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NTT法廃止でどうなる?

2024-03-31 | コラム
NTT法廃止でどうなる?
 NTT法によるNTTへの規制を緩和することの是非を巡り、情報通信審議会(情通審、総務相の諮問機関)で議論が行われている。


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NTT法廃止でどうなる? 国民のメリットとデメリットは【けいざい百景】
3/31(日) 8:30配信 時事通信
情報通信審議会作業部会への提案を説明するNTTの島田明社長=2月22日、東京都千代田区【時事通信社】

 NTT法によるNTTへの規制を緩和することの是非を巡り、情報通信審議会(情通審、総務相の諮問機関)で議論が行われている。法律の廃止に前向きなNTTの島田明社長は「今の時代に合った法律にして、国民生活がもっと豊かになるように変えることが重要だ」と語る。一方、携帯電話大手をはじめとしたNTTの競合会社は廃止に反発。KDDIの高橋誠社長は「国民の利益が損なわれる」と警鐘を鳴らしている。

【ひと目でわかる】NTTと競合各社の主張

 実際に廃止した場合、国民にとってどのようなメリットとデメリットがあるのか。大きな論点である「公正な競争環境」と「固定電話サービスの提供義務」、そして「経済安全保障」の3点から、国民への影響を読み解きたい。(時事通信経済部・隈部雅也記者)

料金高止まり?
 「利用料金が高止まりする恐れがある」。競合会社は、NTTと他の事業者の公正な競争環境を維持するためにはNTT法が必要だと主張。公正さが失われてNTTの一強状態になれば、値下げの動機がなくなり、料金の高止まりにつながりかねないことを懸念する。

 NTT法はNTT東日本・西日本に対し、自社で設置した設備を使う義務のほか、重要な設備の譲渡制限などを課している。このような規制がなくなれば通信回線のシェア低下につながり、シェア50%超の事業者は他事業者に光ファイバーなどを公正に貸し出すよう定めた電気通信事業法の規制対象でなくなる恐れがあるとしている。

 携帯電話サービスはNTT東西の光ファイバー網を使って展開されており、NTT東西から光ファイバーなどを借りられなければ、携帯電話会社は事業展開すらできなくなる。

 NTTは自社で設置した設備を使う義務などが撤廃されれば、費用対効果が悪い地域などで他社設備を利用して効率的な運用ができるようになり、低廉な料金でのサービス提供につながると主張。「NTT東西を未来永劫(えいごう)にネットワークを支え、そして高度化するサステナブル(持続可能)な企業にしたい」(NTT幹部)と説明している。

過疎地は電話できない?
共同記者会見し、NTT法廃止に懸念を示す携帯電話3社のトップ=2023年12月4日、東京都中央区【時事通信社】

 「電話サービスの提供が受けられなくなる地域が出てくる恐れがある」。競合会社は、過疎地や山間部、離島などの採算が合わない地域で固定電話サービスを受けられなくなることへの不安を隠さない。

 NTT法は、全国一律の固定電話サービスの提供義務をNTTに課している。採算が合わない地域でも都心部と同じ価格で、固定電話サービスを提供する必要がある。

 義務が撤廃されれば、NTTが不採算と判断した地域から事業撤退してしまう恐れがある。競合会社は、固定電話の需要は根強いとして、全国一律の固定電話サービス義務は残すべきだと主張。さらに、通信品質に優れた光回線についても、NTTに一定の提供義務を課すよう求める。ソフトバンクは「通信インフラに求められる役割は、今後わが国のデジタル実装を進めるための基盤。その意味でも光ファイバー網の存在は不可欠」と訴える。

 一方、NTTは全国一律の通信サービスを固定電話から「モバイル(携帯電話)を軸」としたものに変更することを情通審に提案している。その背景には、利用者数減少に伴う固定電話事業の採算悪化がある。島田社長は全国一律の通信サービスの中心に携帯電話を据えることで「光ファイバーですべてカバーするよりも、コスト的には軽減できるのではないか」と述べ、国民負担が少ない形で通信サービスが受けられると説明している。

外資に乗っ取られる?
 「わが国の通信サービスの安定提供を阻害する懸念がある」。競合会社は、日本の通信サービスが外国の影響下に置かれることも危惧する。

 NTT法では、外国人が議決権の3分の1以上を占めることを禁じる出資の総量規制のほか、外国人が役員に就任することに対する規制が定められている。

 NTT法が廃止されてこれらの規制がなくなれば、株を買い占めた外資系企業にNTTの経営が左右される状況になりかねないと競合会社は指摘する。携帯事業者が使う光ファイバーなども含めたNTT東西の設備が外国勢力の支配下に置かれた場合、影響は日本の通信サービス全体に及ぶと主張している。

 一方、NTTは、通信手段が固定電話のみだった1980年代のNTT法制定の当時から、時代が変化したと指摘。携帯電話の利用などが増え、NTTだけに特別に強い規制をかける理由はなくなっていると主張する。NTTだけではなく、他の携帯事業者にも規制をかけることで、事業者の保有する情報のセキュリティーを一段と強化する必要があると訴える。

特別な資産
 三つの論点全ての根底にあるのは、NTTが保有する「特別な資産」だ。

 「特別な資産」とは、NTTが85年に日本電信電話公社(電電公社)から民営化された際に引き継いだ局舎や電線を通す管路、「とう道」などだ。全国に光ファイバー網を張り巡らせる基盤として欠かせない。その規模は他の事業者が構築できないもので、KDDIは「25兆円もの費用をかけ、国民負担で造られた」と指摘する。

 将来にわたって日本の通信の基盤になるとして、競合会社は特別な資産が維持されることを特に重視している。

 情通審では、特別な資産や光ファイバー網の運用主体に関しても議論している。NTT東西両社に引き続き管理させる案に加え、NTT東西から独立させて民間会社に運営させる案や、国有化する案も提出されている。NTTグループの組織を一変させかねないだけに慎重な議論が求められる。

 今回のNTT法を巡る議論では、NTTや競合各社が主張するメリットとデメリットが入り乱れている。情通審は今年夏ごろをめどに結論を出す予定だが、国民目線で何を重視して判断するかが問われる。


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