私の思いと技術的覚え書き

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今更ながら定期点検と分解整備の話(再録)

2017-11-03 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 以前にも記した内容だが、一部内容を変更および追記して採録する。
 定期点検は道路運送車両法(以下法と記す)で、クルマの車種毎、定められた間隔で行わなければならないことになっている。一般の乗用車だと昔は6ヶ月と12ヶ月があったが現在は12ヶ月点検のみで、その翌年が24ヶ月点検(車検)ということになる。これら点検は、法の定めによれば「使用者」が行わなければならないとなっている。つまり、クルマを運転している者が行うと定めているのだが、点検の中には場合によれば「分解整備」に該当する内容となる場合があったり(ほとんどないが)、そもそも点検するスキルがない等の場合は、整備工場へ委託できることになっている。

 そもそも定期点検(車検すなわち継続検査における事前点検も同様)とは道路運送車両法48条(下記参照)で規定されている。この条文を読めば判る通り、「使用者は行わなければならない。」とあり、整備工場だとか国家試験で認定の整備士が関わらなければならないとは規定していない。
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第四十八条 自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第一項及び第五十四条第四項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
一 自動車運送事業の用に供する自動車及び車両総重量八トン以上の自家用自動車その他の国土交通省令で定める自家用自動車 三月
二 道路運送法第七十八条第二号に規定する自家用有償旅客運送の用に供する自家用自動車(国土交通省令で定めるものを除く。)、同法第八十条第一項の許可を受けて業として有償で貸し渡す自家用自動車その他の国土交通省令で定める自家用自動車(前号に掲げる自家用自動車を除く。) 六月
三 前二号に掲げる自動車以外の自動車 一年
2 前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「前二項」とあるのは、「前項」と読み替えるものとする。
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 つまり、同法で呼ぶ分解整備に該当しない点検の範囲のものは、何ら資格を問われず使用者が行えることになっている。ただし、点検の結果を記録簿に記載し保管することが規定されている。だから、ユーザー自らが点検整備を行い、国の検査場に持ち込み継続検査などを行う、いわゆるユーザー車検も合法なのだ。

 なお、法の定めに、検査標章(車検期限の四角ステッカー)の規定はあるが、丸ステッカーのことはない。
それでは、丸ステッカーは何処が発行しているのかということだが、発行は定期点検(車検を含む)を行う認証もしくは指定で区分される整備工場、いわゆる分解整備事業者だ。なお、分解整備事業者は何処から丸ステッカーを入手しているかといえば、各地にある整備振興会なる組織体からなのだ。この丸ステッカーは、定期点検の確実な実施のためとして、国土交通省と整備振興会との打ち合わせにより行われているのだが、なんか不透明感といったものを感じさせるところもある。

 以上記した通り、定期点検は使用者自ら行うことができ、丸ステッカーを貼付する必用は必ずしもないことを、知らぬ方は認識しておきたい。なお、定期点検を実施した場合は、同記録簿(NETで幾らでも入手可)を記入し保存することが定められている。

 ここで、先に記した「分解整備」のことに話を移す。法では、クルマのいわゆる安全に関わる部分の分解を行った場合は、国で行う検査を受けなければならないとしている。なお、先に記した分解整備事業者は、検査主任者もしくは検査員を専任することで、国の検査をパスできる規定がなされている。それでは、どの様な作業が分解整備に該当するかだが、詳しくは写真の内容で知って欲しいが、制動装置なんかはかなり広範囲(ほとんど全ていってよいだろう)が分解整備に該当してくる。例えば、ディスクブレーキパットを交換するには、キャリパーを外す必用があるので、これは分解整備に該当する。一方、エンジンだがエンジン本体を脱着する作業は分解整備だが、それ以外は何やっても分解整備には該当しないことが判る。サスペンション(走行装置および鑑賞装置)だが、ストラットを除くとかコイルバネおよびトーションバースプリングを除くとか記してあり、なんか不整合だなと思わないだろうか。これらカッコ書きは昔はなかった内容が追記されているのだ。そう、時は80年代だと思うが、日米貿易摩擦が頂点に達した頃だろう。外国製ハーダーサスペンションキットの輸入を阻む非関税障壁だとして追記されたのだ。という訳で、自分で車高調キットに組み替えても、分解整備に該当しないことになる。但し、ブレーキ、ステアリング、サスペンション、当然ホイールも、しっかり当たり面の管理と締め付けボルトもしくはナットのトルク管理をくれぐれも用心されたい。安易な作業は、極めて重大な事故に結び付く可能性がある。

※FaceBookに「ILOVE.MINI」という、主にクラミニがメインのグループがあり参加している。そこに以前、車検整備完了後に程なくフロントタイヤが外れてしまったという記事があった。その際、複数の参加者からコメントされており当方もコメントしたが、どうやらフロントハブのセンタークラウンロックナットの割りピンが貫通した残部の処理が悪く、ハブとホイールの当たり面に割りピン半面を挟み込んだままホイール締結ボルトを締め付けたのが原因と推定される。つまり、ハブとホイール当たり面が密着しないで浮いた状態で、回転過重でアルミホイールが座屈して締結ボルトの垂直抗力を急速に低下させハブボルトの緩みを生じたということだ。幸い、事故にもならず、フロントフェンダーの板金程度で済んだ様だが、プロの整備屋(こういうのをプロとは呼べないが)でも、こういう凡ミスをする。

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