私の思いと技術的覚え書き

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R50・ロワアームFrボールジョイント取替

2017-04-24 | BMWミニ
 R50のフロントサスは、ちょっと前までのBMW典型のフロントサスペンションのセオリー通りの形式である。サス形式としてはストラット型となるが、ロワアーム(トランスバースリンク)はL型で、ナックルの反力を受けるフロント内側をボールジョントとして遊びを無くしキャンバー剛性を高め、後ろ側は大容量のラバーブッシュとしてタイヤが前後に移動するコンプライアンスを持たせハーシュネスを抑制している。長らくFR用に作って来たが、初のFF車となるBMWミニにおいても踏襲されるものである。もっともFFのミニでは配置上、ステアリングラック(タイロッド)は、前方配置は不可能であり後方配置としている。なお、最近のBMWは、L型ロワアームを止め、ロワアームを2本使用し、ナックルとの結合ジョイントが2ヶ所となる通称ダブルジョイントタイプに移行している。

 FRのBMWで云えば、E46までがL型ロワアーム内前側もボールジョイント使用の伝統のスタイルだが、次作のE90以降はダブルジョイント型に移行している。個人的感想を記せば、決して限界域まで追求するなんてテクはないが、一般路で走る限りダブルジョイントにしたメリット(主にハーシュだと想定される)は余り感じられないというものである。むしろ、シングルジョイントの旧来の方が、素直なステリング応答にも感じられると感じている。

 さて、本論のBMWミニのロワアーム前内側のボールショントであるが、タイヤの上下動に伴う動きが大きく内部グリースを封入するラバーブーツが破れやすいという欠点を持つ。車検などの際は、シーリング剤などで破れを誤魔化すことは出来るが、いかにせよナックル反力をダイレクトに受けるショイントであり、その摩耗はステアリング応答や、ゴトゴト音などの異音の原因となる場合が多いことを何度か経験している。

 この取替であるが、生産プラントではエンジン搭載前にサスペンションメンバーに組み付け、エンジン搭載時に一体で組み付けているので、現車で行うのはちょっと作業がやり難いところがある。特にボールジョントのテーパー部の勘合が、プレス鋼板製組み立てのロワアームに為されているが、鋼板という柔軟性もあり一般的な鋳鋼部品との勘合より切り離しが困難と感じられるところである。

 このボールジョイントの点検であるが、ダストブーツの破れがあり、走行が8万キロ以上では、そろそろ寿命の時期ではないかと感じるところである。フロントハブを強く押し引きして、僅かでもガタが感じられるとか、ロワアームとメンバー間にレバーを入れこじてガタ(動き)がある様なら、取替をお勧めする。なお、単品で、ボールジョントの動きを指感すれば、摩耗したものは何の抵抗もなく動くが、新品はかなり動きに抵抗(プレロード)があるものなのだ。

 今回のR50も現在走行10万キロだが、先のガタを発見し、取替を行ったもので、前々から気になっていたゴトゴト音が解消した。なお、旧部品に塗られているラバーブーツのシール剤は、前回車検時(走行約8万キロ)にラバーブーツの破れを発見し、応急的な処置を施していたものである。なお、部品は純正相等の社外部品が半額以下で入手可能だった。


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