クルマの塗装については、大雑把に区分して下塗り、中塗り、上塗りに分けられます。これは。塗装の目的として、概観の美観だけでなく各種環境で長期間の使用での防錆を保つためです。この防錆を保つ目的を持つのが下塗り塗装工程です。
クルマメーカーでの下塗塗装に至るまでの工程までのをちょっと説明します。鋼材メーカーよりロール状に巻かれた冷延薄板鋼板(t=0.8前後)が、クルマメーカーに搬入されます.クルマメーカーでは、所要の寸法に裁断し、各部品をプレス加工で作成し、溶接治具とロボットで正確な寸法で組み合わされ、抵抗スポット溶接によりモノコックボデーが完成します。さらに、ボンネットやドアなどの金属製の蓋物パーツをボルトで取り付け、ホワイトボデー(付属品が付かないボデー状態)が完成です。
さて、ここから下塗塗装に入りますが、作られたホワイトボデーは、プレス加工で付着した油分などが付いていますので、脱脂および水洗浄を行います。そして、その後はリン酸塩の溶液中にフルディップ(ドブ漬け)する化成皮膜処理を行い、さらに水洗浄と乾燥を行います。ここで.リン酸塩による化成皮膜処理ですが、リン酸塩の極薄皮膜を付けるのですが、皮膜を付けると云うより、新品のツルツルの表面を適度に荒し、つまりサンドペーパーによる足付け研磨と同様に、次の行程での塗膜との密着を良くすることを目的としているのだと想像されます。
化成皮膜処理が完了すると。ED(Eletric Deposition=電着)塗装工程となります。このED塗装ですが、先の化成皮膜処理と同様フルディップにより行われますが、水溶性塗料を用い、塗料溶液と車体の間に電位差(1万Vを超えるそうです)を設けることで、塗料の付着性を向上させています。この電位差の関係で、塗料をマイナスにボデーをプラスにしたのがアニオン電着と呼び、逆に塗料をプラスにボデーをマイナスにしたのがカチオン電着と呼ばれるそうです。日本車では昭和50年代中頃(1980年頃)に、従来のアニオンからカチオンに各社共変更され現在に至っていると聞きます。
この理由ですが、カチオンの方が前処理行程でのリン酸塩皮膜が溶け出し難く防食性が低下しないことにある様です。なお、これは想像ですが、水溶性塗料の樹脂も(たぶん)エポキシ系)のものに変更されているではないかと思われます。
ED塗装でフルディップされたボデーは、コンベアで熱風乾燥炉にて180°C程度、30分ほどで焼き付け乾燥されます。
何れにしても、この昭和50年代中頃を境に、日本車の防食性は著しく向上したと感じられます。昭和40年代位のクルマでは、サイドシル部だとか、トランク開口部周辺や、各ドア下部など、新車から6年も経る屋外駐車のクルマでは発錆で孔食しているなんてことはザラにあったものですが、現在では事故キズを放置でもしておかない限りその様なことを見ることは少なくなったと思います。
なお、若干補足として記しますが、カチオン電着とほぼ同時期頃から、亜鉛メッキ鋼板の使用が徐々に増加して行ったことも、防食性の向上に相当寄与していることは確かでしょう。この亜鉛メッキ鋼板のことは、またの機会に記してみます。
クルマメーカーでの下塗塗装に至るまでの工程までのをちょっと説明します。鋼材メーカーよりロール状に巻かれた冷延薄板鋼板(t=0.8前後)が、クルマメーカーに搬入されます.クルマメーカーでは、所要の寸法に裁断し、各部品をプレス加工で作成し、溶接治具とロボットで正確な寸法で組み合わされ、抵抗スポット溶接によりモノコックボデーが完成します。さらに、ボンネットやドアなどの金属製の蓋物パーツをボルトで取り付け、ホワイトボデー(付属品が付かないボデー状態)が完成です。
さて、ここから下塗塗装に入りますが、作られたホワイトボデーは、プレス加工で付着した油分などが付いていますので、脱脂および水洗浄を行います。そして、その後はリン酸塩の溶液中にフルディップ(ドブ漬け)する化成皮膜処理を行い、さらに水洗浄と乾燥を行います。ここで.リン酸塩による化成皮膜処理ですが、リン酸塩の極薄皮膜を付けるのですが、皮膜を付けると云うより、新品のツルツルの表面を適度に荒し、つまりサンドペーパーによる足付け研磨と同様に、次の行程での塗膜との密着を良くすることを目的としているのだと想像されます。
化成皮膜処理が完了すると。ED(Eletric Deposition=電着)塗装工程となります。このED塗装ですが、先の化成皮膜処理と同様フルディップにより行われますが、水溶性塗料を用い、塗料溶液と車体の間に電位差(1万Vを超えるそうです)を設けることで、塗料の付着性を向上させています。この電位差の関係で、塗料をマイナスにボデーをプラスにしたのがアニオン電着と呼び、逆に塗料をプラスにボデーをマイナスにしたのがカチオン電着と呼ばれるそうです。日本車では昭和50年代中頃(1980年頃)に、従来のアニオンからカチオンに各社共変更され現在に至っていると聞きます。
この理由ですが、カチオンの方が前処理行程でのリン酸塩皮膜が溶け出し難く防食性が低下しないことにある様です。なお、これは想像ですが、水溶性塗料の樹脂も(たぶん)エポキシ系)のものに変更されているではないかと思われます。
ED塗装でフルディップされたボデーは、コンベアで熱風乾燥炉にて180°C程度、30分ほどで焼き付け乾燥されます。
何れにしても、この昭和50年代中頃を境に、日本車の防食性は著しく向上したと感じられます。昭和40年代位のクルマでは、サイドシル部だとか、トランク開口部周辺や、各ドア下部など、新車から6年も経る屋外駐車のクルマでは発錆で孔食しているなんてことはザラにあったものですが、現在では事故キズを放置でもしておかない限りその様なことを見ることは少なくなったと思います。
なお、若干補足として記しますが、カチオン電着とほぼ同時期頃から、亜鉛メッキ鋼板の使用が徐々に増加して行ったことも、防食性の向上に相当寄与していることは確かでしょう。この亜鉛メッキ鋼板のことは、またの機会に記してみます。