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 私の思いと技術的覚え書き

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日本が開発するIC微細回路の革新技術ナノインプリントリソグラフィとは

2022-03-15 | コラム
日本が開発するIC微細回路の革新技術ナノインプリントリソグラフィとは
 かつて(1980年代)、日本はIC(LSI)生産やTFT液晶ディスプレイにおいて、世界の50%を超えるシェアを持ち、世界最先端、最多量の電子技術を誇り、あのアホなNHKの呼び名だが「電子立国」とまで呼ばれた時代があった。ところが、90年初頭のバブル崩壊を境にして、そういう最先端技術メーカーから、有能な技術者が韓国とか中国に流れ、日本の技術力の発展に行き詰まってしまったのだ。つまり例を上げると、大画面液晶などでシャープは世界最先端の技術力を持っていたが、韓国などに流出した技術者の指導もあり、その技術をキャッチアップされた上、著しくコストを圧縮されたので、コスト競争力でせっかく大規模工場を建設しながら、到底コスト競争力で勝てないという状況になってしまったのだった。

 また、従来から現在まで、LSIの微細回路を作る技術は年々技術発展しており、その流れの先端を日本は走っていたのだが、やはりバルブ崩壊以後、技術者の流出だとかで、その技術発展に停滞を招いてしまったことが、日本のLSI生産の技術革新への停滞を招いてしまったと云えるだろう。

 ちなみに、LSIなど微細回路の製造には、原形回路パターンを光学的に縮小して超微細回路をシリコンウェアの上に焼き付ける露光装置というものが必須となるが、今や最先端のLSIでは回路の線幅が5nm(ナノメートル:m→μ→nと-3乗づつ小さくなるので1nmは10の-9乗)ともなると、もはや可視光では限界があり紫外線というべき短波長の光学技術となる。かつては、露光装置は日本の独壇場で、ニコンとかキャノンという光学メーカーが占有していたのだが、今やその栄光はない。現在の最先端半導体露光装置を作る企業はオランダのASMLという企業だ。

 ただし、落ち目の日本だが、半導体の基板となるシリコンウェハとか、露光装置の感光剤の塗布と現像を行う装置とかエッチングという目的回路を保護して浸食させる装置、エッチング溶液とか洗浄溶液としての高純度フッ化水素などのシェアは未だに高い。

 というLSIや液晶ディスプレイなど半導体微細加工技術だが、ここに来て従来の露光装置を使用しないで数nmの微細回路を作る革新的な製造法が、大日本印刷を核として、キャノン、キオクシア(旧東芝系列企業)の協業により生まれようとしている様だ。その名は「ナノインプリントリソグラフィ」(旧来の露光装置を使用する製法はフォトリソグラフィ)というもので、印刷技術を応用するものだが、明細は下記DNP(大日本印刷)のページを参照願いたい。
https://www.dnp.co.jp/news/detail/10161685_1587.html

 もし、この製法が、十分以上の歩留まりを上げ、コスト競争力もあるということになると、再び日本の電子立国への回帰が実現する可能性があるだろう。ただし、この世は権力者の欲に絶えずまみれた世界であって、電子立国日本の回帰を喜ばぬ勢力(主に米系巨大企業や欧州系企業群)が居ることを意識せねばなるまい。

 しかし、電子立国と自動車という2つのアイテムを持つ日本が、今や残された自動車は、この後コモディ化は避けられず、その収益は減らざるを得ないと云う宿命を持つ中、ますます需要は増す半導体としての微細加工製品での日本の復活は期待したいところだ。


#次世代LSI微細加工技術の技術革新への期待


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