ビッグモーターのタイヤ保険不正に関わる損保としての基本理念
当ブログ5/11付けで記した、タイヤ保険を利用したビッグモーターでも、故意のパンクを作り出し保険金請求していたと云う記事だが、このタイヤ保険とは、「セアーウインサービス(株)」という保険販売代理店企業と、中古車およびディーラーや修理工場を営む名古屋本社の「ネクステージ(株)」、そして保険引受会社は「あいおいニッセイ同和損害保険」の3社が協同で開発し販売している保険の様だ。
そもそも、従来から保険販売されてきた車両保険においては、タイヤの単独損害とか、その他主にメカニカル部品の自然損耗に関わる損害は、保険の支払い対象外とされてきた。その理由は幾つか想定できるが、そもそも消耗品たる物品を保険の目的とすることが、今回のビッグモーター事件の様に、事故の捏造を招きかねなく、しかもその損害について、客観的な妥当性を判断することが難しいことが難しいと云うことがあった故と思える。
そんなことは、長年保険販売を行って来た損害保険会社なら理の当然として理解しているハズなのだが、ニーズがあるから、商売として成り立つからということだけを念頭に保険販売を行って来たと云えるというのが私の意見だ。
そういう中で、今回の事件は、ビッグモーターだけが本タイヤ保険なりの不正を行っていたと糾弾されているのだが、その他の販売店でも、類似の所業が行われていた可能性を疑う。
高度経済成長が行き詰まった現代において、損害保険会社は、見掛けの採算が取れるという私見で、収入保険料を増やそうと新しい保険販売に熱心なのだが、消耗品とか一定寿命のある工業製品に、保険を設営するについては、その保険契約者に過度の作為を生み出すことない(つまりモラル低下を生じさせない)という使命を持つのが保険会社の持つ社会的な使命ではないだろうかと覆えてしまうところだ。
こういう点では、損害保険ジャパンが近年販売し出した、新車登録後5年を超える使用過程車の、エンジンなど故障損害を担保する保険など、元損害査定の実務を担当してきた私からすれば、確かに顧客ニーズとしてあることは理解するが、その損害査定においては、余程高度な損害査定のスキルを保持していたとしても、極めて作為があったのかどうかという点で、その査定は困難ではないかと思えてしまう。
また、この取り扱いはだいぶ以前となるが、今や付帯されていて当然とも云える対物超過保険というのがあるが、国内景気も停滞する中で、統計上の平均車齢も年々高車齢化しつつ、修理工場にとっては、その販路を広げる保険ではあるものの、その価値を超えて実修理を行った場合に金額制限はあるというものの、それを賠償するということは、本来の民法でいう損害賠償の理念と食い違ってきており、その対物超過の有無により実際の被害者が受け取る金額に差異が生じる不公平を生み出していると感じるところだ。なお、申し沿えておきたいが、車両の価値は保険会社が一方的に判じるものでなく、同種同程度の一般的な中古車価格としての価値が時価となることは云うまでもない。
ビッグモータータイヤ保険詐欺(追記)
2023-05-11 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/ae6b6aa5441a33a1a1f4322a23ac6feb
対物超過保険に思うこと
2008-05-29 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/b32c476510cddd680a3bea99557c20eb
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客のクルマをわざとパンクさせたビッグモーターの不正が話題! 犯罪の温床になりがちな「タイヤ保証サービス」の問題点とは
WEB CARTOP 5/16(火) 6:31配信
車両保険を使ったわけではない
不具合が出たら代金をカバーする保険は不正の温床になりやすい
ビッグモーターがまたやらかして話題になっているのはすでにご存じだろう。またか、と言ったところだし、さんざんニュースになっているので今回はその内容については詳しく触れない。気になったのはタイヤをパンクさせて保険が出るということ。
記事によっては車両保険と書いてあるが、それはない。車両保険は事故や自然災害などによる車両の損害についてカバーするもので、タイヤのような消耗品までは保障してくれない。消耗品までいちいち保障していたら、大変なことになってしまうだろう。
では、どんな保険を使っていたのか? ビッグモーターでは、BIGタイヤ保証サービスなるものを導入していて、これは掛け金として1万円(乗用車)を払うとパンクなどタイヤに損害があった場合に2年間、上限10万円で4本とも新品にしてくれるという内容。まさに今回の件に利用されそうな内容だ。こういったタイヤ保証サービスは一般的でディーラーやカー用品店でも取り扱われているもので、保険会社直接ではなく、関連会社の保証サービス会社というのが扱っているもの。
ただし、2022年にすでに不正請求が発覚して、メニュー自体がなくなっているのはなんだかな、と言ったところ。この際も今回同様に穴を開けたりしていたようだ。今回については同じような保険を利用していたのは明らかで、別の会社と契約していたのか、ユーザー向けではなく、修理工場向けなどの事業者保険を使っていたのかもしれない。いずれにしても、ネット界隈でよく言われている車両保険を使ったのではないだろう。使えたとしても保険料に対して割に合わない。
このような不具合が出たら代金をカバーするなどの保証的な保険は不正の温床になりやすいという指摘は以前からあって、事故修復での板金塗装などでもやっていないのにやったことにしたり、中古を新品として請求したりなど、業界全体の闇な部分だったりする。結局、不利益を被るのは間接的ではあれ、ユーザーだけに、今後の自浄に期待したいところだ。かなり難しいだろうが。
