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金融庁が事故車の修理単価の実態調査を行うと云う報に思う

2023-05-24 | コラム

金融庁が事故車の修理単価の実態調査を行うと云う報に思う
 この単価問題だが、1994年10月(H6/10/24)付けで、公正取引委員会は損害保険会社が策定拡散した損傷車両の復元修理費の算出する指数について、警告を発しているという過去の歴史がある。
 それと、記事末尾にある、損保の契約欲しさ(保険料収入欲しさ)に、大手モータービジネス代理店業との不正な修理費の関係が生まれることは、保険契約と事故の発生に絡み、利害関係が相反する故に宿命的な問題があるのではないかと意識している。このことは、欧米諸国において、予て自動車保険契約の代理店をモータービジネス関係者に取り扱わせないこととして来た損害保険会社における日本との大きな違いがある。
 さらに、指数と云ういわば作業の時間を基準とした工数に相当するものだが、策定する自研センターは、この使用を強要するものではないと公言しているが、扱う損保はなから使用を強要しつつ、使用しないとなると、料金決定が拒絶し続けるという問題がある。
 また、筆者としては、この単価問題だけでなく、指数値の妥当性に疑問を感じる機会があるのだが、その算出根拠を自研センターに質すのだが、企業秘密で詳細は説明できないと答えられ、扱う損保と話して欲しいと云われるのだが、扱う損保でも自研センターから指数の詳細は伝えられておらず、説明不能という、いわば説明責任を果たせない状態になっているという問題が内在していると意識している。

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金融庁が事故車の保険修理工賃めぐり実態調査、ビッグモーターの保険金不正問題にも波及か
東洋経済オンライン 5/24(水) 5:21配信
 金融庁は6月にも、損害保険各社が整備業者に支払う事故車などの修理工賃(レバーレート)の実態調査に乗り出す。調査の主な対象は損保各社だが、国土交通省とも一部で連携し整備業者へのヒアリングも進める方針だ。
 そもそも損保各社は2023年3月以降、足元の物価高を踏まえて整備業者と修理工賃を引き上げる交渉を始めている。修理工賃の引き上げは、保険金の支払い増加を通じて自動車保険の保険料計算に影響してくる可能性があり、監督当局として実態把握を進める必要があると判断した。
 今回、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社を中心に引き上げ交渉をしているのは、各社が自動車などの整備業者と個別に話し合って取り決め(協定)を結ぶ「指数対応単価」だ。

■単価設定の仕組みとは
 指数対応単価は、整備業者の人件費などを加味した作業1時間当たりの単価のこと。6000~8000円程度に設定されている業者が多いとされ、業界では工賃レート、レバーレートなどとも呼ばれる。
 その対応単価に、損保各社が出資する自研センター(千葉県市川市)が作業内容ごとに細かく設定した作業時間の指数(標準作業時間指数)を掛け合わせることで、適正な修理工賃を算出。そこに交換した部品代などを加えて修理費用の総額をはじき出し、整備業者が損保各社に請求するという仕組みになっている。
 そもそも損保業界は過去に、修理費用の適正化と抑制を狙って業界団体が「標準対応単価」を設定し、各社がそれをほぼ一律で整備業者に適用していた経緯がある。しかしながら、その業界慣行が独占禁止法の禁じる「闇カルテル」の疑いがあるとして、1994年に公正取引委員会から警告を受けた。以降は損保各社が物価の動向を見ながら、個別に対応単価を決めるかたちとなっている。
 対応単価をめぐっては1994年以降、バブル経済崩壊による景気悪化やその後の金融危機などで国内の物価は長年下落基調で推移してきたものの、損保各社は対応単価を引き下げる改定をほとんど実施してこなかった。
 一方で、2014年以降は消費者物価指数が緩やかな上昇基調にあるほか、コロナ禍の収束やロシアによるウクライナ侵攻などに伴って、インフレが世界各地で急激に進んだ。2023年に入ってもその勢いが続いていることや、整備業界から「安い工賃で損保から下請け会社のようにこき使われている」(大手整備業者幹部)といった不満の声が噴出していることもあり、損保各社として対応単価の引き上げは避けられないと判断したわけだ。
 修理工賃をめぐっては、整備業界の不満の声を受けて、金融庁と国土交通省が2010年に実態調査をした経緯がある。
 当時の調査は自研センターの標準作業時間指数について、適正な設定になっているかが主眼であり簡易なものだった。
 今回は指数に掛け合わせる対応単価や取引の実情について、損保各社に加えて整備業者にも聴取を行って、実態を詳しく調べる方針だ。
 また、金融庁による実態調査は、中古車販売大手ビッグモーターによる事故車の修理費不正(水増し)請求問題にも今後影響してくる可能性がある。
 “主幹事会社”となっている損保ジャパンを中心に大手損保はこれまで、ビッグモーターを整備やサービスの品質が高い事業者として、全国にある約30の整備工場を指定・提携工場に設定し、年間約3万台に上る事故車を優先的にあっせん(入庫誘導)していた。
 その背景にあるのは、ビッグモーターが事故車の入庫誘導実績などに応じて大手損保に割り振る自賠責(自動車損害賠償責任保険)の契約だ。保険代理店として200億円近い売り上げがある状況で、損保各社としても自賠責の契約欲しさに、ビッグモーターへの入庫誘導を強力に推進していたわけだ。

■取引慣行の闇が明るみに? 
 修理費の水増し請求問題は、そうした一連の取引構造の中で発生している。契約欲しさに修理工賃や作業内容の適正化については後回しにして、水増し請求には一部で目をつぶるような取引慣行が染みついていた疑いもある。
 その疑いはあくまで個社特有のものなのか、それとも業界全体に広がるものなのか。実態調査を通じてそうした「闇」の部分があぶり出されることになるのか、今後注目を集めそうだ。中村 正毅 :東洋経済 記者

 



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