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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

黒部に想いを馳せる

2009-03-22 | コラム

 昨晩と今般、テレビドラマで「黒部の太陽」が放映されています。この放送を鑑賞しつつ、改めて黒部のことで想うところとして記してみます。

 この舞台となる黒部ダムには、現在まで数回訪ねていますが、その巨大さと迫力と、この様な山奥に巨大建築物を造り上げた人の力に偉大さを繰り返し感じざるを得ません。

 ところで、この黒部ダムは黒部第4発電所用のダムとして作られたのですが、この下流10キロ程の位置に地下発電所が設けられています。そして、更に黒部川を下ると、そこには第3発電所用のダムとなる千人谷ダムが戦前に作られているのです。

 今回放映されている「黒部の太陽」もダム建設に際しての、資材運搬用のトンネル掘削を題材としていますが、千人谷ダムを作るためのトンネル掘削にも、大きな苦難に満ちたドラマが記されています。それは、吉村昭氏が著述した「高熱隧道」という史実に基づく小説なのです。

 「高熱隧道」は、掘削時の地熱が150度を超えたと云われ、火傷者の多発やダイナマイトの誘爆事故による死傷者の続出が続いたことが描かれています。そして、もう一つの自然の脅威は、泡雪崩(ほうなだれ)という、高速落下する雪魂により作業員宿舎が丸ごと吹き飛ばされ、多数の死傷者を生じていることも驚くべきことです。

 同トンネルの掘削では、続出する死傷者のために、戦前当時でも富山県警の捜査を受け、その警告を受けつつも、国策として作業は継続され完成に至ったことが記されています。現代であれば、警察だけでなく労働基準監督署の 指導により工事の中止命令さえ出されてしまう状況なのかもしれません。Senzindanidamu

 小説としての「黒部の太陽」も「高熱隧道」も、困難なトンネル掘削への挑戦を通して、それに立ち向かう人間の姿として、各部門のリーダー像をクローズアップしています。それは、正にリーダー論と云えるでしょう。


※写真は、6年程前に訪れる機会を持った、千人谷ダムです。なお、その際の見聞記を下記にリンクします。 




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