クルマの車体骨格における縦の縦貫構成物としてサイドフレーム(サイドメンバー)があり、一般的な乗用車では車両の前後に組み込まれいます。走行中の車体に作用する上下、左右、捻れなどの応力を負担し、衝突時に適度に座屈変形することで運動エネルギーを吸収し、受けた応力をボデー側の強度負担部分の広い範囲で受け止めキャビン(車室)の変形を少なくする設計思想が取り入られています。 力学的に云えばサイドフレームとは、片持ち支持梁(はり)という構造となり、梁の先端部で上下に受ける応力は、梁が固定される根本ほど大きくなります。従って、サイドフレームの上下応力を主に負担するウェブ面(縦の高さ)は、根本ほど大きく設計されることになるのです。 さて、本論ですが、衝突安全(パッシブ・セーフティ)への市場要求が高まると共に、サイドフレームの構成も多少は変化してきたことが伺われます。その内容を以下に2つ程記してみます。①全般の剛性向上 サイドフレーム全般として、板厚や断面積などは大きくされ、全般の剛性が高められてきたこと。②サイドフレームの直線化 従来、サイドフレームはサスペンションの上下動によるアクスルの動きを回避するなどの要求と車体フロアは低くしたいという理由から、フロア面より高い位置に構成されていた。そのため、フロア面から連続するサイドフレームは、上下に屈曲した形状となりがちであった。しかし、この屈曲したサイドフレーム、すなわち断面形状の変化部位は、応力が集中し易く、剛性が低下しがちで座屈変形形の起点となりやすいとうことがある。 前にも記したことであるが、衝突時のGコントロールのためにも、衝突時の受圧するサイドフレーム先端から順序より後方に向かって座屈を進めたいという、クラッシュ特性の向上がサイドフレーム直線化の狙いと思われる。 なお、このサイドフレームの直線化はフロントだけでなくリヤボデーでも同様で、そのためトランクルーム室内側にサイドフレームが貫通しているクルマも多く見掛け さらに、従来フロア下面にあったサイドフレームの連続体が、フロア上面の室内側に設けられたクルマも出て来ている。もっとも、このことは、クラッシュ特性だけでなく、フロア下面をフラット化することでの空力特性もあるのだろう。
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