私の思いと技術的覚え書き

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アドブルーとは・・・

2013-03-16 | 技術系情報
 アドブルー(AdBlue)とは、ディーゼルエンジン用の窒素酸化物(NOx)を浄化する触媒用としての尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システム用に利用する尿素水(尿素32.5%、純粋67.5%)のことを指します。ところで、ドイツの自動車工業会では、尿素水よりイメージの良い名称として、アド=先進の、ブルー=青空のイメージ=清廉なという意味を込めた造語だそうです。従って、アドブルーを使用するのは、尿素SCRシステムを利用したディーゼルエンジンのみです。

 ところで、ディーゼルエンジンの排出ガス規制は近年各国で極めて厳しい基準が設定され、各ディーゼルエンジン製造メーカーでは研究を続けて来ました。その対応の基本は、コモンレールやユニットインジェクタを使用した超高圧、精密噴射にあります。しかし。それでも浄化しきれない有害成分は、別付けの各種触媒などのシステムで浄化を図っています。主はものを以下に並べてみます。

1.EGRシステム
 排気ガスの一部を制御しつつ吸気側に戻し、燃焼(温度)をコントロールしNOxを減少させる装置。最近は、クールドEGRの名称で、戻す排気ガスを冷やし、よりNox減少を効果的にしたものもあります。なお、このEGRシステムは、ディーゼルだけに利用されるものでなく、ガソリンエンジンにも利用されます。

2.触媒コンバーター関係
 遙か昔に排ガス規制が実施されたガソリンエンジンでは、燃焼をストイキ(理論空燃費14.8:1)に制御することで、排気管中に設置された三元触媒で、CO、HC、NOxの3つが同時に浄化できました。しかし。ディーゼルの場合は、元々排気ガス中の酸素量が多く、三元触媒の利用はできません。そこで、以下の様な触媒を組み合わせて利用されています。

①酸化触媒
 CO、HCの未燃成分としての有害物質を再燃焼させ、水とCO2に変換させます。

②NOx吸蔵還元型触媒
 排気ガスに含まれる酸素量が多いときに排出されるNOxを一旦吸蔵しておき、適宜燃料を増量して酸素量の少ない状態を作り出し(燃料過多=ポスト噴射)、HCと反応させて浄化させるというもの。
 欠点として、燃費が悪化し易い等があるが、尿素SCRで使用する尿素水の補充が不要な利点があります。

③尿素SCR
 排気管の酸化触媒の後段に、SCR触媒を設置し、排気ガス中に尿素水を噴霧するシステム。高温化で噴霧された尿素水は加水分解されアンモニアガスとなり、NOxをNO2(窒素)とH2O(水)に変換させる。なお、同システムを完成させ、初めて市販車に搭載したのはUDトラックス(元日産ディーゼル工業)です。

※日本では乗用車用ディーゼルがまだまだ少ないが、BMW等の欧州メーカーのラインナップを眺めると、比較的小排気量エンジンでは、NOx吸蔵触媒が、大排気量エンジンでは尿素SCRが利用されている様に感じます。

④その他
 ディーゼル特有の黒煙・微粒子の対策としてDPFがありますが省略します。

【付記】
 アドブルーじゃないですが、自動車関係で・・・ブルーとか、ブルー・・・みたいなワードを良く聞きます。主なものと意味は以下の通り。これは、メーカーの単なるイメージ戦略だけのものでしょう。

ブルーテック(BLUE TEC)
 ベンツの尿素SCRシステム使用のディーゼルエンジンで呼ばれる名称。

ブルーエフィシェンシー(BLUE EFFICIENCY)
 ベンツで呼ばれるガソリン、ディーゼル関わらず省燃費指向の新モデルで呼ばれる名称。

ブルーパフォーマンス
 BMWディーゼルの最近のモデルで呼ばれる名称。尿素SCR、NOx吸蔵触媒の区別なく呼ばれている様です。

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