【再掲】小野田寛郎氏問うところの「君たちどうする？」に思う

　小野田寛郎（ひろお：2014年９１才で死去のことは拙人ブログでも過去に何度か触れている。（下記参照））小野田氏はルバング島での３０年近くの孤独な生存の後に帰国するが、日本の余りの変わりよう（これは技術文明の変わり様でなく日本人の気質のこと）に嘆き悲しみ、ブラジルに移住し生活を続けた。そして、ブラジルでの酪農事業の一定の成功と安定を得た後、時々に日本に帰りつつ、日本の子供達を対象に「小野田自然塾」なる活動を続け晩年を迎えた方だ。その様な活動の中、自然塾での活動を前提に「君たちどうする？」という本を記したりしている。

　ここからは拙人の勝手な拡大解釈かもしれぬが、小野田氏が「君たちどうする？」と問いかけた相手は、決して子供達だけではないと信じている。つまり、世の日本の大人達に、この言葉を問うていると思うのだ。

　拙人は小野田氏の様に強靱な精神の持ち主でもなく、その知的レベルも相当に見劣りする人間だと自覚している。その下劣な拙人が、この数十年思い続けて来たのは、日本人が知的レベルが低下しているとは思えないが、その日本人たる気概というか誇りを忘れ、正に巷よく聞かれる「今だけ金だけ自分だけ」の思想に毒されつつあり、益々亡国の民となっていると感じることが多すぎると感じるのだ。

　もっと噛み砕いて具体例を記すと、拙人の生涯関わり続けた自動車関連業種でも、今行ってる自己の業務について、何故その様に行っているのかを時々触れあう相手に質すことがある。その答えは、マニュアルで規定されているから、会社の規則だから、法律で制限されているから等との意味合いの回答を受けることになる。つまり、その回答には、何ら自らの思想だとか古来日本人が保持して来たと信じる正義感だとか誇りが感じられないのだ。小野田氏に比べれば、比較のレベルは誠に拙い拙人ではあるが、こんな者でもそのことを痛切に感じ続け嘆き悲しみ、このままでは日本という形は残れど、日本という国の誇りもしくはディグニティ（尊厳）はなくなってしまうのではないかということだ。このことは、５０年ほど前に三島由紀夫氏が割腹自決する数ヶ月前に書き表した「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう」という言葉に通じる思いと同様のことなのであろう。

過ちは繰り返しませんから（日本の不思議）　2019-10-12
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/2f61ea39754dd65204379a9e36505d19

小野田寛郎氏その生き様　2019-10-08
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/4ed11a9d81a896f6db17d2394c053957