私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

鉄道高架公共事業を思う

2011-08-08 | 沼津そして伊豆周辺
 私の住む地方都市では、鉄道高架事業が認可され、地方自治体として高架事業に伴う都市再開発事業が着手され、建物の移転や建設などが既に始められています。

 この基本構想が市の要請から県により検討され出したのが1991年のバブル末期の頃の様です。そして2006年に高架事業として国の認可を取得したとのことです。しかし、現在に至るも高架自体の工事は、一切始まっていません。

 駅の高架というのは、大都市だとか大都市近郊の駅に多くあり、過去に利用したことも多くあります。これらについては、駅近郊の道路踏切が、いわゆる開かずの踏切と化し、交通渋滞を発生するとか、駅構造を立体化して土地の有効利用したいなどの理由によるものだと想像しています。

 しかし、95年発生の阪神淡路震災では、多くの鉄道高架および高架駅が倒壊した事例を見聞きしました。ですから、それなりの耐震設計はすると言うのでしょうが、どう補強しても脆弱さは生じざるを得ない高架というものが、何処まで市民にメリットを生み出すのかなと不思議に思っておりました。

 そんな中、県および市による市民への合同説明会が過日開かれ、どの様な納得ある説明が行われるのかなと興味を持ち参加しました。450名収容の会場は、概観したところ7、80%埋まり、そこそこ関心を持った方の存在を感じさせます。

 さて、説明会の総時間は2時間で、まず1時間+を主催者となる県および市のエリート官僚達がプレゼンを行いました。例によって、パワーポイントなどのプレゼン・ソフト(私はこれが嫌い)を使い、流れる様に流暢な説明がなされました。なんとなく聞き流していると、結論は町の活性化などと謳い上げますから心地良いのですが、理由付けと結論の間が論理矛盾していたり、理由そのものが、そうかなあと疑問を感じたりするものが多々あることに気づかされます。

 この後、質疑応答の時間が50分程取られました。誰も質問者がおらず、静まりかえる様なら、少なくとも1、2点は質問しようと考えていました。しかし、予想外に次々と質問者が挙手し、最後は予定終了時間一杯となり司会により打ち切られる閉会となりました。質問者の質疑を聞いていると、賛成者が2、3割、反対者が7、8割と予想以上に、私と同様の意見を持っている方が多いことを知り正直安堵しました。

 最後に、本高架事業が認可済みなのにも関わらず、現在官僚達が思う様に進行が進まない理由は、駅構内および隣接地にある貨物ヤードを駅近郊の平面地に移転しなければならないのですが、そこの地権者などの反対を受けているためと判りました。その打開策たる情宣目的が本説明会だった訳なのだと思ってしまいました。全国には同様の計画から何十年も経て、当初の目的と時代の要請が合わなくなったにも関わらず、計画が進められる事例は事欠きません。そんな事例を身近に体験した次第です。



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