私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

エーミング調整の前提条件に笑う

2018-12-12 | 技術系情報
 近日、ある修理作業者(兼経営者)と久しぶりに会う機会があり、ひとしきり話し込んでしまいました。昨今の入庫状況や近隣の仲間たる工場の様子などが主たる話しの内容なのです。そんな中、笑わせられたのがASV(先進安全自動車)で修理後に必要になるという前提条件のことです。

 つまり、ホイールアライメント点検もしくは調整を例にとれば、前提条件にはタイヤの空気圧だとか車高が基準値かとか記してあるでしょう。これは、車高が変われば、ジオメトリー(アーム長などの幾何学的な動き)により、アライメント値は基準値から狂う訳です。ですから、前提条件なる文言が記されている訳です。

 さて、ASVなる点検もしくは調整の前提条件は、以下の様なことが記してあると云うことです。
・ボデーアライメントが合っていること。
・ホイールアライメントが合っていること。

 この内、ホイールアライメントは判る訳ですが、ボデーアライメントとはどう確かめるのだろうかということです。一般論としては、事故車であるとかでない限り狂うことはない訳ですが、事故車の修復後とかで確認するにはどうするのでしょうか。メーカー発行のボデー寸法図と対比し、狂いがないかを計測するという結構大変な作業となることが判ります、寸法図は部位別の直線寸法と投影寸法と云われるデータムライン(基準仮想線)からの高さの寸法を対比することになります。これをミリ単位という工業製品であればかなり粗い基準ですが、精度良く計測しようとすれば結構大変だということが判ると思います。また、車両メーカーの様に大資本であれば、当該車両が十分乗るサイズの定盤上に設置し、数千万以上の高精度3次元計測器でプロットすれば完璧に計測できるでしょう。

 さて、話しはちょっと逸れる様ですが、事故車で内板骨格が損傷した場合、その寸法などの復元を目的として、フレーム修正機(国交省などで云う古めかしい名称では車枠矯正装置)で復元を行いますが、ある程度の復元は行えるにしても、寸法計測の難しさが生じます。その様な欠点を補う修正機としてベンチ式修正機が生まれたのです.このベンチ式の内、セレットベンチ(仏製)では、基本ベンチ上に、車種別に専用測定子をセットし、その上に当該車のボデー(エンジン、前後サス取り外し状態)を乗せることで、車両の重要部のポイントが基準値に狂っていないことがたちどころに判ります。

 やっと結論に辿り着きました。冒頭、私が笑った理由ですが、もし事故車だと判断されたら、セレットベンチに乗せてみるのかいということです。


※参考 機器メーカー説明チラシ
http://www.npkk.com/pdf/np_news_vol30.pdf?fbclid=IwAR0lNQcalbUo40NdcGCND4afJ2UU4D8y2yYLkme0K2ZcME2mYXrhHrRBnZs

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。