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0913 名神高速 4台絡む追突事故【一次元衝突の力学・それぞれの有効衝突速度の考え方】

2021-09-14 | 事故と事件
0913 名神高速 4台絡む追突事故【一次元衝突の力学・それぞれの有効衝突速度の考え方】
 3台が玉突き追突するという、よくある多重追突事故だが、物理の法則としての衝突の力学が良く判る事例なので、その計算手法を記してみたい。

 ここで、本事故の合計4台の玉突き事故の事故を添付図に模式図として表してみる。
・車両Aは追突車で車両総重量20tonとする。
・車両Bは2トンクラスの平ボデートラックで空荷であり車両総重量3tonと仮定する。
・車両Cは4トンクラス車だが、小型クレーン付きであり荷台の荷物も満載の様だから車両総重量8tonと仮定する。
・車両は小型乗用車で何名乗車かは不明であるが、車両総重量1.2tonと仮定する。

 衝突の順序としては、まずAがBの後部に追突する(衝突1)が、ここではAの衝突直前速度を50km/hと仮定する。この衝突1では、停止していたBが押し出されると共に加速し、AとBが同一の速度になる状態に至るが、この速度は、反発係数をゼロとして無視すれば、単に車両相互の重量比で決まってくる。つまり、衝突速度50km/hは重量比20:3の逆比で按分されるので、20.3:3=43.4km/h:6.5km/h と対比で表すことができる。すなわち、衝突1でA車は前部を潰しつつ43.4km/hとなるので、6.4km/hまで減速する。一方B車は、後部を潰しつつゼロから43.4km/hまで加速する。このそれぞれの速度を有効衝突速度(=バリヤ換算速度)と云う。

 続いて、B車は4.4km/hで押し出されC車に追突(衝突2)する。この衝突2では、停止していたCが押し出されると共に加速し、BとCが同一の速度になる状態に至るが、この速度は、反発係数をゼロとして無視すれば、単に車両相互の重量比で決まってくる。つまり、衝突速度43.4km/hは重量比3:8の逆比で按分されるので、3:8=11.8km/h:31.5km/h と対比で表すことができる。すなわち、衝突2でB車は31.5km/hとなっているので、今度は車両前部を潰しつつ11.8km/hまで減速する。一方C車は、車両後部を潰しつつゼロから11.8km/hまで加速する。この、B車前部の31.5km/h、C車後部の11.8km/hが、衝突2のそれぞれの有効衝突速度となる。

 最後、C車は速度11.8km/hで押し出され、その前部とD車の後部を衝突(衝突3)させる。の衝突3では、停止していたDが押し出されると共に加速し、CとDが同一の速度になる状態に至るが、この速度は、反発係数をゼロとして無視すれば、単に車両相互の重量比で決まってくる。つまり、衝突速度11.8km/hは重量比1.2:8の逆比で按分されるので、1.2:8=1.5km/h:10.2km/h と対比で表すことができる。すなわち、衝突3でC車は11.8km/hとなっているので、今度は車両前部を潰しつつ1.5km/hまで減速する。一方D車は、車両後部を潰しつつゼロから10.2km/hまで加速する。この、C車前部の1.5km/h、D車後部の10.2km/hが、衝突3のそれぞれの有効衝突速度となる。

 なお、ここでABCDそれぞれの車両重量が同じだとすれば、計算はそれぞれの衝突で半分ずつになって行くことで、非常に判り易い。





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名神高速で4台絡む事故、1人死亡 渋滞最後尾に大型トラック追突
2021年9月13日 20時28分 中日新聞
 13日午後2時半ごろ、愛知県一宮市の名神高速道路上り線の一宮ジャンクション(JCT)付近で、大型トラックが貨物車に追突するなど計4台が絡む玉突き事故があった。県警高速隊によると、貨物車を運転していた一宮市今伊勢町馬寄の会社員野田貢さん(40)が搬送先の病院で出血性ショックで死亡した。
 県警は大型トラックを運転していた滋賀県長浜市木之本町木之本の会社員中嶋章一容疑者(39)を自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で現行犯逮捕した。
 県警によると、現場は名神高速の集中工事の影響で1車線に規制しており、渋滞していた。大型トラックは渋滞の最後尾の貨物車に追突したという。
 事故の影響で岐阜羽島インターチェンジ(IC)―一宮JCT間の上り線が3時間20分にわたって通行止めになった。


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