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兵庫・明石・改造ハーレーペーパー車検で逮捕

2023-02-25 | 事故と事件
兵庫・明石・改造ハーレーペーパー車検で逮捕
 ここでペーパー車検ということだが、現車の書類(検査証と自賠責保険など)だけの書類を使い、現車を実際に受託せず、従って現車の検査もせず、書類だけを前提に保安基準適合証を発行し、それを国の検査場に提出し継続検査を行う行為を云う。従って、この行為ができる整備工場は、いわゆる民間車検工場と呼ばれる指定整備工場だけができうることになる。
 さらに云えば、そもそもペーパー車検を行う様な指定整備工場では、そういう不正改造車を受託することにより、その受託中に臨時立ち入り監査など受ければ、当然監査官は工場の受託中の車両を見廻し、これは不正改造車で、しかも車検として受託しているということで、現場現物を押さえられることになるので、それを行う工場は、その様な不正改造車を受託したことを避けようとするのが通例となるだろう。

 しかし、今回の記事を見て不思議と思うところだが、不正なペーパー車検の実行者で、明らかに検査員解任(事後2年間は検査員選任不可能)という行政処分を受ける検査員は、正規車と変わらない検査料13千円を受け取っていたが全額会社(指定工場)が収受していたという。しかし、その工場主(社長)は「知らなかった」と云っているという。そもそも、車検を受託しているなら、現車は見なくとも、幾らか消耗部品などのパーツも発生するし、自賠責保険の検査期間の契約とか重量税の納付とか生じる訳で、入庫管理台帳(今どきコンピューターシステム管理だろう)や経理台帳から、知らなかった、判らなかったは通らないと思うが、警察は一切罪を問うていない記事に見えるが、検査料を全額検査員が納付していたことといい、ペーパー車検の実施主体者は、この指定工場の社長ではないのかという疑問を感じるところだが、整備工場関係者などはどう思うだろうか?

 それと、今回逮捕された関係者3名の関係を記事では添付図の通り記しているが、仲介役と記してある尾鼻容疑者か一番エンドユーザー側となる竹中容疑者が、もっとも本件の闇商売の価値を認識しつつ、それなりに正規車検車以上の継続検査料をせしめており、それをこの両名で按分して得ていたと思える。しかも、エンドユーザーにペーパー車検を意識させない様に車両は検査期間中にどちらかが受託はしていたのではないだろうか。

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不正改造ハーレー27台を「ペーパー車検」 怠慢整備士の稚拙な動機
産経新聞 2/25(土) 19:00配信
 兵庫県明石市内の民間車検場で必要な検査をせずに米・ハーレーダビッドソンの改造バイクの車検を通し、見返りに金銭を授受したなどとして、兵庫県警が贈収賄や虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで自動車検査員の男ら3人を逮捕、送検した。愛好家の間で「カスタムハーレー」と呼ばれ、本来車検に通らない改造バイクの不正車検は約30台。重大事故につながりかねない「ペーパー車検」を繰り返した検査員らが手を染めた、あきれたいかさまの真相とは-。
 「明らかに車検場に持ち込まれていなかった。(改造が)派手うんぬんの話ではない」。捜査関係者は厳しい口調で指摘した。
 国道2号沿いに並ぶ明石市内の自動車整備会社。「誠実車検」をキャッチフレーズに掲げ、複数台の車の検査に対応するという整備工場内には、持ち込まれたはずの改造ハーレーの影さえなかった。
 兵庫県警は昨年12月、虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで、この車検場に勤める自動車整備士、今枝勇樹(53)=神戸市北区▽二輪車部品販売業、竹中康智(49)=同市西区▽仲介役の中古二輪車販売修理業、尾鼻薫(55)=明石市-の3被告をそれぞれ逮捕。いずれも同罪などで起訴された。
 その後の調べで報酬をやりとりしていたことも判明し、県警は1月、加重収賄や贈賄などの疑いで3人をそれぞれ追送検。神戸地検は今月1日、贈収賄の罪については不起訴(起訴猶予)処分としている。

■4カ月分の映像を精査
 捜査関係者によると、国土交通省に情報提供があり不正が発覚。捜査員がこの車検場付近の防犯カメラに写った24時間・4カ月分の映像データを精査し、ハーレーが持ち込まれていない事実を裏付けたという。
 バイク専門店を営む竹中被告が、所有者の客から預かったハーレーについて、尾鼻被告を通じ今枝被告にペーパー車検を依頼。今枝被告は必要な現物の車体検査をしないまま虚偽の適合証を運輸局に提出し、車検証を交付させていた。こうした行為は常習化していたとみられ、昨年5~8月、2人から依頼され、不正に車検を通した改造バイクは27台に上ったという。
 今枝被告は、国指定の民間車検場の自動車検査員で、「みなし公務員」にあたる。ペーパー車検の見返りに報酬を得る行為はあってはならないが、受け取っていたのは1台につき正規の車検代と同額の約1万3千円のみ。さらに不可解なのは、金を自身の懐に入れたわけではなく、全額を勤務先の車検場に納めていた。一体なぜか。

■「業界では有名」
 マフラーを交換したり溶接してハンドルを伸ばしたりしたハーレーは「カスタムハーレー」と呼ばれ、愛好家から人気が高い。ただ過度な改造を施すと保安基準を満たさなくなり、車検に出す際には改造を元に戻すため多額の費用や手間がかかることがあるという。
 「明らかに車検に通らない、改造に金をかけたハーレーを取り扱っていて、業界ではそこそこ有名だよ」。兵庫県内のバイク修理専門店の男性店主は取材に、竹中被告のバイク専門店についてこう明かした。
 事実、不正車検が確認されたハーレーの中には改造費用が1千万円を超えるものもあり、所有者の客から車検を依頼された竹中被告は県警の調べに「高額な費用で改造したハーレーを傷つけそうで車検をしたくなかった」と供述したという。取り扱いに困った竹中被告が約5年前、ペーパー車検を依頼できる業者を探す中で今枝被告らと知り合っていた。
 「普段は四輪車の車検をしていて、二輪車の車検の準備に手間がかかり面倒だった」。自動車整備士として不正に加担した今枝被告は、県警の調べに自身の立場をわきまえない稚拙な動機を口にした。会社ぐるみではなく単独で不正車検を請け負っていたとみられ、自動車整備会社の男性社長は県警に「(不正車検について)全く知らなかった。信じられない」と説明したという。

■重大事故の危険性も
 ただ同業者の見方は厳しい。「むちゃな改造をする愛好家の間で、元に戻さずに車検ができると噂が広がったのではないか。店側も車検をせず書類を偽造するだけでいいので両者が『ウィンウィン』の関係だったんだろう」。先述の男性店主は同業者による不正の横行にため息をつく。
 国交省によると、令和3年度、全国の民間車検場約3万カ所のうち不正車検などで指定取り消しの処分を受けた車検場は64カ所に上る。国交省神戸運輸監理部は不正車検の舞台となった明石市内の自動車整備会社について、検査員を管理する事業者としての責任を問い、今後厳正に処分するとしている。
 車の安全性に詳しい近畿大工学部の酒井英樹准教授(自動車工学)は「車検を長年しなければタイヤやブレーキなど安全性に関わる重要部品が劣化する危険性があり、ユーザーは重大事故を招く恐れがあることを理解すべきだ」と警鐘を鳴らしている。


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