私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

映画とクルマ(その5)

2011-02-06 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 今回は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年)と登場するクルマ「デロリアン」のことを記してみます。
 バック・トゥ・・・については、テレビでも何回も再放送されて来た映画ですから、今更説明するまでもないでしょう。初々しい主人公のマーティー少年役だったマイケル・J・フォックスさんも、1961年生まれですから既に齢50になるのです。現在の彼はパーキンソン病と闘う毎日を送っておられることは誠にお気の毒と思います。
 さて、映画でタイムマシンのベースとなったクルマがデロリアンですが、米国車としてはGM・コルベットを除けば、如何にもスポーツカー然としたスタイリングのクルマです。それもそのはずで、DMC(Delorean Motor Company)社は米国の企業ですが、製作は英国・北アイルランドで、エクステリア・デザインをイタルデザイン社のジウジアーロが、メカニカル・デザインをロータス社が担った故でありましょう。
 さて、このデロリアンのエクステリアで、まず目を引かれるのが、塗装なしのステンレス外板で外観が構成されていることでしょう。なお、このステンレス外板はメッキみたいな光沢仕上げでなく、高級オーディオ機器のフロントパネルの様なヘアライン仕上げにより半ツヤ仕上げになされています。
 このステンレス外板を見て、まあよくもこんな堅い素材をプレス加工したものだと関心している方(私もそう)がi居るのかもしれません。しかし、同車のボデーワークのベースはFRPであって、極薄いステンレス板をプレス加工した外皮として被せているのだそうです。
 メカニカル面を眺めると、如何にもロータス社が関わったなと思わされる構成です。シャシ・フレームは鋼板組立のX型バックボーンフレームで、ロータス・エランや同ヨーロッパと同様です。エンジン搭載は、一見MIDに見えますが実際はRRで、これは同時代の仏・アルピーヌ・ルノーA310とほぼ共通のユニット故の様です。
 最後に、X型バックボーンフレームについて、若干のウンチクを垂れてみます。この方式は、フレーム中央部はセンタートンネルだけですから、左右の床面を下げることができ、結果として車体全高も低められるメリットがあったのだと思います。そんな理由もあって、トヨタ2000GTもロータス社のエランなどから影響も受け、同方式を採用したのだと思っています。しかし、センター部分だけで車体の上下曲げを受けるのはともかく、捻り剛性としては、多くのバルクヘッドを持つモノコックボデーに比べ、低くならざるを得なかったことが想像されます。また、車体前後の、いわゆるオーバーハング部分ですが、まったくフレームの縦貫材がない構造ですから、現在のオフセット・バリヤテストでも試したら、悲惨な結果となってしまうことでしょう。


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