私の思いと技術的覚え書き

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成形天井のトラブルについて

2012-09-15 | BMWミニ
 クルマのルーフ内張の話しです。ルーフ内張は「ルーフヘッドライニング」という名称で呼ばれ、その種別を区分すると、吊り天井と成形天井に別れます。

 この内、吊り天井方式は、昔はすべてといっていいくらいこの方式が当たり前のものだったのです。ところが成形天井という方式が一部のスポーティカーに使われ出してから、成形天井の採用車は瞬く間に普及し、今や吊り天井車を圧倒している感があります。

 吊り天井は名称の通り、ルーフライニングの前後に平行に3~5本のスチール棒を張り、これにライニングが吊られているという構造です。そして、ルーフライニングの周辺端部は、各ドアのウェルトとかトリムカバーで押さえ込んで固定されるものです。新品交換など行ってヘッドライニングの張り方が悪いとシワが生じてしまったりしたものです。しかし、慣れた職人はヘアドライヤーなどでビニール製のライニングを上手く伸ばし、手早くパシッと貼り込んだものでした。

 さて、現在のメインストリームたる成形天井ですが、ルーフ内側形状に沿ってピッタリと装着でき、従って有効な室内高を得やすいとか、組み付け容易性に利点があることが、このタイプが占有し主流となってきた理由なのでしょう。構造的には、金型上下に加圧圧縮されたダンボール様の基材の表面に、布やビニールレザー様の表皮材を貼り込んだものです。

 ところで成形天井車に乗っていると、ヘッドライニング表皮が剥がれ、垂れ下がってしまっているクルマに出会うことがあります。このヘッドライニング表皮の剥がれですが、指で押さえて見ると判りますが、何れも表皮材表面が柔らかく、基材との表皮材との間には薄いスポンジ様の素材があることが知れます。そして、剥がれは接着剤が剥がれたのでなく、このスポンジ様素材が劣化しボロボロとなり結合力がなくなったたがために生じている様なのです。なお、指で押したとき、ほとんど弾力を感じない(内部にスポンジがない)タイプのライニングでは、この手のトラブルが生じることはない様です。



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