当ブログ5/11付けで記した、タイヤ保険を利用したビッグモーターでも、故意のパンクを作り出し保険金請求していたと云う記事だが、このタイヤ保険とは、「セアーウインサービス(株)」という保険販売代理店企業と、中古車およびディーラーや修理工場を営む名古屋本社の「ネクステージ(株)」、そして保険引受会社は「あいおいニッセイ同和損害保険」の3社が協同で開発し販売している保険の様だ。
そもそも、従来から保険販売されてきた車両保険においては、タイヤの単独損害とか、その他主にメカニカル部品の自然損耗に関わる損害は、保険の支払い対象外とされてきた。その理由は幾つか想定できるが、そもそも消耗品たる物品を保険の目的とすることが、今回のビッグモーター事件の様に、事故の捏造を招きかねなく、しかもその損害について、客観的な妥当性を判断することが難しいことが難しいと云うことがあった故と思える。
そんなことは、長年保険販売を行って来た損害保険会社なら理の当然として理解しているハズなのだが、ニーズがあるから、商売として成り立つからということだけを念頭に保険販売を行って来たと云えるというのが私の意見だ。
そういう中で、今回の事件は、ビッグモーターだけが本タイヤ保険なりの不正を行っていたと糾弾されているのだが、その他の販売店でも、類似の所業が行われていた可能性を疑う。
高度経済成長が行き詰まった現代において、損害保険会社は、見掛けの採算が取れるという私見で、収入保険料を増やそうと新しい保険販売に熱心なのだが、消耗品とか一定寿命のある工業製品に、保険を設営するについては、その保険契約者に過度の作為を生み出すことない(つまりモラル低下を生じさせない)という使命を持つのが保険会社の持つ社会的な使命ではないだろうかと覆えてしまうところだ。
こういう点では、損害保険ジャパンが近年販売し出した、新車登録後5年を超える使用過程車の、エンジンなど故障損害を担保する保険など、元損害査定の実務を担当してきた私からすれば、確かに顧客ニーズとしてあることは理解するが、その損害査定においては、余程高度な損害査定のスキルを保持していたとしても、極めて作為があったのかどうかという点で、その査定は困難ではないかと思えてしまう。
また、この取り扱いはだいぶ以前となるが、今や付帯されていて当然とも云える対物超過保険というのがあるが、国内景気も停滞する中で、統計上の平均車齢も年々高車齢化しつつ、修理工場にとっては、その販路を広げる保険ではあるものの、その価値を超えて実修理を行った場合に金額制限はあるというものの、それを賠償するということは、本来の民法でいう損害賠償の理念と食い違ってきており、その対物超過の有無により実際の被害者が受け取る金額に差異が生じる不公平を生み出していると感じるところだ。なお、申し沿えておきたいが、車両の価値は保険会社が一方的に判じるものでなく、同種同程度の一般的な中古車価格としての価値が時価となることは云うまでもない。
ビッグモータータイヤ保険詐欺(追記)
2023-05-11 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/ae6b6aa5441a33a1a1f4322a23ac6feb
対物超過保険に思うこと
2008-05-29 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/b32c476510cddd680a3bea99557c20eb
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客のクルマをわざとパンクさせたビッグモーターの不正が話題! 犯罪の温床になりがちな「タイヤ保証サービス」の問題点とは
WEB CARTOP 5/16(火) 6:31配信
車両保険を使ったわけではない
不具合が出たら代金をカバーする保険は不正の温床になりやすい
ビッグモーターがまたやらかして話題になっているのはすでにご存じだろう。またか、と言ったところだし、さんざんニュースになっているので今回はその内容については詳しく触れない。気になったのはタイヤをパンクさせて保険が出るということ。
記事によっては車両保険と書いてあるが、それはない。車両保険は事故や自然災害などによる車両の損害についてカバーするもので、タイヤのような消耗品までは保障してくれない。消耗品までいちいち保障していたら、大変なことになってしまうだろう。
では、どんな保険を使っていたのか? ビッグモーターでは、BIGタイヤ保証サービスなるものを導入していて、これは掛け金として1万円(乗用車)を払うとパンクなどタイヤに損害があった場合に2年間、上限10万円で4本とも新品にしてくれるという内容。まさに今回の件に利用されそうな内容だ。こういったタイヤ保証サービスは一般的でディーラーやカー用品店でも取り扱われているもので、保険会社直接ではなく、関連会社の保証サービス会社というのが扱っているもの。
ただし、2022年にすでに不正請求が発覚して、メニュー自体がなくなっているのはなんだかな、と言ったところ。この際も今回同様に穴を開けたりしていたようだ。今回については同じような保険を利用していたのは明らかで、別の会社と契約していたのか、ユーザー向けではなく、修理工場向けなどの事業者保険を使っていたのかもしれない。いずれにしても、ネット界隈でよく言われている車両保険を使ったのではないだろう。使えたとしても保険料に対して割に合わない。
このような不具合が出たら代金をカバーするなどの保証的な保険は不正の温床になりやすいという指摘は以前からあって、事故修復での板金塗装などでもやっていないのにやったことにしたり、中古を新品として請求したりなど、業界全体の闇な部分だったりする。結局、不利益を被るのは間接的ではあれ、ユーザーだけに、今後の自浄に期待したいところだ。かなり難しいだろうが。