私の思いと技術的覚え書き

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ベルト滑りの修理

2017-04-27 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 走行中、「ギャ-」と凄い音が生じる。自宅前の走るクルマでも、加速時に類似の発音を生じていることも時々ある。そろそろ、暖かい陽気となり、日中はクーラー(エアコン)を入れる機会も出て来ているのだが、クーラーコンプレーサー駆動ベルトで生じる場合は多い。クーラーONなら、OFFにしてみれば即座に異音は止まるので、その原因が判るのだ。

 さて、今回の事例は三菱ローザ(マイクロバス・エンジン4M51)というものである。クーラー稼働させて走行中、しばらくして「ギャー」と悲鳴を上げる。スイッチOFFで異音は即座に止まる。間違いなくクーラーコンプレーザー駆動ベルトだと見極めが付くのだ。

 クーラーベルトが滑る不具合の中には、コンプレッサーの焼き付きが生じている場合もあり得るが、たいていはベルトの張りが弱く、クーラー負荷の高い状態でスリップして異音を生じる場合が大多数だ。という訳で、ベルトの張り点検を行うのだが、マイクロバスというのは、トラックベースのハシゴ型フレーム上にボデーを架装してあり、一般のトラックみたいにキャブがチルトしないから、エンジン廻りのサービス用開口部が小さく、非常に整備性が悪い。特にこのローザの場合は、エンジン最前部のベルトは、なんとか見える程度で、張り点検すら容易ではない配置となっている。ジャッキアップして下部から観察しても、クランク軸直列にカップリングを介してファンを駆動しており、コンプレッサーや各補記類は遙か上部で手が届かない。ステリングを左右に切って、フレームとボデー間の隙間を塞ぐゴムカバーをめくると僅かに補記類が見える。しかも、このローザ、広い室内を冷房するたの大型コンプレッサーを配置するスペースが困難だったのだろう。エンジン左右に2つのコンプレッサーが並列配管で設置されており、それぞれ他の補記類と合わせて、別々の2本のベルトで駆動されているのだ。

 右側のコンプレッサーは、どうやらオルタネーターと一緒に駆動されており、オルタネーターを移動させるアジャスターが見える。こちらの張り具合は、問題ない様だ。もう一方の左側のコンプレッサーは、アイドラプーリーらしきプーリーが見え、ベルトの張力点検すら困難だが、コンプレッサーとアイドラプーリー間の短い間隔でも緩いと判断された。同アイドラプーリ近くにベルト外し用(ゆるめ用)のヘキサゴンが観察される。試しに同ヘキサゴンをレンチで廻してやると、プーリーブラケット自体が動いてしまうという様子が観察される。そして、よくよく見るとアイドラプーリー用ブラケット固定ボルトが10mmほども抜けだし緩んでいることを発見したのだ。どうやら、アイドラプーリーにテンショナ機構が組み合わされているが、ブラケット自体の固定が緩みベルトが張り切れないというのが原因だった様だ。

 緩み抜け出したボルト(平面幅14mm)をレンチで廻すが、適切なレンチと周辺スペースが狭く(シュラウドとの間隔が狭くソケット・ラチェット入らない)、メガネで15度単位くらいでしか廻せず30分近く掛け、締め付け修正を完了した。ベルトの張りも、従前よりしっかりした。クーラー入れたまま、30km位の復路を走行するが、異音の発生はなくなかった。

追記
 2本のベルトは外見上もそれ程古いものとは見えない。昨年11月の12ヶ月点検(車検)時の記録簿では、ベルト交換は記されていない。その前(一昨年)の車検時辺りに交換しているのではないか。そして、その際に弛めたボルトを締め忘れていたのではないかと想像している。ボルトの閉め忘れ(もしくは過小トルク)は、ブレーキや足回り、ステアリング関係など重大な事故に結び付くし、それが起こらない様に、割りピン挿入のクラウンナットやナイロンブッシュ入りロックナット、タガネなどにて緩み防止変形させるナットなどが使われる。しかし、今回の様な、一般ボルトやナットには、特段の緩み防止はない。修理施工者の確実な作業に頼るしかないのある。


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