツンと戻るという方が、判り安いし人間の感性に合っているのでは思っている。何でもかんでもデジタルが良い訳じゃないという一例と思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。