2009年8月29日(土)
トヨタのセールススタッフの言葉が印象的だった。
「商品力で売れている車ですから。」
このセールススタッフは、これまでにプリウスを20数台売っている。全国に、トヨタのセールススタッフは4万人はいるだろうから、平均を相当上回る台数を売っているのだが、自らの「営業力」ではなく「商品力」だという。
この「商品力」を確かめるべく、プリウスの再試乗に出かけた。(最初の試乗記は5月25日に書きました。)
今回は、思い切ってアクセルを踏んでみた。率直に言って、もう少し加速力が欲しい。ハイブリッド車はどうしても重くなるので、軽量化が課題だ。将来的にはハイブリッド車専用のエンジンが開発され、軽量化が行われるだろう。ハイブリッド車に載せるエンジンは回転数を低く抑えることができるので、エンジンを軽くすることができる。
エンジン音も騒々しい。まぁ、この車は常にフルアクセルで走る車ではないので、決定的な欠点ではないのだが、官能的な音にはして欲しい。
エコランにも挑戦してみた。
私のエコランは、(当たり前のことではあるが)ゆっくり加速してゆっくりブレーキングするということである。それと、頻繁にアクセルを「ポン」と抜いてやることだ。そうするとエンジンが止まってくれたり、回転数が落ちてくれたりすることがある。
短距離の試乗であり、正確なデータとは言えないが、車載燃費計で、27.2km/ℓと出た。
全走行距離4.1kmで、最初の半分は比較的空いていたが、残り半分は国道2号線で渋滞という条件だ。Gグレイドで3人乗車。
最初の半分は40数キロの表示が出ていたが、渋滞に入ると見る見る数字が落ちてしまった。
私が現在乗っている車(10・15モード燃費13.4km/ℓ)では、同条件で10km/ℓがせいぜいだろう。
車格的にはほぼ同じなので、2.7倍走るというのは凄い。
途中、ニュートラルで走った時、50数キロが表示され、「オォー」という声が同乗者から出た。しかし、惰性走行ではハイブリッド車もそうでない車もあまり「差」はない。
今回の試乗で一番確認したかったのが、エンジンが始動する時と停止する時が分かるかどうかということである。
結論から言うと、確認しようと神経を集中すれば分かるが、全く気にならないレベルだ。
開発チーフエンジニア(CE)大塚氏の説明によると、
「確かに2代目はモーター走行中にエンジンが始動すると、ポォッという音と振動が顕著に伝わりましたよね。新型はこの点も改良しています。これはソフトウエアの世界になるのですが、エンジンがクランキングするときに発生するトルク変動に打ち勝つようなトルクをモーターから与えています。いわゆるノイズキャンセルヘッドホンのような原理だと思ってください。これによりエンジン始動時と停止時の振動はほとんどわからないようになりました。ハイブリッドだからこそできた技術です。」(「明快プリウス」CARトップ6月号増刊)
エンジンのトルクをモーターのトルクで相殺し、音と振動を打ち消すとは!
エンジンが始動したか停止したか分からないという、この上質感を体験すると、他社(ホンダ)のハイブリッド車の技術水準が遅れていることが如実に分かる。
大塚CE:「現在、トヨタが持つすべてを注ぎ込みました。・・現時点で、これ以上のクルマはトヨタにはつくれないはずです。」
プリウスの「商品力」が高いはずだ。
派手なプリウスの試乗車はよく見かける。
エコドライブモニターが小さくて良く見えない。要改良点だ。
2009年8月22日、広島市南区のネッツトヨタ店。