ベルベットオーディオでラッキングされたものをReverb経由で入手されたらしく、送り返しての修理や返品も難しく、勤務されているスタジオのテックの方にも相談されたようですが対応は難しいとの事でご相談頂きました。
ご相談頂いた症状は、「ある程度の音量になるとマイナス側が頭打ちになって歪む。」との事、手持ちのパーツ類も枯渇しているのですが、これも何かのご縁と実機をお預かりして検証することになりました。
手元に届くと、モジュール下部が微妙にフロントパネルに届いていないため内部に落ち込み、輸送の振動でモジュールが暴れたのが原因か?ラックのメインスイッチはじめいくつかのスイッチ類が破損しており、このままでは危ないのでモジュールを抜き去ってからラックの検証になりました。
内部のPSUを確認すると、LM317を使用した回路に18V / 5VAのトランスで構成された電源1系統(2モジュール分)とL7824CTで構成されたファントム用(2系統)と少し首を傾げるような構成になっており、メイン電源はMV810/2で計算したのか?明らかに容量不足、ファントム用の2系統はタイムディレイのトランジスタが付いている訳でもなく、Rampもせず「ぶった斬り」なので何のための2系統なのか少々理解に苦しみます。
それに加え、MV810は-20Vのハイグランドですので、メインの電源はプラスマイナスひっくり返して使用されており、フロートされていればまだしも丁寧にも0V-シャーシ間は導通され、XLR pin1に+20Vが流れている状況でファントムの+48Vが設置されているためかなりの電位差が生じて問題に拍車を掛けています。
ベルベットオーディオでこのようなラッキングが行われたのか、それとも入手後に誰かが改造したのかは定かではないのですが、いずれにしてもこのPSUでは修理・改良は不可と考え、新たな2 x 24V / 30VA トロイダルと-20Vのハイグランドに適したPSU基盤に新設する事になります。
一方モジュールの方ですが、PSUの容量不足で電圧降下していたため「レベルが高くなると歪む」状況もしっかり電源供給すれば若干改善する事から、後はリキャップされたモジュールで左右違う値のコンデンサー(片側の22ufに対してもう一方は2.2ufで、この時点ではそれぞれの耐圧が違いサイズが似ているため、単なる小数点の見間違いと思っていましたが、、、)が入っていたのは確認出来ていたので、それらをリキャップし直せば歪むポイントと高域特性はキャリブレーションでどうにかなりそう!と予測していた所、更に大きな問題を発見します。
続きは次回に。。。