私の思いと技術的覚え書き

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現状ASVの限界

2023-02-20 | 問題提起
現状ASVの限界
 近日、トヨタリコールで、衝突被害軽減ブレーキが作動しない恐れがあり、20万台近くの対象車でシステムプログラムの改修を行うとか、米国テスラで自動運転(セルフステアリング)のプログラム不良で30万台以上のやはりシステムプログラム修正を実施とかいう事例が公表されている。

 一方、添付画像は、韓国ヒョンデ社のASV性能を試す画像の一コマで、停止車の影から道路を横断する歩行者を検出し、ちゃんと停止する性能を見せている。同様の場面は、日本の各車両メーカーでも同等の性能を示す動画が多くYoutubeなどで見ることができる。




 ところが、リアルワールドでは、最近の私の事故ウォッチだけで、この様なASV付き車がマトモに人を跳ね即死させる事故が2件ほどあることも知る。それと、Youtubeで、主に多いのがテスラだが試しに検索欄に”テスラ ファントムブレーキ"とか入れて検索してみたら判るが、結構な動画が出て来る。ここでファントムとは、「幻の」という様な意味で、何も危険がないのに突然急制動が生じるというもので、運転者にしてみればビックリ仰天することだろう。それと、後方車両が止まりきれず、追突する誘発事故が起きている事例もある様だ。

 ここで、車両アナリストを意識する私思うに、冒頭のちゃんと止まるよと云うデモンストレーション画像は、広いテストコース上で、背景などその他ゴチャゴチャしたノイズというべきものがないということを意識せねばならないだろう。衝突被害軽減ブレーキも、当初の対車両だけを前提にしたものから、人とか自転車、その他構築物など、様々な物体を対象とする様にその範囲が拡大されてきた。これは、当初のミリ波レーダーによる、対物体との相対距離と自車速度から算出できる停止距離というアルゴリズムに加えて、フロントガラスのカメラ画像で、その画像メタ(生)データに含まれる移動物体の画像認識といっても、ある程度の画像パターン認識程度のものであろうが、認識して対象物が車、自転車、人などを認識しつつ、それが自車進行方向にどのように近づくのかという計算アルゴリズムを繰り返しているのだろう。

 ところがだ、これは私の想像だが、イメージとしては色盲の絵図検査を思い浮かべてもらいたい。正常な色覚のある者なら、その絵図に含まれる記号なりをパターンを認識できるのだが、色盲者にはそのパターンが見えない。つまりここで、云いたいのは、プログラムアルゴリズムとして、ある種のパターンテーブルを参照値として見比べ、画像パターンを認識するのだが、背景とか光源の作用(太陽光の位置でガラス表面で反射とか逆光でコントラスト低下とか夜間でヘッドライト光源の作用など他)により、必ずしもパターン認識できない場合が相当にあるのだろう。

 それと、ファントムブレーキは、逆に背景その他の要因の中で、プログラムアルゴリズムとしては、パターンがあると誤認識しているのだろうと思う。

 このいわゆる自動ブレーキが一部の高級車で採用され初めてから既に20年程経るのだろうか。その間に、特に当初のものでは、高速道路のカーブ路で反対車線の対向車の接近を認識するとか、路面の急激な角度変化を認識して急制動するとか、この2年ほど前のスバル社だったと思うが、二代目アイサイトで、道路沿いに立つ標識に反応して急制動するので、プログラム回収して、ある意味感度を落としたかの記述がなされていた。

 なお、標識については、自動運転の関係で、制限速度値とか侵入禁止など、ある程度の標識を認識しつつ、半自動運転を継続される様になっている様だ。

 まとめとして記したいが、この自動運転とか自動ブレーキなどASVの難しさは、想定できるパターンテーブルを増やし、ブログラムアルゴリズムを超複雑に、あらゆる反復計算をさせということになると、時間が掛かり過ぎて、実用化できないと云うことになる。これは、計算するCPUや画像処理のGPUのハードとしての処理速度の問題と、如何に高度なアルゴリズムを短時間に計算できるかという問題とが解決するのかもしれないが、今の技術はまだまだ発展途上のものだということは確かなのだろう。


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