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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

オープンカーのこと

2011-03-22 | 事故と事件
 クルマの種別としてルーフ部を持たない、いわゆるオープンカーがあります。この種別ほど、表す名称が多いクルマもないでしょう。それは、オープンカーに始まり、コンバーチブル、カブリオレ、ロードスター、スパイダーなどとなりましょうか。
 オープンカーの場合、スポーツカー的趣向との兼ね合いもあり2座席が多いのですが、4座もしくは5座席のものもあります。パレードなどで使われるカスタマイズ製作されたオープンカーなどは、ほとんど5座席のクルマがベース車です。
 ところで、クルマの剛性面でオープンカーを見た場合、フロントピラーから連続してルーフを持ち、リヤコンストラクション(構造物)に結合する一般的なクルマに比べ剛性が低くなりがちなことは容易に想像が付くと思います。つまり、クルマを横から眺めた時、ドアサイドガラス上部のルーフ部がないために、フロントピラーとリヤコンストラクションが連続するループ構造が途切れ、開放されてしまっていることによります。
 その様な剛性低下を改善するため、サイドシルやセンタートンネルなどのロワボデーを中心に、各種リイホースメント(補強板)の追加などを行っている様です。その様なこともあり、2ドアクーペとカブリオレの2種が併売される様なクルマのスペックを比べてみると、カブリオレの方が車重が大きい場合も結構あります。
 以上は通常走行における剛性として記しましたが、事故時の安全対策としての潰れ剛性(破壊剛性)も、通常車と同等を確保する必要があります。すなわちオフセット前部衝突におけるフロントピラーの後退量の最小化、ロールオーパー(転覆)時のフロントピラーアッパー部の折れ込みの防止などとなりましょう。
 フロントピラーの後退抑制については、通常車と同様ピラー自体の強化や、ピラー下部とサイドフレームを箱断面で連続させるなどでしょう。それと、サイドインパクトビームの更なる強化も上げられると思います。サイドインパクトビームは、側面衝突における潰れ剛性を向上させるのが本来目的ですが、フロントピラーの後退力をリヤボデーに伝えることによるツッパリ棒としての役目をさらに持たせているハズです。
 ロールオーバー対策ですが、フロントピラー・アッパー部の断面積の増加や内部への超高張力の鋼板もしくはパイプの挿入などが行われている様です。また、この種のスポーツカーでは、左右シートのヘッドレスト後部に隠れるようにアーチ型のロールバーが装着されています。このロールバー頂点とフロントピラー頂点との結ぶラインが、ロールオーバー時にドライバー&パッセンジャーの頭部を下回ることがないように強度計算などの設計をし、実験評価を行っているはずです。
 この様にして成立しているオープンカーですが、運転者が感じる剛性感は同型クーペなどと比べると低下を感じる様です。通常走行中に感じる剛性とは、構造物の弾性限度内での変形のし難さ、つまりバネに例えればバネの硬さ(常数Kの高さ)になります。つまり、目に見えない微量のしなりなどの変形であっても、運転者には感じられてしまうと云うことだと思います。
 そんな欠点を持つオープンカーですか、その低く構えるスタイリング、オープンエアで走る爽快感など、愛好する方は多く存在します。

追記
 最近、オープンカーでの幌の代わりに、バリオルーフなどの名称で金属製の折りたたみ式ルーフを持ったクルマが増えて来ました。これは、電気モーターと油圧シリンダーを使用して、多数枚に分割したルーフを折りたたみながらトランクルーム内へ格納できるものです。但し、金属製ルーフを持っていると云っても、通常ルーフの様にモノコック一体ではないので、剛性低下は幌タイプのオープンカーと同様と想像されます。
 もう一つ余談として記します。
 ハードトップというボデー名称があります。これは、センターピラーがなかったり、あってもサッシュレスであったりする場合にも使われてきました。しかし、本来の語源は、オープンカーの幌の代わりに脱着可能な屋根として被せる硬い(hard)屋根(スチール、アルミ、樹脂など)のことです。



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