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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

新プリウス・ホットスタンプ使わず

2022-11-29 | 技術系情報
新プリウス・ホットスタンプ使わず
 新型プリウスで過日LSW(レーザースクリューウェルディング)を使用せずの記事を記したが、今度は現在の欧米日車で、極一部だがその使用が一般化して来たホットスタンプ材を使用していないことを知り書き留めたい。

 ホットスタンプ材とは、超高張力鋼板のプレス成型技法のことであるが、高張力になるほどプレス成形性が悪化し、そのまま(冷間)では、スプリングバックが大きすぎる、部材に割れやシワなど歪みが出易いことから、プレス成型前に加温し、持って降伏比を低下させてプレス成型すると共に、そのプレス状態で急冷することで焼き入れして、設計値の強度を出すというものだ。

 ホットスタンプ材は最初の導入は欧州車が先行したものだ。そして、同方式で作成されるパネルは、外観上見える部位ではなく、内板となり、しかも事故など車体変形が限界を超える破壊に至る時に効果を発揮するものだ。このことは、広く高張力鋼板の採用部位の多く(外板用除く)にも云えることだが、板厚の剛性(比例範囲)は高張力にしたからといえ向上するものではなく、事故以外の通常走行における車体剛性には硬直力鋼板は寄与しない。事故など破壊的な変形を受けた場合の破断強度を引き受けるのが高張力もしくは超高張力鋼板なのだ。

 今回、トヨタがこの処置を取り入れたのは、ホットプレス材を使用しなくても、従来同様の強度が得られることが確認でき、それにより加温のCO2削減と云うより、コスト低減を狙ったと想像できる。ただし、プレス型の寿命が、それなりに低下するのは承知の上のことなのであろうが、そもそもホットプレス材の採用部位は極少なく、またサイズも比較的小さいこともあり、寸法形状の許容値もさほど高くない部材ということもありそうに想像できる。

【参考記事】
新型プリウスでLSW使わず 2022-11-23
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/c70560db3d70da8f075eb6a887920fb7

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次期「プリウス」はホットスタンプ使わず、トヨタがCO2削減を優先
日経クロステック/日経Automotive 2022.11.21
 トヨタ自動車が2022年11月16日に発表した次期「プリウス」は、ボディー骨格にホットスタンプ材(高張力鋼板の熱間プレス材)を使わずに、全方位(前面・側面・後面)の衝突安全に対応した。
 現行プリウス(以下、現行車)はボディー骨格の主要部品に、引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプ材を適用している。次期プリウス(以下、新型車)では、現行車でホットスタンプ材を使用しているすべての骨格部品を、1.5GPa級以下の高張力鋼板の冷間プレス材に変えた。

 新型車の骨格部品のうち、1.5GPa級ホットスタンプ材から1.5GPa級冷間プレス材に変えたのは、(1)フロントピラーのアウター材とインナー材(2)サイドシルの補強材(3)フロント・サイド・メンバーの支持部――の3つである。

 同社のボディー設計担当者によると、1.5GPa級冷間プレス材を適用したこれらの部品の製造コスト(素材コストを含む)は、「1.5GPa級ホットスタンプ材を使う部品とほとんど変わらない」と明かす。コストが下がらないにもかかわらず1.5GPa級冷間プレス材を使ったのは、「骨格部品の製造過程からの二酸化炭素(CO2)排出量を減らすため」(同担当者)である。
 日本の自動車メーカーは現在、厳しくなる世界の衝突安全基準に対応するため、ボディー骨格へのホットスタンプ材の適用を拡大している。骨格部品の製造工程におけるCO2排出量を減らすためにホットスタンプ材の使用をやめた今回のトヨタの決断は、他の自動車メーカーにも影響を与えそうだ。


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