アリゲータ型とか逆アリゲータ型と聞いて、「何のこと?」と思われた方、「あなたのクルマの知識はまだまだまだです」ということになります。そうです、これはボンネット(フロントフード)の開き方をワニの口の開き方の摸して表現したものなのです。
そこで、逆アリゲータ型のボンネットというのは、ヒンジが前部にあり、ボンネット後部から開くという方式です。このタイプは、過去には採用しているクルマが結構あったんですが、最近はとんと見なくなりました。
この逆アリゲータ型ですが、走行中に何らかの理由でボンネットが開いても、全開となって前方視界を損なうことはないということが採用理由だったのです。しかし、エンジン関係の特に前部付近の整備が非常に行い難い等のデメリットから、採用車種が少なくなったのだと思います。
通常のボンネットの後部にヒンジがあるアリゲータ型ですが、万が一の走行中のボンネット開放でも、セーフティラッチがありますから、まず全開となることはありません。しかし、事故等の際に、衝突初期にセーフティラッチ部が破壊されてしまい、その時点で速度がまだ高いと云った場合は、思いっ切りボンネットが全開となり、ボンネットがまくれ上がって、ルーフ前端と接触しているというケースを見ることもあります。
ところで、ボンネットの開く角度ですが、通常は45度から60度なんだろうと思います。もっとも、三菱ジープだとかランドクルーザー(40系)など、ルーフ先端部に当たる(寄り掛かる)まで開放することができます。また、ベンツ車では、ヒンジ部のストッパーを動かせば、ボンネットをほぼ垂直までできる様になっており整備性を高めている伝統があります。
ついでに似た様なことですが、左右ドアのヒンジが現在、ほとんど前ヒンジですが、かつては後ろヒンジのクルマがありました。これも乗り降りし易さでは、後ろヒンジに利がありますが、安全性から前ヒンジが普及したのだろうと思います。但し、現行のロールスロイスの後部ドアは、後ろヒンジで設計されていますから、希少な例と云えましょう。