私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

ヴィッツが巨大に見える

2016-10-02 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 911(964型)と並んだヴィッツが、巨大に見える。つまり、964が如何に小さいかということでもある。
 964のデメンションは、4245×1660×1310、対するヴィッツは、3930×1695×1500だから、マス(容積)的にムリないことだ。

 最もポルシェ911も最新型(991)では、車幅1810と964より幅15cm程、長さ25cm程拡大されている。これは、主にクラッシュ性能の要求から生じた故のことだろう。しかし、ポルシェらしいところは、これだけボデーを拡大し、水冷エンジン化もしていながら、車重は1350kg程とほぼ同一であるところだ。しかし、それにはスチールを主にしつつも、アルミ、マグネシウム等軽量素材を大幅に増やしたからだろう。

※以下は余談(すべて私見をご承知あれ)
 クルマの軽量化に際し、蓋物パーツ(ボルトオン)のアルミ化は、スチール同様に板金も出来るしまったく問題ない。しかし、骨格部材の溶接(もしくは接着+リベット)部品へのアルミ材(特に引き抜き(押し出し)やダイキャスト材)は、種々の修理困難を生み出す。

 BMWがE60登場以降の5シリーズや7シリーズなどに使用し続けている、ダッシュパネル(評論家はスカットルと記すが紛らわしいので記さない)より前方の骨格のアルミ化だが、採用されて10年程を経て交換が必要な事故は当然生じているハズだが、実際の交換作業が行われたケースはあるのだろうか。BMW認定BP工場も含め、知り得る限り見たこと聞いたことはない。BMW認定工場では、そのための研修や特殊工具(セルフピアッシングリベット打ち込みツール)等を多大の費用で導入しているのだが、ほとんど使用したことはないだろう。それは何故かといえば、その様な作業を前提とした修理見積額が高額(400万円前後)となり、ほぼ全損もしくは、近いものとなって、実修理が行われないことにある。

 スチール骨格だったら、程度と技量にもよるだろうが、かなりの変形でも修正作業が行えたものだが、アルミダイキャストのクラックは溶接(メは禁じている)が困難だし、引き抜き材は、鍛造材と同じく強度低下から切り継ぎなどの溶接をメは禁じている。但し、技量と設備があれば、程度にもよるが直すことも可能だ。これは、アルミホイールにおいて、リム欠損までの修理が専業社において行われていることからも知れることだ。但し、BBSを筆頭とする、リム部が鍛造製は、やはり外見上の復元は可能だが、強度上の復元は困難であろう。

 以上の如く、骨格部材(溶接系)へのアルミ材の使用は、維持費を巨額化し、乗り続けるのを困難にするので、賛同しかねる。

 なお、もっと酷いのが、ドライカーボン一体成形のボデーである。従来数千万円クラスのスーパーカーしか使われなく、それ程問題はなかった(あったのは保険会社だけだろう)が、BMWはi3という400万円代のクルマに使い出した。これなんか、Aピラー下部が欠損しただけで、デはボデー交換の見積(当然全損)を作るだろう。こうして見ると、BMWは好感を抱くメであるが、ちょっと狂って来たな(最近のデザインも)と感じる。願わくば、良識ある国産メは、こういうプロダクツを出さないでもらいたい。(既にR35でストラットタワーだけアルミキャスト製が販売されている)

※文中、メはメーカーを、デはディーラーを示す。



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