ブレヒトの「泥沼の兵士」
2014年6月30日(月)
ブレストの「第三帝国の恐怖と悲惨」という芝居を観ました。
「ブレヒトは、1898年ドイツに生まれ、1933年ナチスの手を逃れて国外亡命した。1937年スペイン人民戦線内閣の反乱が起こるや「カルラール」をはじめ文筆でもってファシズムへの抵抗を行う。第二次世界大戦終了まで、「第三帝国」、「ガリレオ・ガリレイ」等数々の名作を生む」(この部分は、芝居のパンフからの引用)
ヒトラーの恐怖政治を素材にした芝居でしたが、非常に教訓深いものでした。
ナチスの台頭については、まず共産主義者を弾圧し、次に社会民主主義者を排除していったというやり方が有名です。いわゆる分断政策です。その中にあって両者は、ナチスに対抗するため本来なら連帯すべきところ、反目していたのです。ある意味、これがナチスの台頭を許した最大の要因と言ってもよいと思います。
芝居は小品の組合せになっているのですが、その中の「泥沼の兵士」。
強制収容所に収容されている4人。一人は共産主義者、一人は社会民主主義者、一人は神学者、一人は?(このキャラクターについては良く記憶していません。)
強制収容所内にあっても、共産主義者と社会民主主義者は、お互いに罵りあいます。また、残りの二人もそれぞれ独自の考えを持っていて、誰一人として共感し合う関係にはありません。
見張りに来た親衛隊員が、騒いだら独房に入れると警告しますが、四人とも反目し合って、騒動が収まりません。
そこで、再び見張りに来た親衛隊員が騒ぎの犯人捜しをします。一人ずつ「誰が騒動の首謀者」かを尋問しますが、誰一人として「騒動の張本人」を差し出す者はいませんでした。その結果、連帯責任として4人とも独房に入れられるハメになったのです。(非常に厳しい状況に直面して、初めて「連帯」する必要を感じたのか・・。)
都議会での女性蔑視発言に関しては、自民党の議員連中が「犯人」を差し出すことをしませんでした。ある意味「連帯」し合ってのことと思います。(何と、軽い「連帯」であろうか・・。)
芝居で掲げられていた、ヒットラーの肖像。風刺画(マンガ)の方が良いと思いましたけど・・。