私の思いと技術的覚え書き

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レクサスLFAについて

2010-11-23 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 トヨタ自動車において、長く開発が進められてきたレクサスLFAですが、いよいよ本年12月より市場投入が開始されるそうです。もっとも、総生産台数500台(内国内165台)の限定生産であり、その総ては予約受注済みとのことです。
 その性能は、4.8L、V10エンジンは460psを発揮し、最高速度325km/h以上と発表されておりますから、日本車としてはGT-R(R35) を超える過去最高のものと云ってよいでしょう。
 しかし、車両価格も3,800万円とフェラーリ車の普及グレードをも超える高額なものに設定されています。もっとも、メカニカル面を眺めれば、エンジン、トランスアクスル、ボデーなど、他車とはまったく互換性のない専用設計のものが多用されています。従って、この販売価格の設定であっても、その開発コストや生産台数の少なさを考えれば、とても商業的には採算が取れる商品でないことは容易に想像が付きます。
 特筆されるのは、ボデー本体(モノコック)をドライカーボン製として一体成形したものを、我が国の市販車としては初採用したことでしょう。ただし、車両前面部のサイドフレームなどはアルミニウム合金製(たぶんボルトオンでの取替可能)として補修性を向上させている様です。
 しかし、ドライカーボン製のボデー本体は、ある程度までは補修可能とメーカーではアナウンスはしている様ですが、強度面で問題のない表面的なキズはともかく、例えばサスペンションメンバーが取り付けられる部位等、高い強度が必用とされる部分の深いクラックや部位の欠損が生じた場合、恐らく補修不能という判断になる様に思われます。そうなった場合は、ホワイトボデー(部品が何も付属していないボデー本体)の補給が受けられるのか、受けられたとして総額の修理費がどの程度にまで達するのかなどにおいて、難しい問題も生じて来るのではないでしょうか。通常車であれば、全損となったとすれば同一車に買い替えればよいのですが、限定生産車ではその様な選択肢は取ることができません。
 開発担当者のLFAの紹介記事などによると、運転者や同乗者への好感度な感性への訴求として、音質としてのメカニカルノート(ノイズではなくあくまで良い音として)のチューニングを相当に追求してきたことが記されています。これは、どの様なクルマであれ、多かれ少なかれ開発時には行われる作業ではあります。ただし、LFAの場合に面白いなと感じられることとして、通常はエンジン音や排気音などの室内への透過音は、一方的になるべく遮断する手法が一般的ですが、演出として特定部位の特定周波数成分に限ったことでしょうが故意に透過音を増やす手法が取られていることです。具体的には、ダッシュパネル上部側に設けられた小穴により高回転時の吸気音を、バックパネルのエキゾースト出口付近に設けられた小穴により中速時の排気音を透過させ、中速回転から高速回転への回転変化によってドラマチックに変化するサウンドの味付けを行ったとされていることです。
 最後に、メーカーに取って、LFAの様な少量生産車は、採算性という面においては、まったく間尺に合わない訳ですが、以下の様な理由でのメリットは十分にあるものと思われます。第1に、高性能により企業イメージ(もしくはブランド)を高める訴求を行うことなのでしょう。第2に、仮想的にではなく具体的に設計開発することで、企業としてのテクニカル・ノウハウの蓄積があるのだろうと思います。そして、第3に、それぞれの開発担当者を含めた人材の育成にあるのでしょう。


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